秋も深まり、紅葉の美しい季節となりました。
サツマイモや栗、ブドウ、梨など秋の味覚を子どもと一緒に楽しみたいですね。
おなかが満たされて、「さあ勉強に集中!」となるといいですが、答案を見てみると「おやおや、計算ミス?」ということも。。。
子どもの計算ミスをなくすことはできるのでしょうか?
今回は、ミスをなくすための心構えと対策を、塾経営・家庭教師歴30年の阿部先生に教えていただきました。
(1万年堂ライフ編集部)
▼阿部先生の新刊が9月に発売されました!
本の感想はコチラ
質問:子どもの計算ミスを減らすにはどうしたらよいでしょうか。
答え:見直しはしないという覚悟と注意力を持つことです。
ちょっとした計算ミスで、せっかく勉強した成果が点数に表れないのは、とても惜しいことですよね。
1点、2点を争うような試験や入試の場合、その損失は大きく、どうにかしたいと思う親御さんやお子さんは多いのです。
計算ミスを減らすには、 見直しはしないという覚悟と注意力を持つことが大切です。
それを、私の塾の生徒さんであるHちゃんから学びました。
計算ミスをしない子のやり方は?
以前私は、計算ミスの多い生徒さんに対して、ミスを減らすには、
「字を丁寧に書こうね」「見直しをしよう」などといったアドバイスしかできず、毎回変わらぬ結果に「次こそしっかりね!」の繰り返しでした。
そんな中、計算ミスを絶対というほどしないHちゃんに出会いました。
小学5年生だった彼女の解き方は、当時の私にとって大変興味深いものでした。
それは、問題を解く時点で「答えを出そう」ではなく、「正解を出そう!!」という強い意志を持っていた のです。
そのため大事なところに線を引き、しっかり確認するので、単位を取り違えたりすることはありませんでした。
そして、何より気づかされたのは、彼女の「自信」でした。
自分の出した答えに絶対の自信を持っているのです。
あるとき、めずらしく答えが合わないので、間違いを指摘しました。
すると「私が間違えるわけない、もう一度確認してほしい」と言うのです。
再度確認してみると、私のミスであることが判明したのです。
また、彼女は自分の答えに「自信」があるためか、見直しもしないのです。
1つ1つの計算が必要な長い問題でも、「間違いない」と自信を持って、正解を積み重ねてゴールにたどり着きます。
それはまるで、エベレストの頂上を目指すかのようでした。
途中にあるクレパスを避けながら、100メートルを確実に、そして、次の100メートルを・・・というように、1歩1歩を慎重に登り進めていくのです。
「しっかり見直しをしようね」の盲点
たいていのお子さんは、見直しの必要性を感じていることでしょう。
しかしそこが盲点です。思い起こせば私もそうでした。
母から「計算ミスをしないように、しっかり見直そうね!」と毎回アドバイスを受けていたため、できそうな問題からササッと解き、あとで見直しをしてテストを終えていました。
けれども、それは間違いだったのです。
なぜなら「あとで見直しをすればいい」という安心感によって、問題を速く解くことを優先し、注意力が散漫になってしまっていたからです。
もちろん、注意力を十分持ちながら問題を解き終わり、時間が余っているなら、見直しをしても構いません。
大切なのは、「見直しはしない、できない」くらいの覚悟と注意力を身に着けて、問題を解くことです。
このように、Hちゃんからの気づきを得てから指導法がガラッと変えた結果、多くの生徒さんの計算ミスを減らすことができました。
誰でもできる!ミスを防ぐためのトレーニング
では、そのような覚悟や注意力を身に着けるには、どうしたらよいのでしょうか。
具体的なトレーニング方法をご紹介いたします。
例えば、以下の計算問題では、
15―7=8 (次は・・・と確認せず)とテンポよく進めるのではなく、
15-7=8 (もう一度確認。自分の答えに自信が持てたら次・・・)
というように、確実に1つ1つの計算で「間違いない」と自信が持てたら次に進むという方法です。
15+26+2= (もう一度確認。自分の答えに自信が持てたら次・・・)
□+8-3=34 (同上)
23×3-17= (同上)
4+32÷8= (同上)
63-□÷4=59 (同上)
そして、1度解いた問題の見直しは禁止。時間制限は設けずに全問正解するようにします。これを繰り返します。
すると自然に、見直しをしない覚悟が身に着いていきます。
お子さんの実力にもよりますが、問題は1回に5問、はじめは易しいものからの挑戦したらよいかと思います。
次に、注意力を習得するには、間違いやすい問題、ひっかけ問題をを作ってトレーニングをするといいでしょう。
注意しないと間違える、正解が出ない問題を出すのです。
具体的には、
1.8ℓ=□㎗ という問題ではなく 1.8㎗=□ℓ
0.4分=□秒 という問題ではなく 0.4分=□時間
というように、逆を求める問題を出したり、
Aの所持金は800円、BはAの所持金の0.6倍より180円多いとき、Aの所持金はいくらですか?
というひっかけ問題を出します。
Bの所持金を聞いているようでAのことを問われています。あわてやすい子はBの所持金を答えてしまいますね。
これらの問題の解き方に慣れていけば、徐々に注意力を養うことができ、うっかりミスは減らすことができます。
ただ、体調が悪い時や眠い時などは注意力が薄れるので、調子がいい時に挑戦させてみてくださいね!
お子さんの勉強成果が、学力の向上や志望校の合格に結びつけられることを願っています。