オンラインの方が気楽だと言う人の心理とは?
今年はコロナ禍で、オンラインが中心の生活になりました。
仕事はリモートワークになり、オンライン講演会、オンライン飲み会など、公私ともにオンラインに切り替わっています。
コロナが仮に収まってきたとしても、この流れは今後ますます加速していくことでしょう。
このオンライン中心の生活に疲れたと言う人がいる一方、オンラインの方が気楽だと言う人もいます。
直接人に会うと必要以上に気疲れしてしまうからなのでしょう。
オンラインには気軽さ、手軽さ、適度な距離感もあって、気が楽だと感じる人も多いかもしれません。
今回は、オフラインからオンラインへの変化で人間関係が変わったというFさんの心理から考えてみましょう。
嫌われたくないから離れたい
Fさんは派遣の仕事をしている50代の男性です。
Fさんは人見知りで人との交流が得意ではありません。
しかし、このままではいけないと頑張って、交流イベントなどに参加していたのです。
ところが、人との距離が近づくにつれ、相手の目が気になるようになりました。
この人は自分のことをどう思っているんだろう。
気に障ることを言ってしまっただろうか。
もう帰りたいけど、ここで帰るとは言い辛いな…。
Fさんは、他人から嫌われたくないという思いが強まり、自分を出せないことに対して疲れを感じていました。
それで、だんだん人との交流を避けるようになり、家と職場との往復の毎日を送っていたのです。
そんな中、今年のコロナ禍で様々なイベントがオンラインへと切り替わっていきました。
人間関係に疲れたとはいっても、やはり寂しさを感じていたFさんは、リハビリがてらオンライン交流会に参加することにしました。
参加してみると、オフラインのときよりも程よい距離感があって話しやすい。
相手のことを気にして言えなかった本音も、自然と言えるようになっていました。
直接会わないからこそ言えること
これまで、人と交流するには「会う」以外選択肢がありませんでした。
「会う」のは、まずそこに行こうとする気持ちを起こすのが大変です。
そこを乗り越えて交流の場に参加しても、上手く話ができず失敗、傷ついてしまうことも多々あるのではないでしょうか。
直接会うと相手の反応がダイレクトに返ってきますから、人と会うのはしんどいな、と感じるのも無理はありません。
オンラインは直接会うよりも気軽です。
家にいながら参加できますし、カメラをオフにしておけば顔を出さずに話もできます。
適度な距離がありますから、相手の反応もそこまで気にならないのです。
Fさんがオンラインによって気疲れがなくなったと喜ぶのも頷けますね。
また、Fさんはオンラインだからこそ本音が言えたとも話していました。
直接顔を合わせるよりも、ある程度距離があったほうが言えることもあるのかもしれません。
「いのちの電話」のような電話相談の番号があるのも、深刻な悩みほど身近な人には相談しにくいからなのでしょう。
「嫌われたくない」生き方に疲れてしまう
では、なぜ身近な人には本音が言えないのでしょうか。
身近な人ほど、「相手に嫌われたくない」という心理が働いてしまうからかもしれません。
だからこそ、私たちは嫌われないように自分を偽っているのではないでしょうか。
Fさんはこんなことで疲れていました。
〇好きでもない話題なのに、会話に合わせてしまう
〇八方美人のように誰の意見にでも賛同してしまう
〇仕事を頼まれると、本当は引き受けたくない仕事でも引き分けてオーバーワークになってしまう
〇波風を立てたくない、気に入られたいという願望が強い
こんな自分では好きになってもらえない、と自分を繕うのですが、本当は無理をしているのです。
次第に心が疲れてきて、人付き合いが嫌になってしまうのですね。
本音を言えなくしていたのは自分
人間関係に関するこんな名言があります。
垣根は相手がつくっているのではなく、自分がつくっている。
アリストテレス(古代ギリシアの哲学者 / 紀元前384~前322)
人間関係がうまくいかないのは、相手が自分を遠ざけているからではない。
自分自身が垣根を作って相手を近づけないようにしているからだ、と言われています。
Fさんは直接相手に会うと、顔色を窺ってしまう、本音が言えないと悩んでいました。
それはなぜかといえば、相手に嫌われたくないと思うからです。
その心が、逆に相手を遠ざけ、寂しさを作り出す原因になっていたのではないでしょうか。
Fさんは、自分に自信がないあまり、自己開示することを恐れていました。
しかし、それでは相手と心を交わすことができません。
思い切って話をしてみることで、相手と居心地のいい関係を築けることもあります。
Fさんの場合はオンラインの交流会が一つのきっかけとなり、垣根を取り払い、一歩前進できたのでしょう。
まとめ
相手の顔色を窺ってしまい、自分の本音を言えずにいる人は多いかもしれません。
結果的に疲れて、人を遠ざけるようになりますが、寂しさはぬぐえないのではないでしょうか。
それは、ひとえに「嫌われたくない」の心で自ら作り出した垣根なのです。
Fさんはオンラインのイベントがきっかけとなり、自ら心を開くことで垣根を取ることができたのでしょう。
どんなことも、自分自身がどう考え、どう行動するかで決まります。
心がけ一つで人間関係も変えることができるのです。
Fさんは今は親しく話ができる人もいて、いくつものオンラインイベントに参加し、充実した毎日を送っているそうです。
まず自分から心を開くことで、人と直接会ったときでも接し方が変わっていくのではないでしょうか。