あなたは普段、どれくらい自信を持って生活しているでしょうか。
自信過剰もよくありませんが、適度な自信を持てれば前向きに行動でき、言うべきこともしっかりと言えて、グッと生きやすくなりますね。
そのような安定した自信を持てるようになるトレーニング法をご紹介しています。
前回は、自信を構成する3要素(自己評価・行動・自己主張)の1つである「行動」するためのトレーニング法をお話ししました。
行動を重ねていくことで、「自分はしっかりと行動できる人間だ」という認識が持てて、着実に自信がついていきます。
行動するには、まず、行動するための準備として「自分の強みを自覚する」ことが大切ということ、
そして「うまくできたことはメモする」ことで、前向きな現実を意識できて気分も良くなり、行動する意欲が高まっていくことを、前回はご紹介しました。
前回の記事はこちら
今回は、行動するためのトレーニング法をさらに2つ、お話ししていきます。
着実に自信がつく!行動するためのトレーニング法
トレーニング法③ 目標は身近なところに設定する
「あれをやろう!」「これをやらないといけない」など、一瞬やる気にはなったり、自分に鞭打ったりしても、「大変そうだし、やっぱりは今はやめておこう」と、やるべきことを先延ばしにしてしまうことはよくあると思います。
先延ばしをする人は「一時的な近視眼」 に陥りやすいタイプ、といわれています。先のことが見通せず、目の前の気楽さに飛びついてしまうタイプといえるでしょう。
ゆえに、目標を立てて、それを達成する未来に気持ちを向ければ、そこに待ち受ける喜びや充足感に触れられ、「とりあえず気を楽にしよう」という衝動を抑えられる可能性が高まります。
先延ばしを防ぎ、まず一歩を踏み出すためには、目標を打ち立て、それを達成できた自分をイメージしてみましょう。明るい気持ちになり、意欲が湧いてくるはずです。
ただ、その目標を立てるときに、あまりに高いところに目標を設定すると、せっかく行動してもなかなか達成できません。
そうなれば「いくら行動しても目標を達成できない私はダメな人間だ。もう行動してもしかたがない」と自己評価が下がり、自信を持つことが難しくなります。
そこで、短期間で実現できそうな、身近な目標を設定することが勧められています。
身近で現実的な目標を設定すれば、成功体験が得られやすく、それが自信につながり、さらに大きな目標の実現に向かって進む原動力となりますね。
たとえば「本を1冊読もう」という目標の場合、滑り出しは順調でも、徐々に息切れし、積ん読状態になりかねません。
そんなときは「今日は20ページを読もう」と、小目標に切り分けることで、達成感を得やすく、それが次の目標へ向けての活力となります。
運動不足の人が「フルマラソンを走ろう」と決意し、いきなり負荷の大きいトレーニングを始めれば、膝や足首を痛めて断念し、不愉快な思いだけが残ることもあります。
そうならないためには、始めは負荷の小さなトレーニングからにし、徐々に負荷をかける(走る距離を伸ばす、走るスピードを上げる)ようにするといいですね。
ホールのケーキを小分けにして食べやすい形にするように、大目標を中・小目標に分けるこことで、実行前の面倒くささも軽くなり、グッと行動しやすくなるでしょう。ぜひ試してみてください。
④失敗とうまく付き合う
行動にはどうしても失敗がつきものです。失敗をすると自己評価が揺らぎ、場合によって自信を喪失しかねません。
ゆえに行動して自信をつけるには、失敗とうまく付き合うことが必要です。
仮に失敗したとしても、失敗に対するネガティブな思考を<適応的な思考(その場にふさわしい、適切な考え方)>へと変えれば、自己評価が傷つくことはありません。
たとえば、「失敗するのは自分がダメな人間だからだ」という考えを持っていては、失敗したときに自分を責めてしまい、自信を失ってしまいますね。
そのようなネガティブな考えに対しては、「どんなに優秀な人でも失敗する。むしろ優秀な人は、度重なる失敗の末に成功できた。失敗を、成功までの踏み石としてきた」と考えると、どうでしょうか。
失敗を自分にとってプラスの経験と解釈することができますね。
あるいは、「失敗したら取り返しがつかない。だから、何もしないのが無難だ」という考えには、どう捉え直すのがいいでしょうか。
それには「たいていの失敗は挽回可能。挑戦したことを認めてくれる人もいる」と考えを切り替えると、気持ちも前向きになっていきますね。
成功へと導いた、著名な女性起業家の「失敗」に対する信念
アメリカの大手衣服メーカー・スパンクス社の創業者 サラ・ブレイクリー氏は、「人生で経験することで自分にとって害になることなどひとつもない」 という信念を持っているそうです。
失敗も含めたどんな経験も、自分をもっと賢明にし、何が起きて対処できるような教訓を授けてくれるもの。
人生に失敗があるとすれば、「行動を起こすことができなかった」ことに尽きる。
という確信を持っているのです。
「行動の結果として起きるのは失敗ではなく、自己成長を促しくてくれるもの、害は1つもない」と受け止めれば、心がフッと軽くなり、エネルギーが満ちてくるでしょう。
ただ、それでも行動への恐れがある場合も、リスクが小さいところから始めることをお勧めします。
まずは、仮に失敗しても、自分でどうにかできそうなリスクを負うところから始めてみましょう。そうすれば、恐れや不安といった感情にも少しずつ慣れていくができます。
以上が、行動を起こしやすくするためのトレーニング法でした。
前回と合わせて、下記の4つの方法をご紹介しました。
- 自分の強みを知る
- うまくできたことをメモする
- 目標は身近なところに設定する
- 失敗とうまく付き合う
実践しやすそうなものから、ぜひ取り組んでいただければと思います。
次回は、自信を構成する要素の3つ目「自己主張」について詳しくお話しします。
まとめ
- いきなり大目標に向かうのではなく、身近な目標を立てることで行動しやすくなります。提出すべき資料やレポートを作成するときに「ます、1ページをつくるところまでやろう」くらいに軽い気持ちで始めると、案外うまくいきます
- 自信をつけるには、行動につきものの失敗とうまく付き合うことが必要です。「失敗したら何にもならない」「失敗する私はダメな人間」というネガティブな考えを、「失敗は、どんな事態にも対処できる教訓を授けてくれる」「失敗は成功への踏み石」と切り替えることで、自信を喪失することなく、行動を続けていけます
【参考文献】
『自信をもてない人のための心理学』(フレデリック・ファンジェ著 紀伊國屋書店)
『実践版GRIT やり抜く力を手に入れる』(キャロライン・アダムス・ミラー著 すばる舎)