HSP(ひといちばい敏感な人)の基本的な知識から、最新の議論までをご紹介する、精神科医・明橋大二先生の連載「HSP大全」第3回です。
今回は、HSPかどうかを知るために大切な4つの特徴「DOES」について、まずは「D=処理の深さ(Depth)」から詳しく教えていただきます。
(1万年堂ライフ編集部より)
HSPの基本的な内容は下記でまとめていますのでご覧ください。
HSPなのに、そうではないと思っている場合があります
HSPは、五感から入ってくる情報を丁寧に仕分け、非常に深く細やかに処理します。ただ、その敏感さがどこに表れるか、どのくらい強く表れるかは、人それぞれ違います。
そのため、 一緒にいる相手が本当はHSPなのに、違うように見えてしまうことがあります。
HSP同士のカップルで、相手が自分よりやや敏感さが少ない場合、「きっとこの人は非HSPだ」と思ってしまいがちですが、実は、相手もHSPだった、というのはよくあることです。
また逆に、自分よりも敏感な反応をする相手と一緒にいると、自分がHSPなのにひどく鈍感な気がしたりもします。
誰かに対して「あんなにのんきで構えていられるなんて非HSPに違いない」と思ったり、あるいは、本人(特に男性)が「僕って鈍感だから」と言っていたりしても、実はHSPだったりすることがあるのです。
また、適応力が高かったり、外交的だったり、HSS(刺激探求型)という別の気質の持ち主だったりすると、HSPであっても、なかなか分からないということもあります。
HSPかどうかの判定基準はあるのでしょうか?
実のところ、明確な基準はありません。
HSPの敏感さは、生まれたときから神経に組み込まれているので、あらゆる場面で行動に影響しています。しかし、直接は見えないのです。
アーロン氏による自己チェックリストは、翻訳で見ていただけるので、敏感さを考えるきっかけにしてください。
ですが、それだけでHSPと言い切ることはできないとも言われています。
ひといちばい敏感なあなたが人を愛するとき―HSP気質と恋愛―
HSPに共通する4つの特徴「DOES」を分かりやすく解説
ただ、HSPの表れを、ある程度パターンに分けることはできます。
アーロン氏は、DOESという四つの特徴で、HSPを表しています。HSPであるならば、この4つの特徴をすべて備えているし、逆に一つでも全く当てはまらないものがあるなら、それは、アーロン氏の言うHSPではないでしょう、と言われています。
では、その四つの特徴、DOESとは何でしょう。これは、それぞれ、その特徴を表す言葉の頭文字です。
(1) D=処理の深さ
“D”は、処理の「深さ(depth)」です。
HSPは全ての情報を深いところで受け止めます。
出来事の意味、誰かの言葉、社会的なあらゆるメッセージを、奥深くで処理するので内面世界が豊かで複雑です。
(2) O=緊張や興奮のしやすさ、刺激過多
“O”は、緊張や興奮のしやすさ(overarousability)、刺激過多(over stimulation)です。
HSPは刺激をより強く受けやすいので、そうでない人よりも早く刺激がいっぱいになる(オーバーする)のです。
神経の高ぶりが続かないように、刺激から逃れるための時間と場所を求めます。
興奮や緊張をもたらす混乱や動揺を避けようとします。
(3) E=感情の激しさ、感情反応、共感
“E”は、感情の激しさ(emotional intensity)、感情反応(emotionally responsive)、共感(empathy)の”E”です。
人の気持ちが自分のことのように、分かり過ぎるくらい分かります。
また感情(エモーション)の反応が強いです。
(4) S=ささいな刺激にも鋭敏に反応すること
“S”は、ささいな刺激にも鋭敏に反応すること(sensitive to subtle stimuli)です。
身の周りのちょっとした変化にすぐ気づきます。
繊細な香りや味、音楽を味わう感性が強いのですが、すぐ驚く傾向もあります。
HSPの特徴を確認しましょう(DOESの“D”=処理の深さ)
今回はまず、刺激を深くで処理する“D”の例を紹介します。自分もそうだと感じられれば、下のフォームのボタンをチェックしてください。
半分以上に該当すれば、4つのうちの“D”に当てはまるのかもしれません。
※下のフォームから、ぜひ回答をお寄せください。
“D”の具体例
洞察力の高いHSPの仕事、恋愛アドバイス
HSPは、物事の核心を洞察し、潜在的な問題に目を向けたり、過去を振り返ったり未来を想像することが得意です。
他人よりもこだわりが強く、人柄は誠実、芸術家肌なところがあります。
表面には見えていない、背景や経緯にも思いを寄せるので、1を聞いて10を知るところもあり、誰も教えていないのに、自ら学んでしまうこともあります。
転職も含めて、HSPの気質を尊重できる選択を
人間関係や仕事には、豊かで飽きない精神的な奥深さや意義を求めます。
そういう理想を求めて、あるいは過度な刺激を避けて、転職を繰り返すHSPも多いです。
処理が深い為に、気質に合わない場所では、自分や他人に対するネガティブな情報を深く受け止めて、義憤に駆られたり、悲観したり、不安を感じがちです。
仕事も人間関係も、自分の気質を尊重できる選択をしましょう。
相手の欠点に気づいてしまう自分も受け入れて
恋愛は、直感が働くまでは熟慮に熟慮を重ねるタイプが多いです。
決断することや責任をとることがプレッシャーで、石橋を叩いてもなかなか渡ろうとしません。
まだ知りもしない相手の欠点や、それを許せない自分が心配で、何年も踏み切らないこともあります。
HSPは時間がかかっても必ず最後には、正しい判断ができるので、まず自分のセンスに自信を持ってほしいです。
特にHSPは、プラスの面よりも、マイナス面に目を向けがちなので、マイナスの考えや感情が深くなる前に、意識してものごとのプラスの面に目を向けるようにすることが大事です。
次回は残りの“O”“E”“S”について、お話したいと思います。
HSPチェック(D=Depth)はこちら
【ぜひ読んでいただきたい書籍】