HSP(ひといちばい敏感な人)の基本的な知識から、最新の議論までをご紹介する、精神科医・明橋大二先生の連載「HSP大全」第4回です。
相手にとってちょうどいい刺激が、自分には苦痛だったりすることはありませんか?
刺激の感じ方の違いを理解し合えたら、対人関係はもっと楽になれるかもしれません。
今回は、HSPの4つの特徴の2番目「O=緊張や興奮のしやすさ(Overstimulation)」について詳しく教えていただきます。
(1万年堂ライフ編集部より)
HSPの基本的な内容は下記でまとめていますのでご覧ください。
HSPには刺激から逃れるための時間と場所が必要です
前回から、HSPの4つの特徴、DOESを紹介しています。
DOESという4つの特徴がそろっているならば、アーロン氏の言う、HSPだと言われています。
今回は、緊張や興奮のしやすさ、刺激過多になりやすいという、O(Overstimulation)を紹介します。
すべての人は、刺激が多すぎると、神経が高ぶり、不快になります。
HSPは刺激をより強く受けやすいので、そうでない人よりもすぐに神経が高ぶります。
ひとたび神経が高ぶると、いくら前回紹介したD(処理が深い)が当てはまる人でも、集中力は落ちるしミスもするようになります。
物を覚えられなかったり、言葉が出てこなかったりします。
こうなるのを避けるために、HSPは、興奮や緊張、混乱や動揺を避け、刺激から逃れるための時間と場所を求めます。
具体的な特徴を以下にいくつか挙げますので、自分もそうだと感じられれば、ボタンをチェックしてください。
半分以上に該当すれば、4つの特徴のうち、Oに当てはまるかもしれません。
※下のフォームから、ぜひ回答をお寄せください。
“O”の具体例
相手が理解できないのは、刺激への感度の違いかもしれません
HSPに限らず全ての人は、刺激が強すぎても弱すぎても不快になります。
ですから人間の日々の営みは、刺激のほどほどを保つための調整と言えるでしょう。
刺激を増やすためにテレビをつけて、減らすために電気を消す。
増やすために転職をし、減らすために離婚する。
家族や恋人との関係で気をつけないといけないのは、HSPにとって心地いい刺激が、非HSPにとっては退屈であったり、非HSPにとってちょうどいい刺激が、HSPには苦痛だったりするかもしれないことです。
HSP同士でも、快適でいられる刺激の強さには、個人差があります。
ちょうどいい刺激のレベルが、一人ひとり違うことを理解して、自分を大切にし、相手も尊重できたらいいですね。
好きな相手と自分の違いを受け容れたり、言葉にして伝えたりするのは、それが好きな相手ならなおさら勇気が要ることもありますが、そんなコミュニケーションの積み重ねがHSPには大切なのです。
「いい人」でい続けようと無理をしていませんか?
なぜ、そんなに努力してまで、違いを言葉にして伝えたほうがいいのでしょう?
神経の高ぶりが慢性化すると、よく眠れない、朝起きた時から疲れている、集中力・記憶力が低下する、意欲が落ちる、風邪をひきやすくなる、いつもだるい、不安が強いというようなことが生じます。
刺激を受けると、ストレスホルモンと言われるコルチゾールが増えます。人前で話をするなど緊張する場面だと、コルチゾールの値は一気に増えます。
それが瞬間的ならいいのですが、その状態が続くと分泌のバランスが崩れ、心身のさまざまな働きに影響を及ぼすのです。
うつになることもあります。HSPに限らず誰でもそうです。
これは「ちょっとストレスから離れて休みましょう」という心身からのSOSです。
HSPは、せっかくそれをいち早く感じるのに、仕事でも家庭でも正義感や義務感にとらわれて、相手の悲しい顔を見たくないとか、自分の限界を受け容れたくないからと、心身のSOSを無視して無理を続けがちです。
イライラや不安、ストレスは、本当はため込みたくないのですが、一方でHSPには、それを吐き出すことさえ、相手のことを考えると刺激になってつらいのです。
いつでも、どんな相手も喜ばせたい、「いい人」でい続けようとすると、自分の一番身近で大切な人との関係が犠牲になってしまうことがあります。
このシリーズは、そんなHSPに読んでもらいたいと思います。
HSPチェック(O=緊張や興奮のしやすさ)はこちら【ぜひ読んでいただきたい書籍】