安定した自信が持てるようになる心理学 #6

  1. 人生
  2. 心理

どんな性格でも大丈夫!自己主張できない人が“自己主張上手”になれる4つのステップ

あなたは普段、どれくらい自信を持って過ごしているでしょうか。

適度な自信があれば、落ち込みづらくなり、前向きに行動することができ、生きやすくなりますね。

それとは反対に、自信を持っていなければ、物事を重く受け止め過ぎて、気分が沈みがちになり、なかなか行動することもできません。生きづらさを感じてしまうでしょう。

ではどのようにすれば自信を育んで、生きづらさを解消することができるのか。そのためのトレーニング法をご紹介しています。

前回から、自信を構成する3要素(自己評価・行動・自己主張)の3つ目である「自己主張」するためのトレーニング法をお話ししています。

「自己主張」するためのトレーニング法

①自己主張の必要性を知る

自己主張のトレーニング法の1つ目は、「自己主張の必要性を知る」ことです。

自分の気持ちや考えを周りに伝えなければ、周囲の人はあなたがどんなことを考えているのかわからないため、あなたのことを配慮しない恐れがあります

「この人は何も意見を言わないから、こちらの言う通りにするだろう」と思われ、あなたの気持ちを確認せずに事を進めたり、みんながやりたがらないことをさせようとしたりするかもしれません。

そうなればあなたは「私はみんなより低く見られているんだ」と思い、ますます自分の気持ちを言えなくなる、という悪循環に陥りかねないです。

こんな悪循環に陥りたくはない!と思えば、「思い切って自分の思いを伝えよう」と決意できるでしょう。

②自己主張の4つのステップを実践する

そのことを念頭に置いたうえで、2つ目の方法は、「自己主張の4つのステップを実践する」ことです。

「私はそもそも、自己主張できない性格なんです」と、性格を問題にされる方もいますが、これから紹介する4つのステップを踏めば、もともとの性格に関わらず、しっかりと自己主張ができます。

自己主張が苦手と言っていた人でも、“自己主張上手”になることもできるのです

ステップ①「自分の要求や希望を伝えなかった時に起こるよくない状況を想像する」

もし自己主張しなければ、たとえば、周囲に助力や協力を求めなかったらどんな不都合な状況になるのか、昇給・昇進を要求しなかったらどんな感情を抱くのか、想像してみることです。

協力を求めなければ事態はますます悪化する、昇給を要求しなければ不満がどんどん大きくなる、などと想像すると、「悪い状況を避けるために自己主張しよう」と思えるでしょう。

ステップ② 自分の要求や希望を伝えるのを邪魔するネガティブな考えを追い払う

いざ自分の意見や要望を言おうとすると、

「こんなことを言って、自分勝手な人と思われたらどうしよう」
「こう言ったら、相手は迷惑に感じるのではないか」

という自己主張にブレーキをかけるネガティブな考えが浮かんできます。

そういった考えは、自己主張のポジティブな面を見ることで、追い払うことができるのです。

「誰にでも自分の希望を伝える権利はある。自己主張しても自分勝手とは思われない」
「迷惑になるかどうかは相手に聞かないとわからない。自己主張したうえで、実際にたずねてみればいい」

とネガティブな考えに反論し、プラスの面を見れば、自己主張へと踏み出せます。

ステップ①と②の詳細をご紹介した、前回の記事はこちら

今回は、自己主張の4つのステップの後の2つのステップを詳しくお話ししていきます。

ステップ③ リストをつくって、できそうなものから並べてみる

どんな性格でも大丈夫!自己主張できない人が自己主張上手になれる4つのステップの画像1

ステップの3つ目は、あなたがいま、「こういう希望を伝えたい、こういう要求をしたい」ということを思い浮かべ、できそうなものから順番に並べていくことです。

たとえば、

  • 友人に、3ヶ月前に貸した本を返してもらいたいと伝える
  • 一緒に映画に行こうという話をしていたが、相手から連絡が来ないので、気持ちを確かめたい
  • 結婚している友人に次の休日、買い物に付き合ってもらいたい
  • 自分の体の状態ではいまの内容の仕事を続けるのは難しいことを、上司に理解してもらいたい

というものなどがあるでしょう。

次に、それができそうかどうか、100点満点で難易度を表します(100 – 難しい、0 – 易しい)。

  • 3ヶ月前に貸した本を返してもらいたいと伝える → 20点
  • 映画について、相手から連絡が来ないので、気持ちを確かめたい → 40点
  • 土曜日に買い物に付き合ってもらう → 60点
  • 自分の現状を上司に理解してもらう → 95点

それを踏まえて、できそうなものから取りかかってみましょう

いきなりハードルの高いことをやろうとしても、尻込みしてしまって「やっぱりやめてこう」となったり、「心が折れてしまう私は弱い人間だ」と自分を責めてもしまいかねません。

反対に、できそうなところから始めれば、着実に自信をつけていくことができるでしょう

ステップ④ リストの中のできそうなものから、実際にやってみる

リストの中のできそうなものをやってみる際に心がけたい、「自分の希望や要求を伝えるときの3つのポイント」をご紹介します。

ポイント1 希望や要求を正確に伝える

要求をすること自体、自信を高めることにつながりますが、できれば少しでも要求に応じてくれる可能性も高めたいですね。

その、相手が応じてくれやすくなるような要求の仕方の1つが、要求を正確に伝えること、もっと言えば、“肯定的な行動を促す言葉”を使うことです。

肯定的な言葉とは、「あなたには〇〇をしてほしい」と、要求の内容を具体的に伝えることです。

その反対に、「~しないでほしい」という、否定的な言葉での要求は避けるようにしましょう

否定的な言葉は、

  • 本当は何を要求されているか、よくわからなくなる
  • 相手から反発を引き出してしまいがちである

といわれています。

夫が仕事ばかりをすることに不満を溜め込んでいたある女性は、

「そんなに長時間、仕事をしないでほしい」

と、否定的な言葉を使って要求をしました。

すると夫は、3週間後、ゴルフの大会に出場を申し込んだ、ということがあったそうです。

奥さんが望んでいたことは、当然夫がゴルフすることではなく、家族と一緒に過ごすことですよね。しかし否定的な言葉を使っていては、本当に望んでいることが伝わらないことがあります。

では、別の言葉でその望みを要求するには、どんな言い方がいいでしょうか。

たとえば、「少なくとも週に1度は、家で家族と一緒にゆっくりと夜を過ごしてほしい」と言えば、しっかりと要求を伝えることができます。

ポイント2 相手の事情や気持ちに配慮する

要求を一方的に伝えても、相手がそれを受け入れてくれる可能性は低いですね。そこで、相手の事情や気持ちに配慮することが勧められています。

たとえば、「〇〇さん(相手)のご事情はわかります。こんなお願いをしたら、ご迷惑だと思いますが…」と、相手への気遣いの言葉を入れることで、相手は「こちらのことも考えているんだな」と受け止めてくれるでしょう。

ポイント3 自分の事情や気持ちを伝える

要求の内容だけではなく、なぜそのような要求をするのかという自分の事情・気持ちも伝えることで、相手からより共感を得られやすくなります。

自分が人に要求をされたことを想像してみると、事情もわからないまま何かを要求されても、「なぜこの人はこんなことを言うのだろう」と、釈然としませんね。

それが大きな要求であるほど、「なんで私がやらないといけないの?」という思いが強まるでしょう。

反対に、「それができないと〇〇できず(=事情)、困ってしまいます(=感情)」と伝えられれば、「ああ、この人にはこういう事情があるから、こう言ってきたのだな。それは本当に大変だ。なるべく力になりたいな」と共感し、相手に寄り添おうとするのではないでしょうか。

自分が要求をする場合も同様で、気持ちや事情を伝えることで、相手に共感してもらえる可能性がグッと高まるのですね。

以上が、自己主張する際に心がけたい3つのポイントでした。

 

自己主張の4つのステップとして、

  1. 「自分の要求や希望を伝えなかった時に起こるよくない状況を想像する」
  2. 自分の要求や希望を伝えるのを邪魔するネガティブな考えを追い払う
  3. リストをつくって、できそうなものから並べてみる
  4. リストの中のできそうなものから、実際にやってみる

をご紹介してきました。

日常でこのステップに沿って自己主張をぜひ実践していただき、自己主張を通してより自信をつけられ、生きやすさを実感していただければと思います。

まとめ

  • 自己主張の4つのステップの3つ目が、「リストをつくって、できそうなものから並べてみる」です。要求をしたいことを並べて点数をつけ、できそうなものから取りかかってみましょう
  • 実際に希望や要求を伝えるときに心がけたいのが、以下の3つです
    1. 希望や要求を正確に伝える-
      「~しないでほしい」と否定的な言葉で要求をしても、自分が本当にしてほしいことを正確に相手に伝えることは難しいです。肯定的な言葉を使って自己主張しましょう
    2. 相手の事情や気持ちに配慮する-
      一方的に要求するのではなく、相手への気遣いの言葉も忘れずに入れましょう
    3. 自分の事情や気持ちを伝える-
      なぜ相手にそれをやってほしいのか、という理由、自分の事情や気持ちを伝えることで、より相手に共感してもらいやすくなります

【参考文献】

『自信をもてない人のための心理学』(フレデリック・ファンジェ著 紀伊國屋書店)
『NVC 人と人との関係にいのちを吹き込む法』(マーシャル・B・ローゼンバーグ著 日本経済新聞出版)

シリーズ|安定した自信が持てるようになる心理学