日本人なら知っておきたい 意訳で楽しむ古典シリーズ #75

  1. 人生

『徒然草』からの生きるヒント 〜とにもかくにも、ウソの多い世の中です(徒然草 第73段)

ウソに気をつけましょう

4月1日は、エイプリルフール。「ウソをついてもいい日」なのだそうです。

そうしますと、あとの364日は「ウソをついてはいけない日」になりますが、世の中「ウソ」が多いですよね。「オレオレ詐欺や、還付金詐欺などに気をつけましょう」というニュースを聞かない日はないほどです。

一度きりの人生、誰かのウソにだまされて「こんなはずではなかった」と悔やみたくないもの。

『徒然草』には、兼好さんが世の中の「ウソ」を解説している段がありました。
木村さんの意訳でどうぞ。

とにもかくにも、ウソの多い世の中です

(意訳)

世間に語り伝えられていることは、本当のことを言うと、つまらないからでしょうか、多くは、皆、ウソなのです。

どんなウソがあるか、見てみましょう。

まず、すぐにばれると知りながら、口から出まかせに、しゃべり散らすウソがあります。これは、根も葉もないことだと分かります。

次に、自分でも「これは本当の話ではない」と感じながらも、他人から聞いたまま、鼻の辺りをぴくぴくさせて、得意げに話すウソがあります。これは、その人が作ったものではなく、受け売りのウソです。

最も恐ろしいウソは、いかにも本当らしく、所々をややぼかして、よく知っていないように装い、それでいて、うまくつじつまを合わせて言うウソです。これは、だまされやすいので気をつけなければなりません。

この他に、消極的なウソが二つあります。

一つめは、誰かが、自分のためになるようなウソ、名誉になるようなウソを言ってくれた場合です。だいたい、本人は黙認して、否定しません。しかし、黙っているままが、ウソをついていることになります。

二つめは、多くの人が、面白がって聞いているウソです。たとえ、自分が真相を知っていても、「そうではない」と言える雰囲気ではないので、黙って聞いているしかありません。しかし、黙っていたために、ウソが本当のこととして定まってしまうことがあります。

このように、ウソの多い世の中です。だから、人から、面白い話、うまい話、儲かる話を聞いても、そのまますぐに信じてはいけないのです。

(原文)

世に語りつたうること、誠(まこと)はあいなきにや、多くはみなそらごと也。(第七三段)

『徒然草』からの生きるヒント 〜とにもかくにも、ウソの多い世の中です(徒然草 第73段)の画像1

(『こころ彩る徒然草』木村耕一著 イラスト 黒澤葵より)

だまされて、無駄な時間を使わないように

兼好さん、ありがとうございました。
ウソにも色々あるのですね。勉強になりました。

特に、「最も恐ろしいウソ」には気をつけたいと思います。

兼好さんの分析どおり、ウソが上手な人は、よく知らないように装って、こちらに話をさせると、後出しジャンケンのごとく、ホイホイと話を合わせながら、ウソをつくんですよね。
こちらの話にうまいこと合わせてくるのが、ミソなのです。危ない、危ない。

だまされて、無駄な時間を使わないように、気をつけたいと思います。

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『徒然草』からの生きるヒント 〜とにもかくにも、ウソの多い世の中です(徒然草 第73段)の画像2

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