プロをまねてみたものの
4月は、新しいことを始めやすい時期ですね。
エレクトーンを習い始めた時、プロをまねて、体を揺らして演奏してみたのです。
すると講師、
「あ、まだ体は揺らさなくていいですからね〜」
とニコリ。
赤面しました。
そういえば、プロと素人の違いはどこにあるのでしょうか?
『徒然草』にヒントを見つけました。
木村耕一さんの意訳でどうぞ。
不器用でも、鈍感でも、成功を収める方法があります
(意訳)
あらゆる道の専門家は、たとえ技術が劣るといっても、器用で巧みな素人よりも必ず勝っているものです。
なぜならば、専門家は、たゆまぬ努力を続け、常に慎重に取り組み、軽率なことをしないからです。
素人は、思いついたように、自由気ままなことをしますので、形は似ていても格段の違いがあります。
このようなことは、芸能の世界に限らず、日常生活の行為や、心遣いにも共通していえることです。
たとえ器用ではなく、愚かなほど鈍くても、心を込めて、慎重に取り組むのが、成功のもとなのです。
どんなに器用であっても、自分の勝手気ままに物事を進めるのは、失敗のもとであると知っておくべきでしょう。
【原文】
よろずの道の人、たとい不堪(ふかん)なりといえども、堪能(かんのう)の非家(ひか)の人に並ぶ時、必ずまさることは、たゆみなく慎みて、軽々しくせぬと、ひとえに自由なるとの等しからぬなり。
芸能所作のみにあらず、おおかたの振る舞い、心遣いも、愚かにして慎めるは得のもとなり。巧みにして欲しきままなるは、失のもとなり。
(第一八七段)
(『月刊なぜ生きる』に好評連載中です。イラスト 黒澤葵)
自分の勝手気ままはNG
木村耕一さん、ありがとうございました。
常に慎重に取り組み、たゆまぬ努力を続けているのが、専門家なのですね。
一朝一夕にプロにはなれないと知らされました。
「素人は、思いついたように、自由気ままなことをしますので、形は似ていても格段の違いがあります」の一文にドキリ。
思いつきで、勝手気ままに、体を揺らして演奏してみても、プロとは格段の違いがあるんだなと反省します。
見ていた人は、さぞかしおかしかっただろうと、冷や汗。
でも、不器用でも、鈍感でも、
「心を込めて、慎重に取り組むのが成功のもと」
と教えてもらい、元気がわいてきました!
プロも最初は素人。コツコツと頑張りたいと思います。
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