Dr.明橋のHSP大全 #8

  1. 人生

HSS型HSPと30%の外向的HSPの特徴は?

HSP(ひといちばい敏感な人)の基本的な知識から、最新の議論までをご紹介する、精神科医・明橋大二先生の「HSP大全」第8回です。

HSPの基本的な内容は下記でまとめていますのでご覧ください。

これまでの連載はこちら

HSPはそれぞれ個性的で、敏感さは共通であっても、個性は一人一人違います。

中には、新しい刺激を愛し好奇心豊かなHSP、あるいは外向的なHSPもいます。

HSPの個性がバリエーション豊かな理由は大きく分けて2つあります。


(1)敏感さ以外に、個性を形作る遺伝子がいくつかある

(2)生まれながらの敏感さに人生経験が加わっている

例をそれぞれ1つずつ紹介します。

 

(1)好奇心の強いHSS型HSP(遺伝的要因)の特徴

アーロン氏は、脳には衝動をコントロールする2つのシステムがあると言います。

1つは、行動抑制システム(Behavioral Inhibition System)です。

用心システム(Pause-to-Check System)ともアーロン氏は言っています。

それによって、行動する前に一時立ち止まり確認します。

全てのHSPは、このシステムが強いと考えられます。

もう1つは、行動活性システム(Behavior Activation System)です。

アーロン氏は、これを冒険システム(Go-for-it System)とも言っています。

これがあることで私たちは、報酬(刺激)を求め、好奇心が強く活発で、退屈しやすくなります。

行動活性システムの強い人たちを、マービン・ズッカーマンは、「刺激探求型(High-Sensation Seeking)」と呼びました。

これもHSPと同じく、生まれつきの性格です。

全ての人が、この行動抑制システムと行動活性システムを持っていて、どちらが強くてどちらが弱いか、両方強いか両方弱いかは人それぞれです。

それがまたHSPの様々な個性を生み出しています。

HSS型HSPと30%の外向的HSPの特徴は?の画像1

下記の特徴が当てはまる数が多いほど、刺激探求型(HSS)といえるでしょう。

刺激探求型(HSS)の特徴

・新しいものが好き

・変わったものに惹かれる

・事態が紛糾すると生き生きする

・出会いを楽しみたい

・生活にはバリエーションが要る

・引っ越しを楽しめる

・同じ話はつまらない

・珍しいところを旅したい

・運動や遊びではスリルも味わいたい

・家にいるより外に出掛けたい

・退屈は苦痛だ

 

刺激探求の気質は、非HSPもHSPも、多くは中間層(快適なゾーン)です。

あなたがもしもHSS傾向の強いHSPならば、このようなことはありませんか?

刺激を欲するHSSと、刺激を抑制したいHSPが同居

  • ちょっとしたこと(飲み会の誘いに応じるかなど)を決めるのにも内面がせめぎ合う
  • 流行を追いかけようとは少しも思っていないが、気がつくと最先端にいる
  • 不謹慎と分かっていてもどうしても笑ったり言ったりしてしまう(一応慎重に場面を選んでいるが)
  • 真実を挑発的な言葉で発してしまい周囲をひやひやさせる(自分も葛藤している)
  • 事態が紛糾すると生き生きするくせに、誰よりも疲れる(でも刺激を手放したくない)
  • 常にアクセルとブレーキを踏み続ける感覚だ
  • 多面的な物事の見方ができて楽しめるが、アウトプットに至る前に圧倒される
  • 様々な理由で特定の異性との関係は長く続かない
  • なかなか他人に理解されない(似た人との出会いは奇跡)
  • 集中力を発揮する時と発揮しない時が極端だ(発揮していない時もストレスを感じ続けている)
  • ちょっとトラブルメーカーかもしれないが必要な問題提起をしている自負もある
  • 煩悶が絶えない。「煩悩」の数が多い気がする(※「煩悩」は仏教で私たちを煩わせ悩ませるもので誰でも例外なく108持つとされています)

※いつものアンケートフォームは最下部にありますのでよろしければあなたのHSPらしさを聞かせてください

 

人は、刺激が多すぎても少なすぎても苦痛になります。

刺激が多すぎると疲れますし、少なすぎると退屈します。

しかし両方のシステムが活発なHSPは、刺激の最適なレベルを維持するのがとても難しいのです。

最適な刺激のストライクゾーンがとても狭いからです。

退屈する一方で、刺激過多にも陥りやすいのです。

刺激探求タイプのHSPは、静かな引きこもり生活を愛して少しも退屈しないHSPを見ると、果たして自分がHSPなのかと疑います。

しかしそういうHSPもいるのです。

(2)30%が外向的なHSP(経験的要因)

カール・ユングは、人間の基本的態度を二通りに分け、それを外向性、内向性と呼びました。

外向性とは、興味や関心が、外界の事物や人に向きがちな性質を言い、内向性とは、心の内面に関心が向きがちな性質を言います。

HSPにも、内向的なHSPと外向的なHSPがいます。

HSPの約70%は内向的です(アーロン氏)。

大勢でわいわい過ごすより、友人が数人いてそのうちの1人か2人と一緒にいることを好みます。

人見知りと勘違いされがちですが、本来のHSPは、他人を必要とし必要とされ、人間が好きです。

多くの人は、敏感な人、というと、内向的なイメージを思い浮かべるのではないでしょうか。

しかし実際は、HSPの30%は、外向的と言われます。

それはなぜでしょう。

多くの場合、幼少期、家族が外向的で、たくさんの人が賑やかに交流する様子に安心を感じていた、ということがあります。

しかし中には、外向的な家族を喜ばせるため、または自分の敏感さを補うため、または隠すために外向的に育ったHSPもいます。

社会に出てからは、家族や誰かのため、仕事のため、夢や情熱のためということもあります。

外向性は、もともとの性格に、環境が加わって、後天的に作り上げられたものです。内向性もそうです。

社交的なHSPは次々とイベントに顔を出し人脈を作り、ビジネスに活かします。

人を紹介され、人と人を繋ぎ、場の空気や相手の気持ちに応じ気の利いた発言をします。

自信にあふれた笑顔を作り、キャラクターが興味深いと言われ、信用もされます。

そういうHSP男性は、なぜか結婚指輪をしていないこともあります。

HSS型HSPと30%の外向的HSPの特徴は?の画像2

刺激を求めるHSPのように、多くの外向的なHSPは、内向的なHSPとは非常に異なるため、自分がHSPであることを疑います。
男性は特に、刺激に強いフリをしたり、外向的であろうとしたりします。

女性もそういうところがあります。そのほうが魅力的と思い込んでしまっているのでしょう。

さまざまな個性を持つHSP、敏感さに対応が必要なのは同じ

そのような理由から、同じHSPといっても、さまざまな個性の人がいます。

ただ、どんなに好奇心が旺盛(HSS)でも、HSPである限り、慎重に立ち止まって確認したい気持ちを消すことはできません。

いくら社交的で他人の期待に応えるのが得意でも、一人の時間が欠かせないのなら、やはりHSPです。

HSPは、刺激過多の影響を強く長く受け止めます。

刺激を過小評価し続けると、心身の不調に現れます。

HSS型HSPと30%の外向的HSPの特徴は?の画像3

心身の不調は、「私は本当はそれをしたくない」「彼らの求めにこれ以上応じる必要がない」というあなたの中のHSPが伝えてくれる確かなメッセージです。

これを無視した時に、病気になったり、あなたの身近な人間関係に犠牲が及んでしまったりするのです。

特に、HSPでありながら、刺激を求める人は、アクセルとブレーキを同時に踏んでいるようなもので、混乱しやすく、疲れたり、イライラしたりしがちです。

あなたの中のHSPが違和感を察知しているのなら、少し立ち止まって、本当に大切なもの、必要なものは何か考え直すといいかもしれません。

もしかしたら、外で多くの人と忙しくしているよりも、パートナーと話をする時間や、一人になる時間が、今は何より必要なのかもしれません。


刺激探求型HSPチェックはこちら

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教えて、明橋先生! 何かほかの子と違う? HSCの育て方 Q&A

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