HSP(ひといちばい敏感な人)の基本的な知識から、最新の議論までをご紹介する、精神科医・明橋大二先生の「HSP大全」第9回です。
HSPの基本的な内容は下記でまとめていますのでご覧ください。
HSPの70%は、内向的です。
HSPは、誰かと長く、豊かな関係を築くセンスにあふれる一方で、人間関係には慎重なところがあります。
特に恋愛には超が付くほど慎重です。
波長の合う相手が限られる、理想が高いためともいえます。
また一度相手を好きになると、「感情を激しく揺すぶられる」ことも理由の一つです。
HSPは好きになった相手に近づくことも、嫌ったり嫌われたりすることも、両方、特別に恐れます。
そのため、HSP の恋愛は、非常にうまくいくか、その逆か、極端なのです。
人間関係に臆病なのはHSPだからではありません
以前、HSPが小さな刺激に反応することについて、研ぎ澄まされているのは、五感(感覚器官そのもの)ではなく、受け止めだと言いました。
HSPが「痛み」を感じやすいのは、敏感さ(慎重さや警戒)によって、受け取った痛みが「増幅」するからです。
臆病は、生まれつきでもHSPの特徴でもありません。
(非HSPも含めほとんどの人は、「大胆かシャイか」と問われれば「シャイ」と答えるでしょう)。
しかし、親密な関係(夫婦や恋人など)で、同じ問題を繰り返し経験するようなら、あなたには、何かしらの「痛み」や「恐れ」があって、もしかしたら敏感さによって、それらが実物大よりも大きく見えているのかもしれません。
非HSPでもHSPでも、もし、下記にあてはまる出来事や傾向が1つでもあれば、次回から紹介するエレイン・N・アーロン氏の「親密さへの8つの恐れ」「愛着のスタイル」「分裂・投影」「コンプレックス」の話が参考になると思います。
親密さのセルフチェック
- 「告白」は自分からできない
- 楽な愛をキープしておきたい
- 相手の瞳に吸い込まれて消えてしまいそうになる
- 恋愛と聞くと不快(軽蔑)感または不安感を覚える
- 恋愛には疲労(リスク)しかない
- 生身の恋人より、いつまでも「遠くから」幻想を抱いていたい
- いくら良さそうな相手でも、距離が縮まるといつもイヤになる
- 展開が急だ(激しく好きになる・急に嫌いになる)
- 「もっと自分を頼ってほしい」と不満だ
- 相手を好きになりすぎるのが恐い
- デート中は常に相手を優先し、「自分のしたいこと」が分からない
- 相手を「放っておけない」という理由で交際した
- 嫌いになるかもしれないから相手の欠点を見たくない
- 嫌われるかもしれないから自分の欠点を見せたくない
- 絶対に振り回されたくないか、思いっきり振り回してほしいか、どちらか極端である
- どんな時も支配されたくないか、完全に支配してほしいか、どちらか極端である
- 期待や依存をされると不安だ
- 相手が「わがまま」になるのが不安
- 一人の時間が必要なのに、相手に伝えられない
- すべていつか自分を裏切る(恋人だってそうだ)
- 相手の既読や返信が遅いだけで不安になる
- 毎晩の電話は疲れるが、それを伝えられない
- キレられるともう無理
- ありのままの自分を出せない
- 「味方」はこの世に彼(彼女)一人きりだ
- 夫(妻)の意見は、いつも正しい(いつも間違いである)
- お願いやケンカをしなくなり、それぞれの生活を満喫するようになった(or別々に過ごすようになった)
- 相手の気質のせいで人生、損をしている
- 私は夫(妻)を頼るしかない
- 夫(妻)は自分がいないと何もできない
人間関係を改善するには無意識の「恐れ」に目を向ける
人は温もりに包まれて生まれてきました。
誰かと繋がり、どんなに暗い感情も共有できる、温かい感覚があると幸せです。
しかし、それを「恐れ」が上回ることもあります。
相手を極端に眩しく感じる。
自分たちの「問題」が実際のサイズより大きく見える。
それが起きるのは、あなたが「自分」をどこかに置き去りにしているときです。
相手から切り離されたときに、安全な「自分」がどこにもいないのなら、どんな人と一緒でも常に不安です。
アーロン氏は、「深層心理学は、見落とされ抑圧され蔑まれさえしている生の側面に目を向ける心理学」と言います。
よく若い人は「自分探しの旅」と言いますが、たとえ何歳になったとしても、HSPが再び自分を見つけるためには、深層心理(無意識)の探訪もいいと思います。
次回からは、上空から心の地図を眺めるツアーに出かけたいと思います。
当てはまるものがあれば教えてください。
【ぜひ読んでいただきたい書籍】