少子高齢化で多くのことが問題視されていますが、その1つが増え続ける医療費です。
中でも高齢者の医療費は深刻な問題でしょう。
家族や将来のために知っておきたいこと、特に窓口負担と高額医療費について、吉田充寿会計士にお話しいただきました。
(1万年堂ライフ編集部より)
高齢者にかかる医療費について、窓口負担と高額療養費に関する、ここ数年の制度改定のポイントをご紹介します。
70歳から74歳の窓口負担は、1割から2割に倍増!
70歳から74歳の方の医療費の窓口負担は1割とされていましたが、平成26年度から見直され、
平成26年4月以降新たに70歳に達する人(69歳まで3割負担だった方)から2割とされました(現役並み所得者は3割負担のまま)。
平成26年3月31日時点ですでに70歳になっている方は、1割に据え置きです。
これにより、以下の図(出典:第73回社会保障審議会医療保険部会 資料1)のとおり、平成30年4月には70歳から74歳までのすべて(現役並み所得者を除く)が2割となります。
これから70歳を迎える人は、皆さん74歳まで2割負担です(現役並み所得者はずっと3割負担)。
高額療養費の自己負担は、70歳を過ぎても減免されず
70歳以上の高額療養費の限度額も、平成29年8月から改定されました。
外来で1カ月の医療費が100万円だった場合
まず、窓口で支払う自己負担額が、現役並み所得者は30万円、普通の人は20万円です。
そこから高額療養費制度によって一定額が返還され、限度額までが自己負担となります。
自己負担限度額は、昨年(平成29年)8月に引き上げられて、
年収370万円未満の中所得者は2,000円アップで14,000円に、
年収370万円以上の人は、1万円以上アップで57,600円になりました。
これが、今年(平成30年)8月にはさらに引き上げられます。
年収370万円未満の中所得者は18,000円に、
年収370万円以上の人は所得額に応じて3区分され、
770万円未満の人は87,430円に、
1,160万円未満の人は171,800円に、
1,160万円以上の人は254,180円になります。
ここ数年で少なくても1.5倍、収入が増えるにしたがって、負担が3倍、5倍となる計算です。
今度は入院で1カ月の医療費が100万円だった場合
まず、窓口で支払う自己負担額が現役並み所得者は30万円、普通の人は20万円です。
そこから高額療養費制度によって一定額が返還されて、限度額までが自己負担となります。
自己負担限度額は、昨年(平成29年)8月からは、
年収370万円未満の中所得者は13,200円アップで57,600円になりました。
年収370万円以上の人は87,430円のままで変わりませんでした。
ところが、これが今年(平成30年)8月には、
年収370万円未満の中所得者については変更なく57,600円のままですが、
年収370万円以上の人は所得額に応じて3区分され、外来の場合と同額になります。
すなわち、
770万円未満の人は87,430円のまま、
1,160万円未満の人は171,800円に、
1,160万円以上の人は254,180円になります。
以上を図にまとめたのが以下の資料(出典:全国厚生労働関係部局長会議〔厚生分科会〕資料 保険局 平成29年1月19日)です。平成30年度には、70歳未満と同じ枠組みとなるのです。
医療費の窓口負担は75歳までで区切りがありますが、高額療養費については年齢による区分はもはやなくなり、所得区分でのみ負担額が決まるようになります。
終わりに
医療費の見直しにより、高齢者の医療費は引き上げられることはあっても、下がることはないでしょう。自分の子どもの世代に負担をかけないためにも、健康でいつまでも現役並みにいきたいものです。