「幼稚園、イヤだ!」「学校へ行きたくない」
元気に毎日、登園、登校していた子どもが、突然、このように言い出せば、親としては心配と同時に、どのように対応すればよいのか戸惑うことでしょう。
そしてつい、
「何をグズグズ言ってるの!早く行きなさい」「学校へは行くものよ!」
などと声をかけることはないでしょうか。
実はこの対応は、状況をさらによくない方向に向かわせることになりかねません。
「登園しぶり」「登校しぶり」は、特に大型連休や、夏休みなどの長期休暇明けによく見られますが、今は未知のウイルスの影響で、登園登校が例年と違う形になっています。
園や学校側も模索しながらの対応ですので、大人も子どもも、慣れずに不安を感じることも当然あるでしょう。
登園や登校をしぶったり、イヤがったりするには、子どもなりの理由があります。まずはその主な理由や、いきさつについて説明します。
登園登校しぶりが始まる3つの理由とは
新学期からの緊張の連続で、疲れを感じている頃だと思います。
まずは、体調不良や発熱を確認しましょう。
中には、何かの病気の場合もあります。その時は速やかに、かかりつけ医を受診したり、自宅で養生したりするようにしましょう。
体調に何ら問題が無い場合は、次の理由を考えてみましょう。
1.休みのリズムに慣れてしまった
朝、ゆっくり寝ていたい、自宅で遊びたい、親と一緒にいたいなど、休日の生活リズムに慣れ、園生活や学校生活がしんどくなって、気持ちがついていかない場合があります。
2.園や学校で嫌なことがある
友達とケンカをした、友達に無視された、先生に怒られた、給食に嫌いなものがある、行事に向けての練習が厳しい、などといったことが考えられます。
また小学生になると勉強が分からず、45分間じっと座っているのが苦痛など、園や学校で憂鬱に感じる問題が発生している場合があります。
学校のトイレが使いにくい、理科室が怖い、靴を入れる場所が分かりにくいなど、大人にとっては思いもよらない些細なことが、子どもにとって大きな理由になっていることもあります。
3.園や学校以外で環境に変化があった
最近、弟や妹が生まれた、引っ越しをした、祖父母など身近な人との別れがあったなど、園や学校以外での環境で大きな変化があった場合も、不安を感じ、登園や登校をしぶることがあります。
また小学生になると勉強が分からず、45分間じっと座っているのが苦痛など、園や学校で憂鬱に感じる問題が発生している場合があります。
環境の変化に慣れず心が不安定になっていたり、親の関心が赤ちゃんに集まっていたりすると、愛情を確かめるために、登園・登校しぶりを起こすこともあります。
親だからできる3つの対応方法!登校しぶりを親子の絆を深めるきっかけに
1.気持ちに共感する
まずは、「行きたくない」という気持ちに共感しましょう。
「行きたくない」には、子どもなりの理由があるのです。
「そっか~、幼稚園に行きたくないんだね」「学校に行くの、嫌なんだね」
と、「行きたくない」という気持ちを受け入れましょう。
そうすることによって、「親は、自分の気持ちが分かってくれている」と子どもは思い、親の言葉に耳を傾けられることもあるでしょう。
頭ごなしに「早く行きなさい!」「学校へは行くものよ」など、行くのを強要することはやめましょう。
余計に不安になり、親への不信感が生じて、状況をさらに良くないほうへ向かわせることにもなりかねません。
2.理由を1回だけ尋ねる
1回は「行きたくない」理由を尋ねてみましょう。
もしかすると、子どもはその理由を話したいと思っているかもしれません。そして、さっそくその問題に対処できるようでしたら、改善していく取り組みをすればよいでしょう。
ですが、このように、すぐに答えを引き出せることは少ないと思います。
言い代えれば、モヤモヤした気持ちや、行けない理由を言えないから、登園、登校しぶりという形で表すのです。
その場合は、詰問したり、無理に聴き出したりしようとせず、「言いたくなければ、言わなくてもいいよ」とだけ声をかけ、静かに見守りましょう。
3.普段どおりに接する
そして少し休ませてみるのがよいでしょう。家庭でゆっくり癒しの時間を取り、親にじゅうぶん甘え、安心感や心の安定を取り戻すと、また元気になり、登園登校に気持ちは向くでしょう。
休んでいる間は、普段の家庭での生活と変わりなく、「おはよう」「ごはんよ」「今日はいいお天気ね」など、言葉をかけてください。
これは子どもを肯定的に認知している関わりになり、「あなたを全て受容している」ということが伝わる関わりになります。
NG対応「脅しの言葉」
脅しの言葉で、行かせようとすのは絶対にやめましょう。
例えば「幼稚園に行かないと先生に怒られるよ」や「学校に行かないと、勉強についていけなくなってすごく困るのよ!」などです。
これは、子どもを余計に不安にさせ、心を委縮させ、さらに登園・登校から遠のかせる心配があります。
心のモヤモヤをぶつけられるのは、親を信頼している証拠
「行かせてしまえば、保育園では案外ケロっとしている。だから、少々無理にでも行かせてしまえばいい」と考える人もいますが、これは親が子どもをごまかしているだけでなく、子ども自身も、自分の気持ちをごまかしている状態です。
幼い間は、問題も小さくごまかしも利くのですが、年齢が高くなると、問題も大きくなります。やがて子どもの精神的耐性より、問題のほうが大きくなった場合、ストレスが一気に爆発し、激しい反抗や、無気力に陥ることが懸念されます。
ですので、無理に気持ちに蓋をして行かせるのではなく、不安を安心に変えてから、登園、登校するようにしましょう。
登園しぶり、登校しぶりは、マイナスの状況ではなく、子どもときちんと向き合う何かが発生しているサインだと思ってください。
そして、「心のモヤモヤや憂鬱をぶつけても、親はそれを受け入れてくれる」という信頼感があるからこそ、子どもは登園登校しぶりをしているのです。
そういった意味では、親は子育てに自信を持ちましょう。そして焦らずおおらかに対応してくださいね。