父の願い

6月20日は、父の日ですね。
最近は、おうち時間が増えたことで、父親が子供に教える機会が多くなったそうです。
親心はありがたいですね。

「わが子が幸せに生きていけますように」の父の願いは、昔も今も変わらないようです。

2500年前に書かれた『イソップ物語』に、ブドウ畑の宝物というエピソードがありました。
木村耕一さんの意訳でどうぞ。

ブドウ畑の宝物

広いブドウ畑を持つ農家がありました。
この家の主は、病気で寝込んでいます。

しかし、
「自分の命は、もう、あとわずかしかない」
と気がついたのです。

この男には、三人の息子がいました。
親としては、
「あの子たちが、皆、幸せに生きていけますように」
と、最後に願うばかりでした。

父が残した宝物〜「イソップ物語」よりの画像1

まもなく父は、枕元に子供たちを集めて、こう言いました。

「実は、あのブドウ畑には、宝物が隠してあるのだ。
私が死んだあとで、ゆっくりと土を掘って、探し出すがよい。
その宝を手にして幸せになるんだぞ」

父が残した宝物〜「イソップ物語」よりの画像2

父が亡くなると、三人の息子は、それぞれくわやすきを担いでブドウ畑へ向かいました。

来る日も、来る日も、汗を流しながら土を掘り返していきますが、宝物は見つかりません。

父が残した宝物〜「イソップ物語」よりの画像3

お父さんがウソをつくはずがない。もうちょっとだ、頑張ろう」

三人は、力を合わせて、畑の隅から隅まで掘り返しましたが、ついに、何も出てこなかったのです。

しかし、根気よく土を掘り返したおかげで、ブドウがよく育ち、いつもの年の何倍も実をつけたのでした。

父が残した宝物〜「イソップ物語」よりの画像4

豊作になれば、当然、収入が増えます。
三人の息子は、大喜びでした。

「今まで、こんなに一生懸命に、畑を耕したことはなかったね」

「お父さんが、宝物を埋めたと言ってくれなかったら、とても、できなかったと思う」

「コツコツ努力し、頑張って働けば、幸せがやってくるんだ」

「この教訓こそ、僕たちが掘り当てた宝物だよ」

父が残した宝物を、しっかり受け取った三人は、その後も苦労をいとわずに働き、幸せな人生を送ったのでした。

父が残した宝物〜「イソップ物語」よりの画像5

(『月刊なぜ生きる』 令和2年9月号「イソップ物語 人生にこんな場面ありませんか?」 文 木村耕一 絵 黒澤葵 より)

幸せは、どこから来るのか

木村耕一さん、ありがとうございました。

父が残した宝物とは、「コツコツ努力し、頑張って働けば、幸せがやってくるんだ」という教訓だったのですね。

人生には、いろいろなことがあります。
その中、「真面目に努力しよう」という気持ちになるのは、「子供の幸せを念じてくれる親心」によってなのかもしれません。

「父の日」には、「ありがとう」を伝えたいと思います。

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