だいぶ慣れてきた「テレワーク」。
不都合な面もありますが、「人間関係のストレスが軽減された」と感じている人も多いようです。
実際に顔を合わせると、「あの人にあんなこと言われた」「そんなふうに言わなくたっていいでしょ」と、他人の言動にイライラ、カリカリ……。人間関係の悩みが出てきます。
こんな時、どうしても「他人が悪い」と思いがちですが、もしかしたら、キッカケは自分の言動にあったのかもしれません。
そんなことに気づかせてくれる「イソップ物語」がありました。
木村耕一さんの意訳でどうぞ。
ツルの反撃を受けたクジャク
クジャクが、色鮮やかな羽を広げ始めました。
太陽の光を浴びて、キラキラ輝いています。
周りにいる他の鳥たちに向かって、
「どうぉ! 私、ステキでしょう!」
と言いたそうな顔をして、
羽を見せびらかしていました。
でも、誰も褒めてくれません。
そこでクジャクは、
近くにいたツルに向かって言いました。
「世の中に、私の羽より
美しいものはないと思いませんか。
有名な画家でさえ、七色に輝く私の姿を、
絵に描くことはできないと言ったのですよ」
ツルは、白一色の自分の羽を
けなされたように感じました。
面白くありません。
きつい口調で、こう言い返したのです。
「なるほど、鳥の中で、
あなた以上に美しい者はいないでしょう。
しかし、あなたには、大きな欠点が、二つあります。
まず、足元が汚いこと!
豪華な服を着ながら、足に泥をつけているのと同じですよ。
次に、空を飛べないこと!
あなた、それで鳥といえますか。
自慢ばかりして、少しも欠点を改めないなんて、
恥ずかしくないんですか!」
クジャクは、一言も返答ができず、
うつむいて逃げていきました。
自分が、何気なく話したことが、
相手を傷つけたり、怒らせたりすることが、
よくあります。
特に、自慢話を聞かされて、
うれしい人はありません。
もしかしたら、あなたの話を、
「そうなんですか!」「すごいですね!」と、
笑顔で聞いている人でも、
心の中では、このツルと同じように
文句を言っているかもしれませんよ。
自慢話は、要注意!
(『月刊なぜ生きる』 令和3年2月号「イソップ物語 人生にこんな場面ありませんか?」 文 木村耕一 絵 黒澤葵 より)
自分の言動を振り返る
木村耕一さん、ありがとうございました。
人間同士の会話よりも、クジャクとツルの会話のほうが、客観的にそして冷静に、自分の言動を振り返ることができました。
自慢話は、周りの人を不快な気持ちにさせてしまいますね。
気をつけたいと思います。
「イソップ物語」が昔から読み継がれている理由が、分かる気がしました。
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