「暑さ寒さも彼岸まで」といわれるとおり、秋の気配を感じるようになりました。
寒くなってくると、中華まんが食べたくなったり、人と会いたくなったりしてきます。
恋はオールシーズンですが、秋冬は、より温かい恋を求めているのかもしれません。
恋の最中には、「この人しかいない!」と思いますが、ふとしたことで100年の恋も冷めると、「あれ? こんなことするの?」と、途端に嫌いになることも……。
相手は同一人物ですが、別人のように感じますね。
『枕草子』に、「あまりにも違いすぎて、比べようもないもの」という一段がありました。木村耕一さんの意訳でどうぞ。
人間なんて、心変わりすると、全く別人になるんですよ
(意訳)
あまりにも違いすぎて、比べようのないもの。
夏と、冬と。
夜と、昼と。
雨の日と、晴れの日と。
人が笑っている時と、腹を立てている時と。
年老いた人と、若い人と。
白い色と、黒い色と。
自分が思いを寄せている人と、自分が憎んでいる人と。
同じ人なのに、自分に愛情を持ってくれていた時と、心変わりしてしまった時とでは、全く別人のようにしか思えません。
(『こころきらきら枕草子』木村耕一著 イラスト 黒澤葵 より)
恋の歌
木村耕一さん、ありがとうございました。
季節も、天気も、人の心も、比べようもないほど、変わるものなのですね。
「同じ人なのに、自分に愛情を持ってくれていた時と、心変わりしてしまった時とでは、全く別人のようにしか思えません。」の一文に、ハッとしました。
このあたりの恋愛事情は、千年前も今も変わらないようです。
ある日、プロポーズしてきた貴公子に、清少納言はこんな歌を送って、ピシリと断っています。
夜をこめて 鳥のそらねは はかるとも
世に逢坂(おうさか)の 関はゆるさじ
この歌があまりにも素晴らしかったので、断られた当の貴公子が、皆さんに披露したとか……。
この清少納言の歌は、『小倉百人一首』に選ばれていました。やっぱりとても素晴らしい歌なのですね。
恋の歌が、現在まで語り継がれているって、とてもロマンチックです。
『こころきらきら枕草子』は、
お近くの書店にてお求めください。
ご自宅へお届け希望の方は、
電話: 0120-975-732(通話無料)、
または、思いやりブックス(本の通販)に
お問い合わせください。 意訳で楽しむ古典シリーズ 記事一覧はこちら