前回は、PMSという、生理が原因の精神的な症状についてお話をしました。
今回は、そのPMSのメカニズムや、具体的な症状について解説していきます。
この記事はこんな人におすすめ!
- 生理と不快症状の関係を知りたい人
- PMSについて知りたい人
- PMSを改善させたい人
この記事を読めば、生理が原因の心の症状に関する疑問が解消し、実際に改善させていくこともできますよ!
引き続き、たなべクリニックの産科婦人科医、田邉良平先生にご監修いただきました。
ソフロロジー法という、産前教育の普及をライフワークとしている。
※たなべクリニックは、日本ソフロロジー法研究会が認定した日本で初めてのソフロロジー法教育施設
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田邉先生監修、ソフロロジーの記事はこちらをご覧ください。
たなべクリニックには、毎日のようにPMSの患者さんが受診されます。
PMSは決して特殊な病気ではなく、女性なら誰にでも起こり得ます。
ご自身のPMSをきちんと理解し、向き合い方を考えていきましょう。
さっそく、生理と不快症状の関係について見ていきましょう。
生理時、身体の中では女性ホルモンが変化している
まずは、生理について簡単なおさらいです。
女性の身体は、赤ちゃんができても問題がないように、毎月一定のリズムで準備をしています。
この時目には見えませんが、身体の中で女性ホルモンのバランスが大きく変化しているんです。
準備が整うにつれて、ホルモンの分泌量が増加し、妊娠しなければそのままホルモン量が減少していきます。
女性ホルモンが周期的に分泌されることが、自然出血に繋がっており、これが一般的に「生理」と呼ばれる現象なのです。
なので、生理がきちんと周期的に来ることは将来的に赤ちゃんを迎える女性にとって、とても大切なことと言えます。
ただ、このホルモンバランスの変化は、身体に様々な影響をもたらします。
出血や肌荒れといった、目に見える部分だけではありません。
精神的な不快感や、不安感など、目には見えないところにも大きな影響を与えているのです。
生理前こそ要注意!「PMS(月経前症候群)」って?
実は、ホルモンバランスの変化は、生理前から始まっているんです。
こうした、生理前から始まる症状を、PMSといいます。
PMSとは、Premenstrual Syndromeの略で、生理の約3日〜10日前に現れる症状の総称です。
日本語では月経前症候群といいます。
生理中の不調に目を向けがちですが、なんと女性の5人に1人が、この生理前に現れる不調に悩まされているという結果も。
PMSには、
- 下腹部痛
- 過眠/不眠
- 肌荒れ
- 異常な食欲
- 腰痛・頭痛
- 疲労感・脱力感
……というような、具体的な身体の変化から、
- 意欲低下・倦怠感
- 周囲への興味の衰退
- 著しい怒りの感情
- 抑うつ症状
- 圧倒された気分になる
- 情緒不安定
- 自己否定的思考
……といった、目には見えない心の不調もあります。
PMSに含まれる症状はなんと、200種類以上!
しかも、PMSはいまだに謎の多い症状で、女性ホルモンが直接の原因かどうかも定かではありません。
また、PMSの厄介なことは、生理が始まると別人のように調子がよくなる(今までの不調がなくなる)こと。
ですので、不調を感じていても一時的なものだと思い込んでしまい、PMSであることに気づけない、ということが多いんです。
こうした特徴から、男性になかなか認知してもらえないのはもちろんのこと、女性同士でも程度の差から、理解し合えないことがあります。
ですが、自分自身が感じている辛さや苦しみは、誰になんと言われても嘘ではなく、あなた自身のもの。
辛いことを、周囲の指標で判断せず「私は辛いんだ」ときちんと受け止めてあげることが大切です。
そのためにも、PMSについてよく理解する必要があります。
理解を深めることで、ご自身の不調のパターンや、いつ症状が出そうか、などが分かり対処できるようになりますよ。
少しでもご自身の症状に不安のある方は、チェックリストで確認してみましょう!
あなたはPMS?チェックリストで確認しよう
ご自身の症状に当てはまるものが多いかどうか、以下のチェックリストで確認してみてください。
□さまざまなものへの関心がなくなることがある
□絶望感にさいなまれることがる
□自己嫌悪感に苦しむことがある
□著しい不安・緊張感を感じることがある
□集中困難の自覚がある
□圧倒されている感覚をもつことがある
□倦怠感を感じたり、気力が著く欠如することがある
□過眠、あるいは不眠の症状
□胸が張る、膨らむような感覚がある
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□上記の症状が生理が始まると消える
□上記の症状が生理前に起こり、長期間同じ周期で訪れている(半年〜1年)
□上記の症状が生活や仕事に支障をきたしている
いかがしょうか?
前半10個の症状は、PMSの中でも比較的多くの女性に共通する症状です。
そして、後半3個の状態が当てはまる方は、PMSの可能性がかなり高いかも。
PMSの対処法は、以下の記事でご確認くださいね。
症状は、多岐に渡ります。
大事な事は、その症状がその人にとって「ストレス」なのか、「辛い」のか、ということ。
時として、ストレスは、身体にとって必要な場合もあります。
まずは、自分にとってどの症状が一番辛いのかを考えてみましょう。
PMSの「自己否定的思考」は特に注意!
PMSとは、先述したとおり、200種類以上の症状の総称です。
その中でも、特にみなさんに知っていただきたいのは「自己否定的思考」が存在する、ということ。
生理前だからか、劣等感と自己否定に苛まれてる。
— Mina (@20dEoFqNC1NzvW5) November 17, 2020
生理前基本ネガティヴ、特に自己否定のループが止まらないや
— めいめい🧸 (@meikuma18) May 3, 2021
このように、生理周期と連動した「自己否定感」には、生理特有の負のループがあります。
「自己否定感」と、他のPMSの症状が重なることで、最悪の不快感に繋がることも……。
たとえば……
こうしたループを、生理前〜生理が始まるまでに繰り返すことがあります。
そして、生理が始まると、ホルモンバランスの変化で、コロっと忘れてしまい「いつもの私」に。
「たまには落ち込むこともあるよね」と軽く受け止めてしまい、気づかない間に長期的な負のループに陥ってしまうのです。
どんな自分でも大切にしてあげよう
女性の身体は、生理の前から大きな変化が起きている場合があります。
なんとなくだるくて休みたい時や、自分でもコントロールできない眠気がある時、「みんなはこのくらいで休んだりしないのに……」と、比べてしまい、自分を責めてしまうことがあるかもしれません。
ですが、自分の中にある辛さや苦しさは、周りの誰にも理解されなくても、あなたが感じていることです。
身体が出しているメッセージを無視せず「私はだるいんだ」「私は眠いんだ」ときちんと受け止めてあげてください。
まとめ:まずは理解することから始めよう
今回は、PMSについてご紹介しました。
ポイントは、
- PMSは、生理前に訪れる症状
- 身体的な症状だけでなく、精神的な症状もある
原因、すなわち“答え”が見つかれば、こころが軽くなることがあります。
自分の不安や辛さがPMSによるものだと気がつき、自分で認めることが、不調改善への大きな一歩です!
女性の身体は、生理の前から大きな変化が起きている場合があります。
原因のわからなかった不調に気づくことで、改善していけるでしょう。
次回は、こうした目に見えない不調の対処法と、向き合い方をご紹介しています。
こちらの記事をご覧ください!