免疫とは「疫から免れる」という意味で、「病気になりにくい身体になる」ということです。
皆、「いつも元気いっぱいでいたい」「風邪を引かない病気知らずの身体になって、バリバリ働きたい」と思いますよね。
子供さんを持つお母さんなら、「子供が風邪を引かずに元気に育ってほしい」と思います。
どうすれば免疫力を高められるのか、免疫力を高めるには何が効果的なのか、どなたも知りたいことでしょう。
免疫力研究の実情「決定的な測定法はない」?
ネットでは、「○○で免疫力アップ」の情報が氾濫しています。
ところが、免疫力を測定する決定的な方法がないことには言及していません。
例えば、血圧を測定して高ければ「あなたは高血圧症です」とハッキリ言えます。また血糖を測定して、血糖が高ければ「あなたは糖尿病です」と断言できます。
ところが免疫力については、「あなたは免疫力が低下してます」というべき決定的指標がないのです。
こんなことを聞くと、「えー、そうなの?知らなかった」と言われるでしょう。
免疫不全といわれる病気の状態は、検査でハッキリ出ます。血液検査での“CD4陽性Tリンパ球”の減少が、後天的免疫不全症候群(HIV)の指標となります。
また免疫不全症候群(免疫グロブリンが生まれつき少ない状態)もあります。
他にもガンや重度の糖尿病は、免疫力が低下します。
このような病気の場合は特別ですが、健常な人が「免疫力がアップした」という場合は、何を指標にするかはハッキリしていません。
指標の一つとして、リンパ球の数やNK(ナチュラルキラー)細胞などはありますが、いずれも免疫力の一面を表すものにしかすぎません。
ですから、「免疫力をアップするのはこれだ」と医学的に証明するのは大変難しいことなのです。
“否定も肯定もできない”サプリメントの免疫力効果
サプリメントの摂取や、その他の健康法で「免疫力がアップしますよ」と言われても、否定もできないし肯定もできません。
また動物実験で免疫力アップの効果が証明されても、それが人間で効果があるかは別問題です。
免疫の機構は、数多くのことが分かってきましたが、基本的な枠組みが分かったにすぎません。部品は分かってもシステムとしての全貌を解明するには、まだまだ多くの課題が残されています。
21世紀の科学の最大のテーマの一つになっている脳の機能に匹敵するのが、免疫機構といっても過言ではないでしょう。
ですから、免疫力を客観的に評価するのは大変難しいことであり、免疫に関する多くの人の意見は、個人的な経験に基づく主張なのです。
「免疫力に王道なし」免疫力を堅実に高める方法
では免疫力を高めるには、どうしたらよいのでしょうか。
免疫力に王道なし。免疫力とは身体の元気さ、活動力そのものです。
だから全身のバランスを健康に保つ生活が、最も大事なのです。
免疫力は生活習慣に大きく依存し、生活習慣が乱れると免疫力が低下してしまいます。
ガンの発症には、免疫力の低下が大きく影響していることはハッキリしています。ガンもある意味、生活習慣病といえるのです。
日本対がん協会が挙げている「ガンを防ぐための生活習慣」は、そのものが免疫力を高める生活習慣ともいえます。また同時に、糖尿病や高血圧症を防ぐ生活習慣でもあるのです。
「ガンを防ぐための生活習慣」は以下のものです。
- たばこは吸わない
- 他人のたばこの煙をできるだけ避ける
- お酒はほどほどにバランスのとれた食生活を
- 塩辛い食品は控えめに
- 野菜や果物は不足しないように
- 適度に運動
- 適切な体重維持
- ウイルスや細菌の感染予防
特に働き盛りの世代に最も実行が難しいのが、適度な運動でしょう。
適度な運動とは「毎日1万歩の歩行」と「有酸素運動」です。有酸素運動を15分から20分以上、週に2,3回行うことです。
運動にあてる時間がなくてという人も多いでしょう。
仕事中は「なるべく階段を使う」「大股で背筋を伸ばして歩く」「早歩きをする」。通勤電車では「つま先立ちを行う」という、日常でできる運動に心がけるだけでも相当の効果を上げることができます。
運動が不足していると、体重が増加してきます。肥満もまた免疫力低下が知られています。
肥満になると感染症になった時に重症化しやすいことがハッキリしています。BMI(体重÷身長の二乗)は30以下にしましょう。
生活習慣を健康に保つことが、心身の健康を維持し、免疫力を高めるのです。免疫力に王道なしです。
まとめ
- 免疫力の向上や低下を表す決定的指標はなく、サプリメントの摂取により「免疫力がアップしますよ」と言われても、否定も肯定もできないのです
- 生活習慣が乱れると免疫力が低下することは分かっています。適度な運動に心がけ、生活習慣を健康に保つことが免疫力を高めます