10月14日は、鉄道の日。明治5年の10月14日に、東京の新橋駅から神奈川の横浜駅まで、日本初の鉄道が開業したそうですね。
電車通勤の私は、移動はほとんど鉄道にお世話になっています。鉄道に感謝です。
では、鉄道がなかった千年前は、何で移動したのでしょうか?
『枕草子』には、牛車(ぎっしゃ)が登場します。
美しい月夜での、ゆったりとした時間の流れを感じさせる「月のいとあかきに」という一段がありました。木村耕一さんの意訳でどうぞ。
月の明るい夜に、川を渡ると、キラキラ輝く水晶が見えるんです
(意訳)
月がとても明るい夜に、牛車で川を渡りました。
車の中から、牛を見ていると、足で水面を蹴るたびに、美しい水玉が飛び散っています。
それはまるで、細かく割れた水晶が、月光を反射してキラキラ輝いているように見えました。とっても美しい光景でした。
(原文)
月のいとあかきに、川をわたれば、牛のあゆむままに、水晶などのわれたるように、水のちりたるこそおかしけれ。(第215段)
(『こころきらきら枕草子』木村耕一著 イラスト 黒澤葵 より)
素敵なことを見過ごしていませんか
木村耕一さん、ありがとうございました。
鉄道も、自動車も、電気もなかった千年前。
夜の月明かりは、どんなに明るかったのでしょうか。
その月光を反射した水玉を、水晶に例えるとは、どんなにキラキラしていたのでしょうか。
想像するだけでも、うっとりした気持ちになりますね。
そして、牛車での移動は、ゆったり、ゆったりしていたと思います。
月と水玉の光に包まれて、牛車に揺られる時間はとても素敵。
もしかしたら、今の私は急ぎすぎていて、周りの美しいもの、素敵なことを見過ごしているかもしれないな……と思いました。
清少納言さん、大切なことを気づかせてくれて、ありがとうございました。
『こころきらきら枕草子』は、
お近くの書店にてお求めください。
ご自宅へお届け希望の方は、
電話: 0120-975-732(通話無料)、
または、思いやりブックス(本の通販)に
お問い合わせください。