高野優さんの大人気エッセイ漫画『HSP!自分のトリセツ~共感しすぎて日が暮れて』に続く新刊の制作が、着々と進行中です!
掲載予定のイラストを先行公開しながら、特別書き下ろしエッセイを添えていただいた本連載も、いよいよ最終回。
フィナーレは、新刊には入れられなかった忘れられないエピソードを。
優さんの次なる〝HSP世界への序章〟を、ぜひご堪能あれ!(編集部より)
(ブログはこちらをチェック↓↓)
高野優オフィシャルブログ「釣りとJazzと着物があれば。」
前作『HSP!自分のトリセツ』や、
来春発売の第2弾に書きそびれたエピソード。
この場をお借りして綴らせてください。
お弁当を抱えて、泣いていたあの子。
わが家の末っ子は、小1からサッカー少年団に入り、
朝から晩まで、夢中でサッカーボールを追いかけていた。
毎年、夏休みには静岡県で長期遠征があり、
お手伝いとして参加させていただいたことがある。
じりじりと焼けるような日差しの下で、
大粒の汗をかきながら、
仕出しのお弁当を頬張る小さな子ども達。
一丁前に、監督の戦術に耳を傾けている。
「全部食った奴から試合に出すぞ!」
突然、監督が大声で宣言。
普段、ベンチを温めてばかりの娘は、
よっぽど試合に出たかったんだろう。
チームメイトの誰よりも早くたいらげて、
冬眠前のリスのように頬を膨らませたまま、
ウォーミングアップを始めた。
たくましいというかなんというか。
ふと、鼻をすする音がしたので振り返ると、
ひとりの男の子が両手でお弁当を抱えて、
静かに泣いていた。
「どうしたの? どこか痛いの?」
あせって、そう聞くと、
「お米がパサパサしてるし、
おかずもベチョっとしているから食べられない」
涙声で、そう教えてくれた。
1週間の遠征中、朝食と夕食は旅館でいただくけれど、
昼食は仕出しのお弁当と決まっている。
どうしたらいいのか思いあぐねていると、
追い討ちをかけるかのように、監督の声が響いた。
「好き嫌いばっか言ってたらダメだぞ!」
男の子が持っていたお箸が、ぴたりと止まった。
そういえば、はと麦茶しか飲めないと聞いたことがある。
「麦茶」と「はと麦茶」の味の違いがわからないわたしは、
大変だなぁと、まるで他人事のように捉えていた。
きっとあの子は「HSC」だったんだ。
その日から10年という月日が流れ、
「HSP」と「HSC」という概念を知ったとき、
真っ先に思い浮かんだのが、
あの燃えるような夏の日のできごと。
ああ、きっとあの男の子は「HSC」だったんだ。
サッカーのセンスに長けていて、優しくて思慮深くて。
そういえば、監督がほかの子を怒鳴っているときは、
目に涙をいっぱい浮かべて、うつむいていた。
わたしも含め、周りの大人が「HSC」を周知していたら、
男の子は涙をこぼさなかったはず。
悪気はもちろん、誰一人として悪意すら無かった。
ただ、知らなかっただけ。
知らないことは、ときに残酷だ。
知ることで、誰かの気持ちを少しでも救えるのなら、
もっともっと知りたいと貪欲に思う。
わたしひとりの力では、あまりにも微力なので、
どうか、あなたの力も貸していただけたら。
“共感しすぎて日が暮れるHSP同盟”へ、ようこそ
この連載に寄せてくださった、読者の皆さまのご感想もシェアさせていただきたいと思います。
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読者の方からの感想
●エマさんからのご感想
「そんなところもあるね~」と、楽しく拝見しています。
読者の皆さまに聴く「HSPあるある」
●大きい音とニオイに敏感(エマ)
大きい音(怒鳴り声など)と、臭いに敏感です。
合唱に参加した時がありましたが、発表会の時に、前列の方に生理?の方がいたようで、残念ながら、その臭いで息がよく吸えず、おもいっきり歌えなかったです。
合唱が向かないと悟りました。大きい音には、体が固まってしまうので、反論出来ず、相手は自分の主張が通っていると勘違いしていると、客観的にみている自分もいる。
以前は、その度に「こう反論すれば良かったのに」と、自分を責めていたが、今はその時は最善を尽くしていたと割り切る事が出来るようになったので、だいぶ良くなりました。
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