街を歩いていたら、華やかな袴(はかま)姿の女性を見かけました。卒業式でしょうか、人生の節目を感じますね。
節目といえば、歴史の節目もいろいろありました。
約260年続いた江戸幕府は、約400年前の3月24日、徳川家康の征夷大将軍就任からスタートします。
家康を天下人にした「関ヶ原の戦い」。
そこには家康のポジティブさを伝える、こんなエピソードがありました。
木村耕一さんにお聞きしましょう。
「殿、縁起の悪い日でござる」
──NHK大河ドラマ「鎌倉殿の13人」を見ていると、出陣の前に、日の善し悪しや、方角を占うシーンが出てきます。木村さん、そういうのは勝敗に関係があるのでしょうか?
はい。関係があるかどうか、こんなエピソードがありますよ。
関ヶ原の戦いは、徳川家康の東軍、石田三成の西軍、合わせて15万を超える兵が激突した、「天下分け目の合戦」でした。
家康が、大軍を率いて江戸城を出発しようとしたのは、9月1日。
この日、一人の老臣が、
「今日は、縁起の悪い日でござる。どうか、出陣を延期してくだされ」
と進言しました。
──やっぱり、こういう人がいるんですね。
そうですね。大河ドラマでも描かれているように、出陣に際して、吉凶を占うのが当時の常識だったようです。
──これから天下分け目の合戦に向かう家康は、どうしたのでしょうか。
家康は尋ねました。
「どんな日だ」
「西塞(にしふさ)がりでござる」
今、大軍を率いて江戸から大坂へ向かおうとしています。
進行方向は西──。
その「西」がふさがっている、とは、戦いに不利だという意味になるというのです。
家康は、笑い飛ばしました。
「西がふさがっているならば、自分で破り、開いて進むまでだ。
気にする必要はない」
東軍は、予定どおり出発したのです。
そして、大坂を中心とする西軍と、関ヶ原で雌雄を決し、わずか一日の戦闘で、勝利を得たのでした。
──お! 方角なんて、関係ないじゃん……。
日の善悪や方位を気にするのは「迷信だ」と言い切った例で、最もスケールが大きいのは、徳川家康でしょう。
縁起がいいとか、悪いとか、そんなことを気にするよりも、「努力は必ず報われる」と信じて、前向きに進んでいけば、必ず、道が開けるのですね。
(『新装版 こころの道 〜ものの見方、考え方ひとつで、新しい風が吹いてくる』木村耕一編著より)
──木村さん、ありがとうございました。うまくいかないことが続くと、ついつい占いや、日の善悪などが気になったりしますが、そんなのは迷信なのですね。確かに、気にする時間があれば、前向きに努力したほうがよっぽどいいと分かりました。
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