うちの子って、なんか他の子と違う気がする。どうして私は上手く子育てができないんだろう……。
HSC(ひといちばい敏感な子)を持つ親御さんは、原因がわからずに悩み、苦しんだ時間もきっと多かったことと思います。
今回インタビューに答えてくださった、池堂邦枝さんもその1人。昔の反省があるからこそ、今は共感することを何よりも大切にしているのだと教えてくれました。HSP・HSCカウンセラーであり、三姉妹の母でもある池堂さんに、HSCを育てる時のアドバイスを聞いてみましょう!
インタビューのお相手
池堂邦枝さん
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大阪府在住の看護師。2018年からHSP・HSCカウンセラーとして活動。夫婦のどちらもHSPで、娘3人は全員、個性にあふれたHSC。 |
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ダメダメな子育てをどうにかやり直したい
――認定子育てハッピーアドバイザーということもあり、池堂さんのブログを拝見していると、お子さんに共感することをとても大切にされていることが伝わってきました。
池堂邦枝さん(以下、池堂):ありがとうございます(笑)でもね、HSCって概念を知る前、最初は全くダメダメな、子どもを否定してしまう親だったんです。
――ええっ、想像もつきません!
池堂:泣いたり反抗したりする度に、まだ小さかった長女に「それくらい我慢しないと生きていけないよ」って言い聞かせようとしていました。今思えば逆効果ですよね。娘たちとの関係がグチャグチャになって、もうどこから何をやり直せばいいんだろうって……。
――それはいつ頃のお話ですか?
池堂:娘3人が小学生の時です。長女は小学生なのにヤンキーみたいになってしまって(笑)。家出するって言って帰ってこなかったり、私と掴み合いの喧嘩をしたり。いつ通報されても不思議じゃないような生活でした。どんどんどんどん仲が悪くなっていたのに、それでも私は絶対悪くないって思ってたんですよ。あなたが怒らせるから私が怒るんだ、みたいな。
――1人目のお子さんだと特に、お母さん側も必死ですよね。
池堂:そうなんです。それで、「もうどうしようもないわ」って思った時に出会ったのが『子育てハッピーアドバイス』なんですよ。「ダメな母親なんだって自分を責めていたけど、そんなダメな子育てをしている自分のことを認めてもいいんだ」って、この本に教えてもらいました。初めて読んだ時はもうボロボロ泣いて、子どもよりも私が先に変わらなきゃって思ったんです。
――そこから池堂さんの子育てが変わったんですか?
池堂:最初からスッと変われたわけじゃなかったんですけどね。心の中では「もう!怒らせないでよ」って思っているけど、言葉だけは「ごめんね」「ママが悪かったよ」って、なんとか優しく……。
もう無理やりお試しでって感じですよ。なのに、子どもは素直になっていったので、「あれ?効果あるぞ」みたいな。そうやっていく中で、心の底から「この子のことを理解しよう」って思えるようになりました。
「HSC」と出会って家族がガラっと変わった
――その後、「HSC」はどうやって知ることになったのですか?
池堂:確かに親子関係は良くなったけど、まだ違和感があったんですよね。「他の子となんか違う」っていうモヤモヤが。そこで、「子育てについて勉強してみよう!」と思ったんですよ。
――池堂さんのように違和感を覚えた結果、HSCにたどりついた親御さんはたくさんいると思います。
池堂:私がHSCを知ったきっかけは、明橋先生が大阪に来てくださったときの講演会です。そのときは講演の中のほんの2分くらい、軽く紹介する程度だったんですけどね。
親が問題のない育て方をしていても、自尊感情を育みにくい子がいるんですよって。
これに私はビビッと電気が走ったようになって、「今のなになに?」って講演会の資料の端っこに急いでメモしました。
――うちの子のことだ!という発見のような?
池堂:それが違うんですよ。実はその時、ちょうど職場の同僚から育児の相談を受けていたんです。いじめを受けているとか、友達がいないとかそういう訳ではないのに、お腹が痛くなって学校に行けなくなってしまうことがある子で、もしかしたら「HSC」かもって。
これはぜひ同僚に教えてあげたいから、もう少しちゃんと勉強しようと思ったんですよね。
その何週間後かな、HSP専門に勉強されている先生が東京にいらっしゃるってことで、大阪から夜行バスに飛び乗ってその先生にコンタクトを取りました。
――すごい行動力です!
池堂:ほんと、そういうところが好奇心旺盛なHSSなんですけど(笑)。
――では、ご自身がHSPだとわかったのは東京でのことだったんですね?
池堂:そうそう。チェックリストを見てすぐに「私のことだ!」って。
相談を受けていた子のことも忘れて、とにかく自分を知るための勉強になっていましたね。丸1日朝から晩まで勉強して、もうずっと驚きっぱなしですよ。どっちかというと私はおおざっぱで、繊細って言葉とは全く無縁だと思ってたんですよね。
――池堂さんのように、HSSでHSPの方は余計に自分の繊細さに気付きづらいのではないかと思います。
池堂:我慢してただけで、私これも嫌だったしあれも嫌だったって、蓋が外れたように溢れてきたんです。「私、HSPだったんだ」っていう衝撃で、もっとHSPやHSCのことを知りたくなりました。それで、大阪に帰ってきてからすぐ家族にも話したんです。
――そうしたら、旦那さんもHSPで、3人の娘さんもHSCだったと。
池堂:子育てが変わったのはそこからですね。もうガラッと変わりました。
「本当は私だって、親に話を聞いてもらいたかった」
「わかってほしかった」
そういう自分の気持ちに気付いたんです。
じゃあこの子たちだって、共感すれば絶対に変わっていくはずだなって。もう何でも受け入れる覚悟を決めたんですよ。「そういえばママも子どものとき、こういうのが嫌だったわ」って。そういう一言だけで、こじれていた関係が全部良くなっていきました。
自分の子がHSCでも、特別な子育ては必要ない
――親が先に気が付く場合も多いと思いますが、お子さん自身にも「HSC」を教えたほうがいいのでしょうか?
池堂:親子関係が良好で、それほどしんどさを感じていないHSCもいます。そういう子であれば、わざわざ「あなたはHSCだから」とか言わなくてもいい思うんですよ。
――なるほど。では、教えたほうがいいのはどんな時ですか?
池堂:他の子と違うと親に否定されるとか、学校の先生から甘えていると思われてしまうとか、その子を取り巻く環境が整っていないと、HSCは自分を責めてしまうんですよね。そんな時にHSCの概念を知ることができれば、むやみに自分を否定しなくて済むと思います。
家にさりげなく本を置いていたら、読んだ子が自分の感覚に気付いた、なんて話も聞いたことがあります。マンガやイラストの多い本だったら、子どもでも手が取りやすいですよね。
――直接伝えなくてもサポートはできるということなんですね。最後に、HSCを育てる親御さんにアドバイスをお願いします!
池堂:特別なことはしなくていいと思います。子どもの表情が暗かったり、口数が減っていたり、いつもと様子が違っていたら、ちょっと声をかけてみてください。
その原因は、友達を怒らせてしまったかもとか、教室がうるさくて疲れてしまうとか、親から見たら些細な悩みかもしれない。それでも否定せずに「あなたはそう思ったんだね」って受け止める。「それはつらかったよね」って共感する。それだけでいいと思うんですよ。
誰が何を言おうと、お母さんとお父さんだけは否定しない、そう感じられるような親子関係を作っていくことが大切だと思います。
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親がHSPで、子どもがHSCだと最初は苦労することも多いかもしれません。
しかし、子どもの気持ちを深く理解することができるのは、HSPの強みではないかと思います。お子さんの声を受け止めて、共感してみてください。
いつからでも、より良い親子関係は作ることができるはずです。
次回のインタビューでは、池堂さんが感じた「HSPで良かったこと」をお聞きします!
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