共感しすぎて日が暮れて~寝ても覚めてもHSPな高野優のマンガエッセイ #60

  1. 人生
  2. 心理

【特別対談】HSPはナメられる?精神科医・明橋先生×マンガ家・高野優が迫るHSPのタイプ分け

ひと昔前と比べ、ずいぶんと語られるようになった「HSP(ひといちばい敏感な人)」という言葉。
そんなHSPを楽しく、わかりやすく紐解くHSPマンガの決定版『HSP!最高のトリセツ』を8月24日に発刊しました!

新刊には、著者であるHSPマンガ家・高野優さんと、HSPのスペシャリスト・明橋大二先生との対談も収録。「HSPのお悩み」に深く切り込んだ、濃いトークがくり広げられています。

本記事では、新刊未収録の対談シーンを、特別大公開!

HSPは知らない人から声をかけられやすい? 
巷で話題の「HSP 3つの分類」とは?

優さんと明橋先生が、迫ります。

HSPは良くも悪くも、「話しかけられやすい」?

高野優さん(以下、高野):明橋先生、ご無沙汰しております。

明橋大二先生(以下、明橋):いや〜、お久しぶりです。コロナ禍でなかなかお会いできませんでしたね。

高野:本当ですね。久しぶりにお会いできるの、とっても楽しみにしておりました。先生はお変わりないですか?

明橋:何とか元気にやっていますよ。

高野:それは何よりです。コロナもですが、マスク生活もこう暑いとしんどいし、世知辛いものですね。
この前も家の近所を歩いていて、あまりに暑くて、近くに人がいなかったのでマスクを外して一度深呼吸をしていたら、前から自転車で走ってきたおじいさんに「マスクつけろ!」って怒鳴られちゃって。【特別対談】HSPはナメられる?精神科医・明橋先生×マンガ家・高野優が迫るHSPのタイプ分けの画像1明橋:それは災難な。

高野:そういうこと、結構あるんです。他にマスクを外して歩いている人がいても、怒られるのはいつもわたしで。怒りやすそうな顔でもしているんでしょうか。

明橋:うーん、怒鳴っても許してくれそうに見えるんでしょうね。つまり、いい人そうだと一目でわかる。

高野:そんなことないんですけどね。でも確かにわたしの顔が、たとえば遠藤憲一さんのような強面だったら、きっと誰も怒らないだろうなとは思ったり(笑)。

明橋:(笑)。私も丸顔なんですけどね、若い頃はキリッといかつい、それこそ遠藤憲一さんみたいなお顔に憧れたものでした。

高野:ふふっ。明橋先生にもそんな頃が。

明橋:ありましたねぇ。

高野:わかります。怒鳴られやすかったり、あと日本中どこを歩いていても、よく道を聞かれたり。とにかく知らない人に話しかけられることがよくあります。
これって、ぼんやりして見えるから?【特別対談】HSPはナメられる?精神科医・明橋先生×マンガ家・高野優が迫るHSPのタイプ分けの画像2明橋:先ほども言いましたが、やっぱりいい人そうに見えるんだと思いますよ。これ、実はHSPの特徴の一つかもしれません。

高野:HSPの特徴。どういうことですか?

明橋:HSPは他人を不快にさせないよう常に気を配っているので、たとえすごく不機嫌でも、それを表に出すことはしなかったりします。
気遣いが身についているからこそ、どこか声をかけやすい雰囲気が出ているのかもしれませんね
別になめられているわけでもなければ、隙があるわけでもない。ただひたすら「いい人っぽい」んです。だからこそパワハラなどにも遭いやすいし、傷つきやすいんですね。

高野:だから怒られやすくもあるんですね!
ネットか何かで、そういう怒られやすい人のことを「なめられピープル」と呼ぶと知って、笑ってしまって(笑)。

明橋:気の配れる、人間として素晴らしいことだと思いますけどね。

高野:そう言ってくださって、ありがとうございます。まさかHSPに理由があったなんて!

巷で話題の「HSPの3タイプ」、これってホント?

高野:HSPといえば、最近気になっていることがあるんです。
「感覚敏感系HSP」「共感系HSP」「洞察系HSP」の3種類に分類する呼び方があると聞いて。明橋先生、ご存知ですか?

明橋:そういう分け方があるんですか? 正式な分類ではないと思いますが、言わんとすることはわかります。
HSPの提唱者・アーロン博士は、HSPかどうかの判断基準として、4つの特徴をあげています。

高野:「DOES(ダズ)」ですね!

previous arrow
next arrow
previous arrownext arrow
Slider

(※『HSP! 最高のトリセツ』より。左スライドで読み進められます)
(※「差次感受性」は、最新の研究で明らかになった5つめの特徴です)

明橋:その通りです。ひと口に「敏感」と言っても、その対象はさまざまですよね。HSPが持つ敏感さを4つの面から表したのが「DOES」です。
その辺りは、高野さんの今回の新刊マンガでもわかりやすく説明されていますね。

DOESの中のどの特徴に特に強く当てはまるかで、「共感系HSP」などのカテゴリ分けをしたんじゃないかな。

ささいな刺激もキャッチ!「感覚敏感系HSP」

高野:あぁ、そういうことだったのですね! では、「感覚敏感系HSP」というのは?

明橋:「O(Overstimulation/過剰に刺激を受けやすい)」ですね。人よりも強く刺激を受けてしまいやすいので、疲れやすくなる場合があります。

高野:わたし、人と会うのが大好きなんですけど、たとえそれが楽しい会であっても、グッタリと疲れてしまうんです。それが「O」でしょうか?【特別対談】HSPはナメられる?精神科医・明橋先生×マンガ家・高野優が迫るHSPのタイプ分けの画像3明橋:そうだと思います。
それから「感覚敏感系HSP」はきっと、「S(Sensitivily to subtleties/ささいな刺激を察知する)」のことも指していると思います。

高野:「ちょっとした味やニオイの違いにも気がつく」は、Sの特徴ですね!

相手の気持ちがわかりすぎるのは、「共感系HSP」だから?

明橋:そして「共感系HSP」。人の気持ちを察知して、痛みもよろこびも、まるで自分のことのように共感できる。
この特徴はおそらく「E(Emotional reactivity & high Empathy/感情の反応が強く、共感力が高い)」ですね。

高野:あぁ、とってもよくわかります……。わたし、自分がHSPということを知って、一番向かないなと思った職業があるんです。それが占い師。
相談に乗るうちに共感しすぎてしまって、相手の悩みに飲み込まれちゃいそう!【特別対談】HSPはナメられる?精神科医・明橋先生×マンガ家・高野優が迫るHSPのタイプ分けの画像4明橋:人の悩み相談に乗るときは「ここまでは力になれる範囲、ここから先は相手の問題」と、ある意味で線引きをすること(=バウンダリー)が大切です。
それは私たち精神科医も意識していることですね。

★「バウンダリー」について詳しく知りたい方は、こちらの記事をどうぞ!

「洞察系HSP」は、一を聞いて十を知る

高野:最後に「洞察系HSP」です。これが一番想像できないのですが、どんな特徴を指しているんでしょうか。

明橋:これは「D(Depth of processing/処理の深さ)」でしょうね。深く考える。物事の表面だけじゃなくて、裏の裏にあるものを見ようとする。

たとえば、暴れている男の子がいるとします。多くの人はそれを見て「乱暴な子だな」と思うわけですが、高野さんならどうでしょうか?

高野:そうですね。「どうして暴れているんだろう」だとか、「何かつらいことがあったのかな」だとか、まずはそういうふうに気になってしまうかなぁ。【特別対談】HSPはナメられる?精神科医・明橋先生×マンガ家・高野優が迫るHSPのタイプ分けの画像5明橋:「深く考える」とは、まさにそのことです。いわゆる、一を聞いて十を知る。一歩踏み込んで考えるから、先のことを見通すことができるんですね。

少し面白い話があります。HSPが能力テストを受けると、言語能力などはとても高い傾向にあるんですけど、動作の反応能力などにおいては、ちょっと数字が落ちる傾向にあるんです。

高野:そっか、考えて動くから!

明橋:そうなんです。パッと答えを出す前に、これでいいのかなともう一度考えてみたり、チェックをしたり。それで時間がかかるんですね。

DOESの特徴、すべて揃ってHSP

高野:よくわかりました! 「感覚敏感系HSP」「共感系HSP」「洞察系HSP」の区別には、DOESの特徴が関係しているんですね。

明橋:そう考えられます。
ただですね、アーロン博士の定義では、DOES4つの特徴がすべて揃って、はじめて「この人はHSPだ」という判断になります。つまり、うち一つでも当てはまらなかったら、その人はHSPではありません。

たとえば、アスペルガー症候群の人の場合、感覚の敏感さは当てはまるけれど、共感能力の高さはそうでもない、なんてことがある。そういう区別があります。

もちろん非常に当てはまる、やや当てはまる、というようなムラはあるかと思います。ですが、基本的にはDOESすべてに当てはまる人がHSPである、ということは是非とも知ってほしいですね。

高野:とってもよくわかりました! 明橋先生、ありがとうございます。

***

いかがだったでしょうか。「HSP3つの分類」はDOESの特徴の出方によるものだったのですね。

新刊『HSP!最高のトリセツ』では、DOESに加え、最新の研究で明らかになった「5つめの特徴」についても語られています。

マンガでわかりやすく、楽しく描かれる高野さんの「HSPワールド」を、是非チェックしてみてください。

HSP!最高のトリセツ 気にしなくて大丈夫、気にしたって大丈夫

HSP!最高のトリセツ 気にしなくて大丈夫、気にしたって大丈夫

高野優(著)