『心と体の健康十講』(東京図書出版)の著者であり、内科医の清水和彦先生より「東洋医学の健康法」を紹介していただいています。
前回の記事では「良い習慣を身に付け、人生を好転させるには、“プラス感情”を保つこと」と教わりました。
今回は「プラス感情の保つための、自分を好きになる方法」についてです。
(1万年堂ライフ編集部より)
プラス感情を保つには「自分を好きになる」こと
プラス感情を保つにはどうすればいいのかいいのでしょうか?
それは「自分を好きになること」です。自分が好きになればプラス感情を保ちやすくなります。
では自分を好きになる、自己評価を高めるにはどうすればいいのでしょうか。
ポイントは行動の選択です。
どうしてあんなことをしたのか、あんな酷いことを言ってしまったのか。後悔して、自己嫌悪に陥ることはないでしょうか。
長年親しくしていた大切な人に、心ない一言、それで関係が破綻することがあります。
怒りにまかせて、してはならないことをしてしまう。
冷静に考えればとんでもないことだったと思いますが、「覆水盆にかえらず」で後悔しても仕方ありません。
なるべく後悔するような言動を取らない、つまり「自分が嫌いになる」ことをしないように心がけるのが大事です。
毎日の生活で「自分を好きになれる」行動を選ぶ
電車に乗って、自分の座っている前に高齢の人が立たれ、揺られて辛そうにされています。
席を譲ろうか、どうしようか、寝たふりをしようか。
目的地まで寝たふりをして過ごし、電車を降りたなら、自己評価はどうなるでしょうか。
情けない人間だ、不親切な人間だと、嫌悪感が残ってしまいます。評価は下がってしまうのです。少し、体は楽だったかも知れないけれど、いつまでも嫌な感情が残ります。
「もうすぐ降りますから、どうぞ。」と席を譲ると「ありがとう」と笑顔で感謝され、嬉しくなるでしょう。
親切な人間だ、立派な人間だと感じ、自己評価が高まります。一日、良い気分で過ごすことができるのです。
すぐに損得感情で動いてしまうのが人間ですが、どちらが得かよく考えてみましょう。
廊下にゴミが落ちていたとします。
見て見ぬふりをして通り過ぎるか、さっと拾ってゴミ箱に捨てるか。
どちらが自己評価が高まるでしょう。
誰に見られていなくても、何の褒め言葉もなくても、感情のレベルメーターは、プラスへ振れるのです。
毎日の生活で、少しでも自分を好きになれるような行動を選ぶのが、結局は“得”なのです。
最期の言葉となれば困るようなことは、決して言わない
しかしなるべく後悔しないようにと心がけていても、とっさに暴言を吐いたり、調子に乗って不用意な言動をしたり、時には、取り返しのつかないことをして、一生悔やむようなこともあるかもしれません。
NHKに『スーパープレゼンテーション』というテレビ番組があります。様々な分野で活躍している演者から印象深い講演を聞くことができます。
最近特に感動したのが、アメリカのボストン・フィルハーモニー管弦楽団の指揮者、ベンジャミン・ザンダーさんのプレゼンテーションです。
指揮者の仕事は、演奏者にパワーを与えて可能性を引き出すこと。それができているかどうかは、相手の目の輝きで分かると言います。
“shining eye”という言葉が、耳の底に残っています。
リーダーや上司も、回りの人の目が輝いているかどうか、それに注意しなければなりません。
子供はみな、キラキラした目を持っています。好奇心旺盛で、ワクワクした思いが、目に表れているのでしょう。
加齢とともに、どうして、どんよりした目の人が増えるのか。いつまでも輝いた目でありたいものです。
最後に、こんなエピソードを紹介されました。
ナチスドイツの捕虜収容所、アウシュビッツから生還した女性の話です。
15歳で輸送列車に乗せられ、アウシュビッツに向かう中、8歳の弟と二人だった。両親はすでに亡くなっている。弟の足を見ると靴がない。
「靴を無くすなんて、バカじゃないの」
姉として弟を叱ったのが、弟への最期の言葉となった。
姉は、何とか生還できたが、その後で、弟の死を知ったという。その後、強く、心に誓ったそうです。
これが、その人への最期の言葉となれば困るようなことは、決して言わないと。
難しいことですが、こういう心がけで言葉使いに注意したいものだと締めくくられました。
「これが最期かもしれない」と思うと、懐かしい思いがする
この人と会うのはこれが最後ということが、どんな人とも、必ずあります。
どんなことを話し、どんな表情で別れたか。最後に記憶に残るその人の表情は、明るい楽しいものでありたいです。
また、その人に残る自分の表情も笑顔でありたい。
そう考えると、暴言を吐いてそのまま別れては、生涯、悔いを残すことになりかねません。
喧嘩別れは何としても避けたいものでしょう。
夫婦であっても、親子・兄弟であっても、あの日の朝の「いってきます」が最後だったということがあります。
ちょっと台所で用事をしていて、朝、主人を見送ることができなかった。ちょっとした言い争いで怖い顔で別れた。そして、そのまま永遠の別れとなることが実際にあるのです。
これが最期かもしれないと思うと、どんな人でも、懐かしい思いがするではないでしょうか。
そう思えば、多少嫌なことを言われたとしても、笑って聞き流せる気持ちになります。
悪気は無いのだろう、何か嫌なことがあったのかも知れない、と善意に解釈するようにしたいものです。
まとめ
- プラス感情を保つには自分を好きになることが大切であり、自分を好きになるには、毎日の生活で少しでも「自分を好きになれる」行動を選ぶことです
- 相手に取り返しのつかないことをしないには、「この人と会うのは、これが最期かもしれない」と思うこと。そう思えば、どんな人でも懐かしい思いがするでしょう
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