12月22日は「スープの日」。
「いつ(12)もフーフー(22)とスープをいただく」という語呂合わせなのだそうです。冷え込む日は、熱々のスープで温まりたいですね。
スープといえば、中国の歴史書に「1杯のスープが国を滅ぼす」という信じられないような出来事が記されていました。
どんな事件があったのでしょうか。
木村耕一さんにお聞きしました。
たった1杯のスープで国を滅ぼした中山王
昔、中国に、「中山」という小国がありました。
ある日、王様が、国内の有名人を城に招いて宴会を開きました。
さすが王城だけあって、豪華な料理が、次々と運ばれてきます。
ところが、羊のスープが配られた時、何かの手違いで、1人分足りなくなったのです。司馬子期という男の前にだけ、届きませんでした。
中山王は気づいていましたが、
「たかがスープ1杯じゃないか。彼ならば、まあ、いいだろう」
と軽く流して、一言も詫びず、そのまま宴会を続けたのです。
司馬子期は怒りました。
「侮辱された」と、席を蹴って退出し、そのまま、大国・楚へ走ります。
怒りに燃える彼は、楚王をけしかけて中山国を攻撃させ、ついに滅ぼしてしまったのです。
中山王は、多くの臣下にも見捨てられ、逃亡するしかありませんでした。
すると、見知らぬ2人の男が、矛を持ち、王を守るようにして後からついてきたのです。
「そなたたちは、いったい何者か」
王が尋ねると、2人は礼を正して言いました。
「かつて、父が餓死しそうになった時、国王は、一つの壺に食物を入れて与えてくださいました。そのおかげで、父は生き永らえたのです。父は死ぬ間際に、『もし、戦争が起きたならば、私の代わりに、王様のご恩に報いてほしい』と言い残しました。それゆえ、本日、決死の覚悟で馳せ参じたのです」
中山王は、
「ああ」
とため息を漏らし、天を仰いで叫びました。
「どんな小さなことであっても、相手の心を傷つけると、深い恨みをかうものだ。私は、たった1杯のスープのせいで国を滅ぼしてしまった。
人が困っている時には、常に、親切を心がけねばならない。私は、小さな壺に入るような、わずかな食物を施したおかげで、2人の勇士を得た」
(『新装版 こころの朝』木村耕一編著、『マンガ 歴史人物に学ぶ 大人になるまでに身につけたい大切な心4』原作・監修:木村耕一 まんが:太田寿 より)
どんな小さなことであっても
木村耕一さん、ありがとうございました。
どんな小さなことであっても、人の心を傷つけたら、大変なことになると知らされました。
「こんなことぐらい」と思って流してしまわないよう、相手の立場に立つように、心がけたいと思います。
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