日本人なら知っておきたい 意訳で楽しむ古典シリーズ #160

  1. 人生

『徒然草』からの生きるヒント〜新年の目標が画餅に帰さないように(徒然草 第189段)

新年の目標

新しい年がスタートし、気持ちも新たに、今年の目標を立てる人も多いと思います。資格試験を目指したり、健康のために運動を始めたり、旅行の計画をしたりなど、夢が膨らみますね。

素晴らしい計画ができて「今年はすごい年になるぞ!」と思っても、実行できずに終わってしまった……という苦い経験はないでしょうか。そんな現実が『徒然草』に書かれていました。

新年の目標が画餅(がべい)に帰(き)さないように、まずは足元を見つめてみたいと思います。
木村耕一さんの意訳でどうぞ。

「確実に、こうだ」と言えるものは、どれだけあるでしょうか

【意訳】
「今日は、これをしよう」と思っていても、思いがけない急用が起きて、ごたごたと一日が過ぎていくことがあります。

待っていた人は事情で来られなくなり、嫌な人がやってきたりします。

期待していたことはうまくいかず、当てにしていなかったことがうまくいったりします。

面倒なことになると覚悟していたことが無事に済み、たやすく終わると思っていたことが大変なことになって苦しんだりします。

このように、一日に起きることでさえ、私たちの思いどおりにはいきません。

まして、一年の間に起きることは、もっと予想できません。

一生の間となると、もっともっと予想が困難です。

では、前もって予想していたことが、全て外れるのかというと、まれに外れないものもありますから、いよいよ「確実に、こうだ」と決めることができなくなります。

世の中のことは、定めがないのです。全て無常だと心得ることだけが真実であり、間違いのない見方なのです。

【原文】
不定(ふじょう)と心えぬるのみまこと、まことにてたがわず。(第189段)

『徒然草』からの生きるヒント〜新年の目標が画餅に帰さないように(徒然草 第189段)の画像1

(『こころ彩る徒然草』より 木村耕一 著 イラスト 黒澤葵)

無常だと心得て

木村耕一さん、ありがとうございました。

兼好さんでも「思いどおりにいかないことがある」と書かれてあり、私だけでなく、誰でもそうなんだなと納得しました。

予想外のことがいつ起きるかわからない、「無常」と心得るのが大切ですね。
新年の目標を果たせるように、時間に余裕を持たせたり、状況が変わったら調整するなどして、前向きに取り組んでいきたいと思います。

古典には、生きるヒントが詰まっていますね。

意訳とイラストでよくわかる!

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