2月2日は「おじいさんの日」
2月2日は「おじいさんの日」。「じい(2)じ(2)」という語呂合わせなのだそうです。
私が子どもの頃は「おじいちゃん」と呼んでいました。
「サザエさん」の波平さんも、「ちびまる子ちゃん」の友蔵さんも、「おじいちゃん」と呼ばれていますね。
さて今回は、昔の中国のものすごい「おじいさん」を紹介します。
「愚公、山を移す」の故事を、木村耕一さんにお聞きしました。
「愚公、山を移す」
昔、中国に、愚公(ぐこう)という老人がいました。
家の前に大きな山が2つあったので、
どこへ出かけるにも、この山の麓を、ぐるりと遠回りしなければなりませんでした。直線距離の、何倍にもなります。
「実に、不便だ。なんとかならぬものか……」
90歳になろうとする愚公が一大決心をしました。
家族を集め、
「おまえたちと力を合わせて、この山を平らにして、真っすぐな道を作ろうと思うが、どうだろうか」
と、相談を持ちかけたのです。
最初に口を開いたのは妻でした。けげんな顔をして、愚公に不満をぶつけます。
「あなた、自分の年を考えてみてください。そんなこと、できるもんですか。だいたい、山を崩した土や石は、どこへやるんですか」
愚公は、少しも、ぐらつきません。
父親の、凛とした姿に打たれた子供たちが、立ち上がりました。
「お母さん、大丈夫だよ。僕たちが精一杯、お父さんを助けるから。土や石は、海まで運んで捨てればいいさ」
かくて、愚公は、子供たちを引き連れて作業を開始したのです。
山には岩石が多いので、打ち砕くだけでも一苦労でした。もっこ*に載せて、2人1組でかついで海辺まで往復するのです。海といっても、見える距離にはありません。片道、何日間も歩いて、やっとたどり着くありさまでした。
*もっこ 土や石などを盛り、棒でかついで運ぶ道具。
この、壮大すぎる計画を聞き、智叟(ちそう)という利口な老人が、見学に来ました。そして、あざ笑うかのように、言うのです。
「愚公よ、君は、なんてバカなんだ。あんな大きな山を、平らにできるわけがなかろう。だいたい、君は今、90歳じゃないか。あと何年、生きているつもりなんだ。やめたほうがいいよ」
すると愚公は、深くため息をついて、言いました。
「君の考えは、浅はかだよ。たとえ私が死んでも、子供が残っている。子供は孫を生む。孫はまた、子供を生む。その子にはまた、子供ができる……。子々孫々と続いて絶えることがない。ところが、山は、これ以上、高くはならないからね。とすれば、いつの日か、必ず、平らにできるはずだ」
頭のいい智叟も、これには返答のしようがなかったのです。
「愚公、山を移す」の故事は、大目標に向かう者の心構えを示しています。
家族の理解がなかったり、軽薄な人から非難されたりしても、「ここ一つ、やり抜くぞ」の信念で、努力を継続すれば、必ず成就する日がくるのです。
イギリスの歴史家、トマス・カーライルは、
「すべての大偉業は、最初は不可能事だと言われた」
と語っています。
目的が大きければ大きいほど、困難も大きくなります。
歴史に残る偉業を果たした人々は、人類の幸せを願って、愚公が山を移すような覚悟をして臨んだに違いありません。
(『新装版 こころの道』木村耕一編著、『マンガ 歴史人物に学ぶ 大人になるまでに身につけたい大切な心5』原作・監修:木村耕一 まんが:太田寿 より)
人の言うことは気にせずに
木村耕一さん、ありがとうございました。
あまりにも目標が大きいと、くじけそうになりますが、愚公の信念に、元気をもらいました。
智叟という利口な老人は、「君は、なんてバカなんだ」と口を出してきました。
自分は働きもしないのに、智叟のように、偉そうに言ってくる人っていますよね。とてもイライラします。
でも、愚公の切り返しに、スカッと心が晴れました!
人の言うことは気にせずに、目標に向かって努力したいと思います。
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