いよいよワールド・ベースボール・クラシックが始まります。
スター選手がそろっていてワクワクしますね。特に先日の強化試合での大谷翔平選手のホームランは、圧巻でした! あの快音を「生」で聞いたら、さぞかし気持ちがよさそうです。
そんな侍ジャパンを率いるのが栗山英樹監督。
先日テレビ番組でこんなことを聞きました。
野球好きの栗山監督は、どうしても野球選手になりたくて、ドラフト外で入団。しかし、結果を出せずに悩んでいました。
そんな時、当時2軍の内藤監督から「人と比べるな」と声をかけられます。
「人と比べるな」。
この言葉を支えに練習に励んだそうです。
ついつい私は、人と比べて、一喜一憂しているなと気がつきました。
イソップ物語にもこんなお話があります。木村耕一さんの意訳でどうぞ。
肉をくわえたイヌ
一匹のイヌが、大きな肉をくわえて、楽しそうに歩いています。
こんなごちそうは、久しぶり!
どこかで、ゆっくり食べようとしているようです。
やがて小川にさしかかりました。
川の水は、とてもきれいです。
まるで、鏡のように美しく光っています。
丸太の橋を渡り始めたイヌは、橋の下に、一匹のイヌがいるのに気づきました。
「あれっ、あいつも肉をくわえているぞ……」
じっと見つめているうちに、
「どうも、あいつの肉のほうが、大きくて、おいしそうだな」
と感じてきたのです。
「あいつは、いいなあ!」
そう思った瞬間に、これまで楽しかった気持ちが、どこかへ飛んでいってしまったのです。
「うらやましいな……」
ここで我慢しておけばいいのに、嫉妬の心は、大きな欲の心に火をつけてしまいました。
橋の上のイヌは、
「よし! あいつを脅かして、肉を奪ってやろう」
と思いつき、
「ワン、ワン!」
とほえたのです。
それと同時に、
ポチャリ!
と音がして、肉が川に落ちて、流れていってしまいました。
よく見ると、橋の下のイヌも、肉をなくして、残念そうな顔をしています。
橋の下にいると思っていたイヌは、川の水に映った自分の姿だったのでした。
自分の物より、隣の人の物は、よく見えるものです。
「ああ、いいなあ!」
「なんで、あの人ばっかり……」
こんな心が出てくると、せっかくつかんだ幸せも、喜べなくなってしまいますよ。
(『月刊なぜ生きる』 令和3年1月号「イソップ物語 人生にこんな場面ありませんか?」 文 木村耕一 絵 黒澤葵 より)
隣の人の物はよく見える
木村耕一さん、ありがとうございました。
「自分の物より、隣の人の物は、よく見える」とは、そうだな……と思います。
せっかく欲しい物を手に入れて喜んでいたのに、隣の人のほうがよく見えると、今までの喜びは、サーっと消えてしまいます。しかも、隣の人がうらやましくて、嫌な感情まで出てきてしまいます。
「人と比べない」のは、いろいろなシーンで大切な心がけだなと思いました。