ハッピーマインドの磨き方 #11

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更年期を乗り切るには?女性のライフイベントを活かした働き方【中編】

【対談】『すべてを叶える』の著者、新谷典子さんと、産婦人科医の小西菜普子先生の対談(中編)です。

【更年期】まずは自分の症状をよく知り、労わるところから

新谷さん:

成熟世代の女性にとって、更年期の受け入れ方、乗り越え方についても、よく相談されることがあります。

産婦人科の先生から、これだけは知っておいたほうがいいということはありますか?

小西先生:

更年期については、ほとんどの方が、身近な人の話や、ネット情報でぼんやりと知っているくらいだと思います。

でも実際は、友人Aさんはホットフラッシュ(のぼせやほてり)が強かったり、隣人Bさんは倦怠感が強かったり、はたまたパート先のCさんは気分の落ち込みがひどかったり……。

さらには、自分の母親に聞くと、「そんなもん、何もなかった」と言われる始末です。

人によって症状はさまざまで、現れてくる時期や経過もバラバラです。

新谷さん:

おっしゃるとおりです。

更年期だったとしても、ただの疲れや、自分の怠け心のせいにしたり、他の病気じゃないかと考えてしまったり……。

小西先生:

そういう方も少なくないと思います。

更年期自体は、直接命に関わるものではありません。

でも、イライラが強ければ、他人と揉めてしまったり、鬱の症状が強ければ、自殺を考えてしまったりする女性もいます。

職場でのミスや、人間関係でのトラブルに発展し、家族ともぎくしゃくしてしまって、色々とつらい経験をされている方も多いです。

特に最近は、仕事で責任のある立場に就く女性が増えていらっしゃいます。

一方で、家庭でもお子さんの受験を抱えるなど、何足ものわらじを履いていて、逃げたくても逃げ出せない状況にあります。

新谷さん:

確かに、分かる気がします。

そんなときは、どうしたらいいのでしょうか。

小西先生:

実はおよそ8割の女性が、

「更年期の悩みを家族や身近な人に分かってもらいたい、少しは助けてもらいたい」

と思っている反面、実際には打ち明けられずに過ごしている、というデータもあります。

時間とともに、ほとんどの症状は良くなりますが、長ければ、10年近く悩まされるのが更年期です。

大事なことは、まずは更年期であることを受け入れ、自分の身体の声に耳を傾けること

強い女性ほど、しんどいときでも「これは甘えだ」と我慢して頑張ってしまいます。

もちろん、我慢して乗り越えられる方もいますが、途中で身体的にも精神的にも限界に達してしまい、我慢することで悪循環になってしまうこともあります。

ふだん頑張っているからこそ、たまには自分に優しくしていいと思うんです。

新谷さん:

まずは、自分が困っていると自覚すること。

そして、周りに「大丈夫じゃない」と、助けを求められることが大事なんですよね。

■もっとちゃんと困ったら~「困難」は本質を吟味する新しい扉

何か困難がやって来たときに、「苦しいな、しんどいな、つらいな」という感情が出てきます。そういう感情を押し込めて蓋をして、なかったことにするほうが、一時的には楽かもしれません。

「大丈夫ですか?」と尋ねられて、手を差し伸べられたのに、「大丈夫です」と、その手を払いのけてしまう。「大丈夫じゃなかった」と後で気づいた時は、取り返しがつかないところに来ている場合も。

感情の均衡や生きる気力さえも失う前に、「大丈夫じゃない」「今、自分はしんどいんだな、つらいんだな、苦しいんだな」という感情を認める。

私の場合でいえば、我が子が幼い時は、一人目(娘)の時も、二人目(息子)の時も、夫が海外赴任&単身赴任で、不在の時間が長くありました。

そんな時に限って子どもが入院したり、同居の義祖母が要介護になったり、私のあばら骨が折れちゃったりしたわけです。

困ってないフリが得意な私も、さすがに困り果てました。

そして、ちゃんと困った結論として、「やらないこと」を決めました。

『すべてを叶える』(新谷典子 著・P56より)

小西先生:

更年期については、生理休暇があるのと同じように、もっと職場で理解してもらい、助けてもらうことが必要だと思います。

「上司が男性だから言いにくい」
という意見もよく聞きますが、それは、これからの社会の課題だと思っています。

多くの女性が社会進出しているからこそ、皆が気持ちよく仕事できる環境作りが大切です。

新谷さん:

「なぜイライラしているのか、なぜいつもみたいにテキパキ動いてくれないのか」
と、上司や同僚に不満に思われたら、仕事もうまくいかないですものね。

お互いに理由が分かれば、折り合いをつけていくこともできるはずです。

小西先生:

症状が様々だからこそ、理解してもらいにくいのが更年期ですが、女性はもっと、自分の身体に素直になっていいと思うんです。

医師は、症状が出ていることを知らせ、緩和するお手伝いができます。

相談に来てもらえればと思いますし、そういった周りの理解やサポートが少しでもあれば、よりうまく自分のスキルを活かし、成果を発揮できるようになると思います。

更年期を乗り切るには?女性のライフイベントを活かした働き方【中編】の画像1

小西菜普子先生
大阪公立大学
産婦人科医師(産婦人科専門医)

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