5月18日は、5・10・8の語呂合わせにちなんで「ことば」の日なのだそうです。
「一言かけるか、かけないか、どんな言葉を言うのかで、人間関係が大きく変わる」と教わったことがありますが、自分の考えや思いを相手に伝えるのに、言葉はとても大切ですね。
また、相手ではなく、自分の気持ちを前向きにするのにも、言葉は力を発揮するようです。
幕末に活躍した高杉晋作(たかすぎしんさく)と、『三国志』のエピソードを木村耕一さんにお聞きしました。
絶体絶命のピンチを乗り越える方法
人生には、壁にぶつかったり、窮地に陥ったりすることが多くあります。
その時、どんな心構えを持てば、乗り越えられるのでしょうか。
人生の先達に学んでみましょう。
まず、『竜馬(りょうま)がゆく』(司馬遼太郎著)に登場する高杉晋作が、実に爽快な言葉を残しています。
高杉は、「長州の天才児」「雲に乗った孫悟空」といわれるほど、何度も、絶体絶命のピンチを切り抜けました。
その秘訣は、何だったのでしょうか。彼は、
「困った、ということを金輪際言わない」
と答えています。
どんなことでも、熟慮してから行動し、後で困らないようにしておく。
それでも窮地に陥ったならば、後ろ向きな発言をしない。
「必ず乗り越えてみせる」と、前向きな気持ちを持ち続ければ、意外な方向に活路が見えてくるからだ。「窮すれば通ず」といわれるとおりである。
人間は、困ったと言った途端に、知恵が出なくなる。
「そうなれば窮地が死地になる。活路が見出されなくなる」
「死地におちいればそれでおしまいだ。だからおれは困ったの一言は吐かない」
高杉は、後ろ向き発言や愚痴の恐ろしさを見抜いていたのです。
「窮地」と「死地」には、天地雲泥の差があります。
その分かれ目は、「心の持ち方」ひとつなのですね。
吉川英治の『三国志』にも、こういう場面があります。
西涼(せいりょう)の猛将・馬超(ばちょう)が、魏(ぎ)の曹操(そうそう)軍に包囲され、殲滅(せんめつ)の危機に瀕していた。
敵の矢が無数に降り注ぎ、味方は、次々に倒れていく。
それでも馬超は、猛牛のように奮戦していた。
しかし、敵の兵数が圧倒的に多い。さすがの馬超も全身に傷を負い、限界を感じ始めていた。
「ああ、もうダメだ」という思いが、一瞬、脳裏をかすめたが、すぐに振り払った。
「いかん! あきらめたら最後だ」
自分を叱咤(しった)し、再び立ち上がった。
すると間もなく、思いも寄らぬ方角から援軍が現れるではないか。
間一髪で、一命を取り留めたのであった。
吉川英治は、
「(もう駄目)
それをふと、自分の心に出した時が、人生の難関は、
いつもそこが最後となる」
と書いています。
もし馬超が、後ろ向きな思いに負けていたら、後に、劉玄徳(りゅうげんとく)に従い、蜀(しょく)の五虎大将軍の一人として活躍することもなかったのでした。
(『人生の先達に学ぶ まっすぐな生き方』木村耕一著)
言葉も心も前向きに
木村耕一さん、ありがとうございました。
なにか壁にぶつかったりすると、ついつい、愚痴や不満を言葉に出してしまっていたなと反省しました。そうすると、どんどん心が沈んでしまいます。
心が沈んでいる時は、ネガティブな言葉を使わないように、できるだけポジティブな言葉を使うと、気持ちがだんだん高まっていくのを感じます。
言葉は、生きていくうえで、とっても大事なんですね。
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