「比べない子育て」をするために大切な3つのポイントは?
「他の子はできるのに、どうしてうちの子はできないの?」
「周りの子と比べると、何をするにもマイペースで……」
つい他の子と比べて、ため息をついたり、憂鬱になったり、時にはイライラしたり……。
比べることで、不安やあせりを感じたことのある親御さんは多いことでしょう。
この記事では、周りに振り回されず、今、目の前にいる子どもの可能性に気づき、才能を伸ばしていける3つのポイントをお伝えしたいと思います。
ポイント① 比べて評価することの悪影響を知る
比べられた子どもたちは、私たちが思っている以上に、心にネガティブな影響を受け、健やかな成長に弊害が生じてしまいます。
それなら比べなければいいのですが、親はどうしても、周りの子どもとの違いや差が気になり、比べてしまうものです。
では、どうすれば比べないようになれるのでしょうか。
まず、比べられて育つ子どもが受ける、ネガティブな影響から考えてみましょう。
「比べること」が子どもの心に及ぼす4大リスク
1.他人の評価が気になり、自主性がなくなる
常に人からどう見られているか、どのように思われているかが気になり、いつも親や大人の顔色を見て行動するようになります。
そのため、自分が望むこと、やりたいことよりも、「人からどう見られているか」「周りと比べて自分はどうなのか」が気になり、自主性が阻まれてしまうでしょう。
2.友達やきょうだいの成功を喜べない
人に追い抜かされたり負けたりすると、自分の評価が下がることに不安を感じます。
友達やきょうだいが、試験やスポーツでよい成績を収めると、それを喜べないだけでなく、嫉妬心を抱いたり、落ち込んだりするでしょう。
3.人の価値を「比べること」でしか判断できなくなる
自分や友達の能力を比べ、その優劣や上下によって、人の価値を判断するようになります。
そのため、自分の判断基準を持てず、他人への評価も揺らぎやすく、円滑な人間関係を築きにくくなるでしょう。
4.自分の存在に自信が持てなくなる
比べられて劣っていると、「どうせボクは……」「ワタシなんか……」と自信をなくし、卑下するようになります。
やがて自分の存在そのものにまで、自信を持てなくなることがあります。
たとえ高い能力を持っていたとしても、自分より優れた人に出会うと、結局は同じで、常にあせりや不安を感じて生きていくことになるでしょう。
このように、周りと比べられて育つと、生きるうえでのネガティブな影響を受けやすくなります。
比べることで生じる弊害を知っておくだけでも、親が子どもを比べてしまうときのストッパーになるでしょう。
ポイント② 気づかずに比べていることを自覚する
親は子どもが誕生したときから、身長や体重、歩き始めや発語の時期など、周りと比べて、わが子の成長を確認します。
それらは、身体や行動の発育、発達の目安になるでしょう。
点数や順位がつき始めたときが要注意!
やがて成長するにつれて、身体の成長以外に、学習やスポーツ、芸術などの能力に、個性や違いが出始めます。
そのような中で、子どもは、得意な分野を持つ友達がいることを嬉しく感じたり、仲間が頑張っている様子を見て、意欲を高めたりすることもあるでしょう。例えば、
「〇〇君は、とても走るのが速くてカッコいいんだ。ボクも速く走れるように練習しよう!」
「仲良しの△△ちゃんは、すごく絵がうまいの」
と、特技のある友達のことを嬉しそうに話すことがあると思います。
ところが、小学校に入学すると、テストが行われ、点数や順位がつけられ、全体での評価がなされます。
そうすると、親は子どもを周りと比べ、一喜一憂することが多くなります。「比べること」の弊害が生じ始めるのです。
心の成長を阻害する、親の「評価」と「一喜一憂」
「隣の〇〇ちゃんは、ピアノで次々と新しい曲を弾いているわ。それに比べて、うちの子は何カ月経っても同じ曲ばかり。どうしてこんなにも才能が無いのかしら」となげく。
「クラスの△△君は、運動会でいつも一番。息子はいつもビリ。運動能力が本当に低い……」とため息をつく。
「お姉ちゃんは、漢字のテスト、いつも満点だったのに、あなたはいつも半分しかできないのね」とガッカリする。
「お兄ちゃんは、学校から帰ると自分から宿題をしていたのに、あなたは言わないとできないのね」と、イライラして言ってしまう。
日常生活の中で、友達やきょうだいと比べる場面は多いのではないでしょうか。
これらの親の言葉は、「才能がない」「運動能力が低い」「半分しかできない」「言わないとできない」と評価をしています。
そして、「なげく」「ため息をつく」「ガッカリする」「イライラする」と、マイナスの感情を表しています。
そうすると、子どもは、「自分はダメなんだ」と感じたり、「友達より劣っている」「ボクは親を悲しませている」「お姉ちゃん、お兄ちゃんより、ワタシは愛されていない」と思うようになるでしょう。
やがて自分への自信がなくなり、子どもの健やかな成長にネガティブな影響を与えてしまうのです。
では、比べて「うちの子の方が優れている」と感じることもあると思います。その場合はどうなのでしょうか。
「子どもを比べてほめる」のも、ダメなこと?
「クラスで成績が1番」「学年で一番走るのが速い」など、周りと比べて、わが子の方が優れている場合、親は嬉しく感じ、「すごいわね」「よく頑張ったね」とほめたり、喜びの感情を表に出したりするでしょう。
そうすると、子どもも自信や意欲が高まるので、一見ポジティブな関わりのようにも見えます。しかし、実はそうではありません。
成長して社会が広がれば、比べる対象も広がり、さらに優れた人と必ず出会っていくものです。
そうすれば、今までの成績や能力の自信はもろくも崩れ、結局は自己否定や、自信のなさにつながっていくでしょう。
優れていても、それが「比べる」ことによる優劣であれば、親も子どもも、「いつ追い越されるか……」と不安やあせりを感じ、追い越されたときの挫折感を恐れて過ごすことになるでしょう。
このように、子どもを周りと比べることは、優劣・上下どちらにしても、良くない影響が出てきます。
厳密に言うと「比べて〝評価〟すること」と、「親が〝一喜一憂〟すること」が、子どもにネガティブな影響を与えていると言えるでしょう。
では、どのようにすれば、人と比べないで子育てができるのでしょうか。
ポイント③ 比べない習慣を身につける
子育て比べはもう卒業! 本質的な力を伸ばすための習慣を
1.具体的な理由を説明して伝える
親が、「〇〇君みたいに、靴はそろえて脱ぎなさい」「お姉ちゃんを見習って、言わなくても宿題に取り組んでね」など、子どもの行動を注意するとき、誰かの例を出して、説明するときがあります。
親としては、分かりやすく話すために、きょうだいや友達のことを出すのですが、子どもからすれば、「比べられている」と感じるでしょう。
「ボクは〇〇君みたいにきちんとできない」
「ワタシはお姉ちゃんとは違う」
と、反発心を抱くことがあります。
そのような時は、
「靴はきちんとそろえて脱ぎましょう。次に履くとき、履きやすいし、見ても気持ちいいでしょう?」
「宿題を先にしておかないと、夜になったら眠くなって、できなくなるんじゃない?」
というように、その行動をうながす理由を説明しながら、話すよう心がけましょう。
2.親自身が比べられて育った過去を振り返る
親自身が、子どもの頃、きょうだいや友達と比べられて育ってきた場合、知らず知らずの間に、自分の子どもも比べてしまう傾向にあります。
またそれだけでなく、親としても、自分の子育てを周りと比べて、「もっとしっかり育てなければ」と自分にプレッシャーを与えていることもあります。
子どもの頃に親から受けた考え方や行動の影響は、簡単には変え難いものですが、自分が比べられて理不尽な思いをしたり、辛かったりした経験があるなら、「子どもには同じ思いをさせないように」と意識してください。
そして、「私はワタシ、自分らしい子育てでいい」と思うようにしましょう。
3.多様な価値観から、子どもを肯定的に見ていく
親が子どもを比べて評価する裏には、親の価値観や希望も大きく影響しています。
例えば、
「学校のテストは満点を取ってほしい」
「運動能力は高めるべき」
「人には親切にしなければならない」
「友達はたくさんいた方がいい」
「将来は堅実な職業に就いてほしい」など。
親は「子どものために」と思い、望むことなのですが、子どもにとっては、プレッシャーになったり、自然な自分の姿や夢を否定されているように感じたりするでしょう。
少し見方を変えれば、
「算数のテストが満点でなくても、国語の漢字が得意だ」
「スポーツが苦手でも、絵がうまい」
「人に親切する前に、まずは自分を大切にしている」
「親友と呼べる友達が一人いればいい」
「夢を持って挑戦する生き方は幸せだ!」
と思えば、それはみな素晴らしいことです。
まずは、子どもを信じ、多様な価値観を受け入れて、子ども自身が望んでいることを応援しましょう。
どんな時も、親にとっては「あなたが一番」
私たちはつい、子どもを周りと比べて評価します。ぼう大な情報が簡単に入手できる今、その傾向はさらに強くなってきたようにも感じます。
社会のさまざまな集団の中で生きていると、「比べてしまう」ことは自然に生じてくるでしょう。
しかし、そのようなときは、周りの友達やきょうだいなど、「横の軸」で比べず、過去の本人という「縦の軸」で比べましょう。
そして、もし「横の軸」で比べてしまっても、評価しないこと、親が一喜一憂しないことを心がけてくださいね。
「どのような結果でも、お母さん、お父さんにとってはあなたが1番よ」
「どんなあなたでも、愛しているわ」
という気持ちが伝わるよう、ありのままの子どもを認める子育てで、親子で幸せになってもらいたいと思います。 心根育(ここねいく)の連載はコチラ
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