日本人なら知っておきたい 意訳で楽しむ古典シリーズ #181

  1. 人生

【イソップ物語】池に落ちたアリ〜他人に親切をすれば、いつか自分も助けてもらえる

アメリカのプロ野球・大リーグの大谷翔平選手は、投げても打っても絶好調。次々と記録を更新する異次元の活躍に、圧倒されますね。ニュースを見るたびに心が晴れ晴れします。

大谷選手といえば、素晴らしい気配りがたびたび話題になります。6月19日(日本時間20日)のツインズ戦では、対戦相手のキャッチャーの「落とし物」を大谷選手が教えてあげる場面があり、その親切が注目されました。とても素敵ですね。

さて今回は、親切の大切さを知らされる「イソップ物語」の一話を、木村耕一さんの意訳でどうぞ。

池に落ちたアリ

池のほとりにいたアリが、誤って水の中に落ちてしまいました。このままでは、おぼれてしまいます。

たまたま近くの木の枝にハトがとまっていました。

【イソップ物語】池に落ちたアリ〜他人に親切をすれば、いつか自分も助けてもらえるの画像1

苦しんでいるアリを見つけたハトは、かわいそうに思って、木の葉を一枚、ちぎって落としてやったのです。

アリは、水に浮いた葉に乗って、陸へ戻ることができました。

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何の縁もゆかりもないハトの親切で、命が救われたのです。

アリは木の上のハトに何度もお礼を言いました。

ちょうどその時です。

一人の猟師が、ハトを狙って鉄砲を構えているのを、アリが発見したのです。

【イソップ物語】池に落ちたアリ〜他人に親切をすれば、いつか自分も助けてもらえるの画像3

アリは、「今こそ、恩返しを!」と決意しました。

「自分のような小さなアリに、何ができるか」などと悲観しませんでした。

すばやく猟師の足に駆け登り、力一杯かみついたのです。

「あ、痛い!」

人の気配を感じ取ったハトは、間一髪で逃げることができたのでした。

困っている人、苦しんでいる人を見かけたら、知らないふりをせずに、優しい言葉をかけましょう。助けてあげましょう。
他人に親切に接しようと心懸けている人は、いつか必ず、自分も周りから助けてもらえるのです。

(『月刊なぜ生きる』 令和元年8月号「イソップ物語 人生にこんな場面ありませんか?」 文 木村耕一 絵 黒澤葵 より)

親切を心がけて

木村耕一さん、ありがとうございました。

アリとハトでは、住んでいる世界も、言葉も違うと思いますが、相手を思いやったり、恩返しに奮闘したりする姿に、心が温まりました。

まずは、身近な人への親切から心がけて、親切の輪が広がっていったらいいなと思います。