アメリカのプロ野球・大リーグの大谷翔平選手は、投げても打っても絶好調。次々と記録を更新する異次元の活躍に、圧倒されますね。ニュースを見るたびに心が晴れ晴れします。
大谷選手といえば、素晴らしい気配りがたびたび話題になります。6月19日(日本時間20日)のツインズ戦では、対戦相手のキャッチャーの「落とし物」を大谷選手が教えてあげる場面があり、その親切が注目されました。とても素敵ですね。
さて今回は、親切の大切さを知らされる「イソップ物語」の一話を、木村耕一さんの意訳でどうぞ。
池に落ちたアリ
池のほとりにいたアリが、誤って水の中に落ちてしまいました。このままでは、おぼれてしまいます。
たまたま近くの木の枝にハトがとまっていました。
苦しんでいるアリを見つけたハトは、かわいそうに思って、木の葉を一枚、ちぎって落としてやったのです。
アリは、水に浮いた葉に乗って、陸へ戻ることができました。
何の縁もゆかりもないハトの親切で、命が救われたのです。
アリは木の上のハトに何度もお礼を言いました。
ちょうどその時です。
一人の猟師が、ハトを狙って鉄砲を構えているのを、アリが発見したのです。
アリは、「今こそ、恩返しを!」と決意しました。
「自分のような小さなアリに、何ができるか」などと悲観しませんでした。
すばやく猟師の足に駆け登り、力一杯かみついたのです。
「あ、痛い!」
人の気配を感じ取ったハトは、間一髪で逃げることができたのでした。
困っている人、苦しんでいる人を見かけたら、知らないふりをせずに、優しい言葉をかけましょう。助けてあげましょう。
他人に親切に接しようと心懸けている人は、いつか必ず、自分も周りから助けてもらえるのです。
(『月刊なぜ生きる』 令和元年8月号「イソップ物語 人生にこんな場面ありませんか?」 文 木村耕一 絵 黒澤葵 より)
親切を心がけて
木村耕一さん、ありがとうございました。
アリとハトでは、住んでいる世界も、言葉も違うと思いますが、相手を思いやったり、恩返しに奮闘したりする姿に、心が温まりました。
まずは、身近な人への親切から心がけて、親切の輪が広がっていったらいいなと思います。