5人に1人の敏感タイプ=HSPとは? #3

  1. 人生
  2. 心理

HSPの敏感さにどう向き合う?焦って頑張りすぎて倒れないための発想の転換方法

『生きづらいHSPのための、自己肯定感を育てるレッスン』の著者、高木のぞみさんがつづるHSPシリーズです。

前回は、HSP(人一倍敏感な人)とは何か、正しく知ることで「自分がHSPなんだ」と受け入れることができた経緯を紹介しました。

前回の記事はこちら

次の問題は「敏感さとどう向き合うか」でした。

「自分は人一倍刺激を受けやすく、敏感なのだ」とただ理解しても、そう感じる現実は何も変わらないからです。

今回は、私が自分を否定せずに、自分の感覚を前向きに受け止めることができるようになるまで、具体的にやってみたことや、乗り越えてきたことを書いていきたいと思います。

HSPの基本的な内容は下記でまとめていますのでご覧ください。

刺激を減らすだけで、みるみる変化していったこと

私は幼い頃から生きづらさに悩み、大学生の頃にはうつ病を発症しました。
それでも夢のために何とか大学を卒業し、就職もしたものの、うつ病を再発し休職してしまいます。

今までどおりの生活をしていたら、また再発してしまうことは確実だと感じました。
うつ病の再発率が高いことはよく分かっていたからこそ、そうならないために何ができるだろうと、しばらくはそればかり考えていました。

そこでまずやってみたことは、刺激と情報を可能な限り減らすことでした

休職中に、実際にやっていたのはこんな感じでした。もちろん一部は休職中だからできたことだと思います。

  1. テレビのニュースは見ない
  2. 夜は、間接照明か、ろうそくの明かりに切り替える
  3. 寝る前にテレビやパソコン、携帯などの画面を見ない
  4. 刺激の強い食べ物は、できるだけ口にしないようにする
  5. カフェインを控える
  6. 眠る前に瞑想をする
  7. 必要な時以外は家から出なくていいと決める
  8. 友人や知人にこちらからは連絡をとらない
  9. 安心できるスペースを部屋の一部に作る(布を使ってテントのような一人になれる空間を作る)

特に、テレビのニュースは、残虐なシーンやシビアな内容が多く、いきなり視覚に飛び込んできます。

自分とは関係のない、他人のことだと分かっていても、いつも共感しすぎてつらくなってしまっていたので、ニュースの時間にテレビはつけないことにしました。そうすることで、トラックと正面衝突するとか、ナイフを持った人に追いかけられるなど、極端な悪夢を見ることが減りました。

また、蛍光灯や携帯などの明るい光から離れることで、神経の高ぶりがだいぶ収まったように感じました。

物理的な刺激を避けたことで、うつ症状がかなり和らいできました

休むことへの罪悪感は、どう乗り越える?

しかし、大変だったのはここからでした。

物理的な刺激を避けても、自己肯定感の低い私は、「休むこと」を肯定できずにいました体の症状は落ち着いてきても、心は不安定の波を繰り返し、ものすごい焦りを抱えていました。

先に書いていたように、家から出なくていいと決めたことで、外に出て誰かと会って、何気ない一言に勝手に傷ついたり落ち込んだりということは減ってきましたが、仕事をして頑張っている周りの人のことを考えるたびに、

「自分は家にいていいんだろうか」

「私は何をやっているんだろう……」

「休職しないでもっと頑張れたんじゃないか」

このような思考から抜け出せなくなりました。

敏感すぎて刺激を受けすぎる私は、「安心できる環境を作ることが何よりも大事だ」と頭で分かっていても、頑張って働いている友人を見ては、自分はなんてダメ人間なんだろう、とへこんでいました。

うつ状態だったこともあったと思いますが、どうしても周りと比べてしまって、罪悪感と劣等感の塊になってしまうのです。

その後、何とかリハビリ勤務から職場に復帰し、短時間でしたが働き始めました。

状態が回復してきたといっても、やはり刺激の波に飛び込むことはかなりのストレスがあり、復帰当初から不安で仕方がありませんでした。

「頑張らなきゃ」が、「頑張ったね」に変わる考え方とは

そんな時は、ひたすら「感謝できることだけ」を数えていました

今、生きていられること、休職していても戻る場所があること、短時間しか働けないのに支えてくれる人たちがいること。

「こんな自分でも、受け入れてくれる人がいる」。不安は消えないけど、自分を責め続けるのではなく、この事実だけを言い聞かせていました。

恐怖感から、また自分の存在を否定しそうになった時、あえて「今があるだけでいいじゃない」と開き直ることで、「もっと頑張らなきゃ」と焦るのではなく、「よくここまで頑張ったね」と初めて自分に声をかけることができました。

この思考の転換ができるようになったことで、「焦って頑張りすぎて倒れてしまうより、現状を維持できたほうがいいよね」と、今を肯定できるようになりました。

最初はとてもぎこちなかったけど、自分で自分を認めることがすごく大事なことだったんだと、この時に分かりました。

まとめ

  • 生きづらさに悩んでいる人には、まず刺激を減らして、安心できる環境を作ることをお勧めします
  • 少しでもホッとできる時間を持つことで、心の動揺が驚くほど収まってくると思います。そして何より、敏感すぎて疲れ切ってしまった自分を、「今日も頑張ったね」と、ありのままに認められるようになると、どんどん肩の力が抜けてくるのが分かると思います
  • 時間はかかります。でも、自分を認める作業を続けていくと、驚くほど生きやすくなる瞬間がきっと来ます。ぜひやってみてもらいたいと思います

生きづらいHSPのための、自己肯定感を育てるレッスン

生きづらいHSPのための、自己肯定感を育てるレッスン

高木のぞみ、高木英昌(著)

HSPの連載はこちら