3月7日は「薩長同盟(さっちょうどうめい)」が締結された日。
幕末当時、仲が悪かった薩摩藩(さつまはん)と長州藩(ちょうしゅうはん)とが手を結んだことで、日本の歴史は大きく動き出しました。仲介したのは、坂本竜馬(さかもとりょうま)。
NHK大河ドラマでは、そうそうたる俳優が坂本竜馬を演じています。『龍馬伝』では福山雅治さん、『西郷どん』では小栗旬さん、『篤姫』では玉木宏さんが竜馬を演じました。みなさんステキでした。
今も根強い人気がある、坂本竜馬の魅力を、木村耕一さんにお聞きしました。
目的に向かって
──坂本竜馬といえば、「薩長同盟」「大政奉還」「海援隊」などが有名ですが、実は、どんなことだったのかは、よく分からなくて……。
そうですよね。
そんな難しい業績を知らなくても、「竜馬が好きだ」と言う人は、たくさんありますよ。
それは、彼の、まっすぐな生き方に魅力があるようです。
──どんな生き方だったのでしょうか。
まずは竜馬の原点を、司馬遼太郎の『竜馬がゆく』をもとに明らかにしましょう。
竜馬は少年時代、塾の勉強についていけませんでした。寝小便がやまず、友達からも「泣き虫」とバカにされていたといいます。
──え、それは意外ですね。
そんな竜馬は、海が好きでした。
桂浜(かつらはま)に立ち、打ち寄せる白い波を見つめていると、心がいやされてきます。
果てしなく広がる青い海に比べたら、人間なんて、小さな存在にすぎません。
狭い陸の上で、差別され、傷つけられ、クヨクヨしていた悩みも、ちっぽけなことに思えてきます。
モヤモヤを吹き飛ばすように、竜馬は、こんな歌を詠んでいます。
世の中の
人は何とも云(い)わばいえ
わがなすことは
われのみぞ知る
(意訳)
世間の流れに合わせて生きれば、幸せになれるのか。他人の言うとおりにすれば、満足な人生が送れるのか。とんでもない。
自分のやるべきことは、自分だけが知っている。自分で考え、突き進むしかないではないか。
──海に向かって、大声で叫んでいる竜馬の姿が浮かんでくるようです。
その後江戸へ出て、勝海舟(かつかいしゅう)に出会った竜馬は、世界観が一変するほどの衝撃を受けました。
同時に、自分の進むべき道をハッキリ知らされ、目的に向かって突き進むようになります。
竜馬は、自信を持って断言しています。
「世に生を得るは事を成すにあり」
人生には目的がある。人間は、大事な目的を果たすために、生まれてきたのだ。その目的を早く見つけよ。目的に向かって突き進んでこそ、人生は輝くのだ。
──目的に向かって進む人は、魅力的なんですね。
はい。目的に向かう気概が表れている、竜馬のこんな言葉もありますよ。
「人の一生というのは、たかが50年そこそこである。いったん志を抱けば、この志にむかって事が進捗するような手段のみをとり、いやしくも弱気を発してはいけない。たとえその目的が成就できなくても、その目的への道中で死ぬべきだ」
「業なかばでたおれてもよい。そのときは目標の方角にむかい、その姿勢で斃(たお)れよ」
目的達成までの、はるかな道のりを思うと、ひるむ時もあると思います。
しかし竜馬は、
「同じ倒れるなら、目的に向かって前向きに倒れよ」
と言っています。
たとえ達成できなくとも、目的に、一歩でも、二歩でも、近づくことができれば、すごいことです。全力で走っている時間は、人生の中で、キラキラ輝いている瞬間なのですから、その気持ちを大切にしたいですね。
(『人生の先達に学ぶ まっすぐな生き方』木村耕一著より)
──木村耕一さん、ありがとうございました。目的に向かう、竜馬の純粋な姿勢が、多くの人をひきつけたのだろうなと感じました。
今回ご紹介した木村耕一著『人生の先達に学ぶ まっすぐな生き方』は、武田信玄などの戦国武将や、坂本竜馬、武者小路実篤、エジソンなど、有名人が残した名言やエピソードから、日本人が昔から大切にしてきた心を紹介。昭和39年東京オリンピックにまつわるエピソードも登場します。
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