3月28日は、茶人として有名な千利休の忌日なのだそうです。
お茶会では、古典文学が話題になることも多いのだとか……。古典とお茶は、相性がいいですね。
木村耕一さんの「意訳で楽しむ古典シリーズ」の第1作は、『こころ彩る徒然草』です。サブタイトルは、「兼好さんと、お茶をいっぷく」。
古典が苦手という人にも、お茶をいっぷく気分で、楽しめるように編集したのが、このシリーズの始まりでした。
今回は、4月からの新生活にふさわしい『徒然草』の一段を、木村耕一さんの意訳でお届けします。
心を磨いて、すてきな人を目指しましょう
(意訳)
さあ、この世に生まれたからには、一度しかない人生を楽しみましょう。
やりたいことは、山ほどあります。
地位や名誉を得ている人を見ると、「よし自分も」と決意する人も多いでしょう。
しかし、出世した人が、得意な顔、偉そうな顔をしていると、私は、「つまらないヤツだな」と思ってしまいます。
たとえ、名誉や財産がなくても、美しくなりたい、スタイルをよくしたいという願いは、皆、持っているでしょう。
それは大切なことですが、外見だけ飾ってもダメなのです。
一見、りっぱだと思っていた人が、化けの皮がはがれて、つまらない人だったと分かった時のショックは、実に大きなものがあります。
やはり、人間にとって、いちばん大切なのは心なのです。
地位や名誉、容姿などは、生まれつきの家柄、才能、体質などによって左右されることもあります。
しかし、自分の心ならば、誰でも、高めることができます。
昨日よりも今日、今日よりも明日と、日々、向上していくことができます。
心を磨いて、すてきな人を目指しましょう。
(原文)
しなかたちこそ生れつきたらめ、心はなど、かしこきよりかしこきにも、うつさばうつらざらん。
(第一段)
(『こころ彩る徒然草』木村耕一著より photo:amanaimages)
大切なのは心
木村耕一さん、ありがとうございました。
地位や名誉、容姿など、外見ばかりに目が向いて、それらを目標にしがちですが、大切なのは、心なのですね。
「自分の心ならば、昨日よりも今日、今日より明日と、向上していくことができる」というのも、励みになりました。
古典は生きるヒントになりますね。
今回ご紹介した『こころ彩る徒然草』は、こちらから試し読みができます。
木村耕一さんの「意訳で楽しむ古典シリーズ」は、今回の記事で終了いたします。これまでお読みいただき、ありがとうございました。4月からの新企画も、どうぞお楽しみください。
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