結婚を前提に思って長年交際していた相手から、一方的に別れを告げられたら、そのショックは計り知れません。
お金で気持ちが和らぐことはないかもしれませんが、せめて慰謝料は受け取れるのかどうか、知りたいところでもありますね。
果たして相手から慰謝料をもらえるのかどうか、離婚問題を多く扱われている浮田美穂弁護士にお答えいただきました。
「結婚を前提に長年交際していた彼氏に一方的に別れを告げられた場合、慰謝料はもらえるのか」というご相談をよく受けます。
「結婚を前提に交際している」といっても、その交際状況・進展具合はさまざまです。交際状況・進展具合によって、慰謝料をもらえるかどうかの結論は異なります。
慰謝料をもらえるのは「婚約が認められる」場合
彼氏と婚約していた場合には、お互いその婚約を不当に破棄することはできませんから、一方的に別れを告げられれば、相手に慰謝料を請求することができます。
ただし交際中にお互いに「いつか結婚しよう」という話が出たからといって、婚約したとはいえません。
婚約が成立したというためには、将来婚姻する確実な合意が“客観的に認められる”必要があるとされています。
例えば、
- 婚約指輪を贈る
- 結納品を取り交わす
- 結婚式場を予約している
などで、婚約の成立が認められます。
また、婚姻届け提出の時期を話し合っていたとか、挙式の時期や内容を話し合っていたなどの事情があれば認められることがあります。
このように婚約が成立したといえる場合、婚約を不当に破棄されれば慰謝料をもらえます。
「婚約に近い」場合も慰謝料をもらえる可能性がある
基本的には、婚約が成立したと認められない場合には慰謝料はもらえません。
ですが交際状況によっては、それではあまりにかわいそうという場合があります。
裁判例には、客観的な証拠がなく婚約成立が認められない場合でも慰謝料請求が認められたものがあります。
それは二人の交際が比較的近い将来婚姻することを視野に入れた真摯な交際である場合に、その他の交際状況を考慮して不当な交際の解消は不法行為にあたる、と認められた例です。
具体的には、以下のような事例がありました。
3~4年交際した後、互いに結婚の話をし、将来はA市に住んで子どもを育てたいという結婚を前提とした話がしばしばなされた。
その後、男性は、将来A市から通勤できるようにと会社を転職した。
男性と女性はA市で不動産や教会を見学したが、具体的な検討には至らなかった。
男性は結婚相手として女性を家族に紹介し、食事をしたりした。
その数年後にも両親との食事会をしたが、突然女性が男性に交際を解消したいといい、その直後に女性が別の男性と結婚した。
男性が結婚を前提に転職までしていたことと、女性が別れてすぐに別の男性と結婚したことが重視されていると思います。
婚約していたとは認められない場合でも、このような特別な事情があれば、慰謝料がもらえることがあるのです。
「婚約していない」「特別な事情もない」場合は慰謝料はもらえない
彼氏から「結婚を前提に交際しよう」と言われたから長年交際していたのに、プロポーズもされずに一方的に別れを切り出された場合だとしても、法的には慰謝料はもらえないということになります。
結婚の話題が出たり、期待させるような言動があったりした場合でも、それだけでは慰謝料はもらえません。
法律上は、婚約するまでの交際は続けるのも解消するのも基本的には自由なので、ペナルティを負わせることができないのです。
まとめ
このように婚約していた場合、婚約していたとはいえなくても特別な事情がある場合には慰謝料をもらえ、そうでない場合には慰謝料はもらえないということになります。
慰謝料がもらえるか、もらえないかにかかわらず、結婚するまでに別れたということは、結婚していたとしても別れた可能性が高かったといえると思います。
その相手とはご縁がなかったと気持ちを切り替えられれば、きっと前に進めるでしょう。
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