【メッセージ】
善意はありがたく受けとろうではないか
織田信長の家臣から身を立て、天下統一を果たした。農民の出身ながら頭角を現し、信長の死後には明智光秀を討って権力を握り、関白や太閤として政治を取り仕切る。
堺・京都の整備や朝鮮出兵を行い、後の幕藩体制の基盤を築いた。趣味は茶の湯で、自ら茶器の収集もしていた。
エピソード
秀吉が、天下を取ってからのこと。
京都の東山に、松茸がたくさん生えていると聞き、
「松茸狩りをして遊ぼうではないか」
と言いだしました。
しかし、家臣たちが下見に行くと、すでに京の人々がほとんど採ってしまったようで、わずかしか残っていません。
落胆する秀吉の顔が浮かびます。
そこで、彼らは、手を尽くして松茸を取り寄せて、山に植えることにしました。
なんとか秀吉を喜ばせたい。徹夜で作業が行われます。
そして次の日、秀吉は、お祭り騒ぎのようにして、やってきました。
松茸だらけの山を見て、「これは見事!」と、子どものようにはしゃぎながら松茸を採る秀吉。
すると、側の女性が、秀吉の袖を引いて、
「これは自然に生えたものではありません。誰かが、植えたものでございます」
と、言いました。
秀吉は、手を振って、さえぎり、
「こら、言うな、言うな。俺たちを喜ばせようとして、皆がやったことだ。これだけ植えるには、相当の苦労があったはずだ。その気持ちを、ありがたく受け取ってやらねばならぬ」
と、ニッコリ笑ったといいます。
貧しい幼少期をすごし、下働きが長かった秀吉は、いわゆる「遅咲き」の人物。
生きていくために、人間関係がどれだけ大切かをよく理解していました。
良いコミュニケーションのコツは、正論ばかりを振りかざさないこと。
周りの人から愛され、信頼される人は、他人の善意を丁寧に受けとめられる人なのです。
参考文献:『新装版こころの朝 自分らしく自分の夢を持って生きれば、道は開けてゆく』
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