あれほど願って手に入れたはずなのに、気がつけば不満に変わっている……。そんな経験はありませんか?
「この人を一生大切にしよう」と思って決めた結婚でさえ、それは例外ではないかもしれません。

〇〇さえあれば幸せになれるのに……

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「一緒になれたらそれだけで幸せ」と思っていたのに…

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    一緒にいると、期待も不満も大きくなるよね。

結婚する前は、「この人となら、きっと居心地のいい家庭を築けそう」
「できれば子どもは2人ぐらいいたら、楽しい毎日を過ごせるだろうな」などと思うものです。

しかし、いざ結婚してみると、以前のように自分の好きなことをする時間はなくなって、イライラしがちになったり、相手の嫌なところばかりが目についてしまったり……。

洗濯や掃除の仕方一つを取っても、それぞれの考え方は異なります。
たとえば、夫は、靴下は裏返しで洗濯機に入れたほうが生地が傷まない、と知っていたとしても、そんなことを妻に言おうものなら、
「じゃあ、誰が裏返しになったのを元に戻して片づけるのよ!」と、さらなるトラブルになってしまうこともあります。

あんなに一緒にいたいと思っていたのに、なぜか、一緒にいるほど不満が溜まっていく、ということはないでしょうか。

有っても無くても、悩みのタネは変わらない

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    無いときは「これさえあれば!」と思うけど……。

実際に生活が始まるまでは、「結婚さえすれば」「子どもさえいれば」と思っていたところもあったかもしれません。

でも、現実はどうでしょう。
幸せを感じる一方で、かえって、不安や悩みのタネが増えている、ということはないでしょうか。

欲しいものが手に入らないときは、それが無いことで、悲しんだり苦しんだりしていると思いがちです。
ところが、有れば有ったで、それを維持するために、別の悩みや不安が絶えません。

そんな私達の心を表しているのが、「有無同然(うむどうぜん)」という言葉です。
これは、結婚や子どもの有無だけでなく、お金やマイホーム、仕事や立場、容姿や才能など、どんなものにも当てはまります。

無いときは、「あれさえ手に入れられたら、幸せになれるのに」と思いますが、あればあったで、今度はそのもののために苦しみます。

有る人は「金の鎖」、無い人は「鉄の鎖」に縛られているようなもの、ともいわれます。
金の鎖に縛られていても、鉄の鎖に縛られていても、材質が違うだけで、どちらも縛られて苦しんでいる点では変わりません。

外から見ると、お金や物・家族・容姿に恵まれている人は、幸せいっぱいの生活を送っているように感じますが、不安や悩みが尽きないという点では、同じだということです。

他人をうらやましく思ったときは?

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    完璧に見えるあの人も、実は悩んでいるのかも。

「有無同然」という言葉の意味が分かると、世の中の見方が少し変わってきます。

周りの親子やSNSを見ていると、
「あの人は仕事も家事もちゃんとこなし、オシャレにもいつも気を遣っていて、本当に完璧。それに比べて私は……」
「あの子は勉強もスポーツもできるのに、うちの子は……」
と思うことがあるかもしれません。

しかし、どんなに恵まれて見える家庭にも、悩みがあるものです。

子どもがいつも活発に走り回っていれば、元気に育っていることをうれしく感じる一方で、もう少し落ち着いて過ごしてほしい、と願うでしょう。

反対に、なかなか教室に馴染めなかったり、自分の気持ちを表現するのが苦手だったりしたら、もっと積極的になってほしい、と思うでしょう。

家事も育児も完璧にこなしているように見えるお母さんも、
実は他の人に頼れないことに悩んで疲れ果て、ほどほどに力を抜ける人をうらやましがっているかもしれません。

恵まれているあの人がうらやましい、もっと我が家もこうだったら……と考え始めたら、
「有無同然」がすべての人の現実だということを、思い出してみてはいかがでしょうか。

今の自分が持っている大切なものに目が向き、少し心が楽になるかもしれません。

(1万年堂出版編集部より)

いま話題の古典、『歎異抄』

思い描いていた生活に、それなりに近づいているはずなのに、なんだか物足りない。
何を手に入れても悩みが尽きないのが現実だとしたら、一体何のために、毎日頑張ればいいんだろう……?

そんな疑問にそっと寄り添い、生きるヒントを与えてくれるのが、700年前の古典『歎異抄」です。

66万部を突破したロングセラー解説書『歎異抄をひらく』(高森顕徹 著)には、次のような喜びの声が届いています。

「無人島に、一冊もっていくなら『歎異抄』」と言われ、一度読んでみたかった本です。89年の人生を歩んできた私にも、この歳になって気づくことが多く、奥深さをしみじみと感じながら読んでいます。ありがとうございました。(89歳・男性)

「主人が逝って、一人淋しくしていました。ほんとうに人に会うこともなく、救いを求めて読みました。これからまた、読み返してみます。一生大事にします。生きる希望がわいてきました。(76歳・女性)

「人生の折り返し地点を迎え、少し立ち止まり、読んでみました。私にとって、これから何度も読んでいく本だと思います」(49歳・女性)

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マンガ『こども歎異抄』とは

子どものころ、ひそかに感じていた、素朴な疑問。
家族や学校の先生に聞いてみても、「まぁそんなものだよ」「考えてもどうしようもない」とごまかされて、モヤモヤした経験はありませんか?

大人になるにつれ、知りたかった気持ちにはフタをして、目の前のことに追われる毎日。
「心とは?」「人間とは?」「生きるってどういうこと?」
今さら人に聞けなくなってしまった人生のギモンを、700年前の古典『歎異抄(たんにしょう)』を通じて、少し深めに掘り下げるマンガ連載が、『こども歎異抄』です。