映画「親鸞 人生の目的」感想特集 #2

  1. 人生

悲しみを癒す感動作! 親鸞の教えと親の看取りから見つけた「本当の供養」とは

映画「親鸞 人生の目的」レビュー

家庭教育研究家 田宮由美
⭐⭐⭐⭐⭐

親鸞の幼少期から成人期までを本人が振り返る形で描かれてあり、「人は苦しくとも、なぜ生きるのか」という根源的な問いへの答えを求め、葛藤を抱きながら、煩悩に苦しみ修行をする親鸞の半生が描写されています。

特に心に残ったシーンや感想をお伝えしたいと思います。

「生きるために盗賊をする」

「生きるために盗賊をやっている」とは、仏像を盗んだ盗賊が、親鸞の問いかけに答えた言葉です。

盗賊が極悪人としての人生を歩むようになった生い立ちや、背景が徐々に明かされ、仏の道に導かれていく過程には見応えがありました。

特に盗賊が幼い妹を亡くす場面や、貧困ゆえに理不尽な思いをし、自暴自棄になって世間を恨んでいく過去に、思わず涙がこぼれました。

生きるためには、生活の糧を得る手段が必要です。それはできれば、自分が望む道に進み、社会に貢献できる働きをすることを誰しも望むでしょう。

少なくとも、人に迷惑をかけたり、モノを盗んだり、人を傷つけたりすることを最初から望む人はいないと思います。

誰も好んで「悪人」になるのではなく、そこには「生きていくために」そうならざるを得ない背景があること、また私たちはその部分にも目を向けていかなければならないと改めて感じました。

「煩悩を持ったままで助かる」

様々な欲や怒り、妬みなどを捨てきれない自分に苦悩していた親鸞が、法然上人の法話を聞き、口ずさむ言葉です。

人は誰しも年老いていき、やがては死を迎えます。その間に、病気や身近な人との別離もあるでしょう。

私自身のことを考えますと、それらから逃れたいと思う気持ちがあり、そのこと自体、ある意味、煩悩だと思いました。

ですが、人は生きていくためには、「食べたい」「寝たい」「認められたい」「成長したい」などの欲求は必要です。

誰もが煩悩を持っていて当然なのだから、それを含めて、あるがままの自分を認め、受け入れていくことが大事だという強いメッセージとも受け取れ、ストーリーが進行していくにつれて、心が安堵していくのを覚えました。

「あなたが幸せになること」

幼い女の子が、近くを通った親鸞に「お経をあげてください」と、亡くなった親を埋めた墓標の前で泣きながら言った時に、親鸞が返した言葉です。

親鸞は、「お墓にお経をあげても無駄なのですよ。それで両親を弔ってあげようとしているのでしょうが、まず、あなたが幸せになることが最も大切なのですよ」と。

私事ですが、昨年、両親を相次いで見送りました。早くに認知症を患った母だったのですが、本人と父の強い希望で最期まで在宅で看ました。

もちろん福祉関係の方々にたくさんの力をお借りしたのですが、私は、自宅と実家を一週間に何度も往復しておりました。

最後の1年は、父も歩行困難となり、寝たきりになったのですが、母は交通事故に遭い、認知症を患い始めてからも14年間、おかげさまで自宅で過ごし、穏やかな最期を迎えました。

母の葬儀、そして四十九日の法要を無事済ませ、父に、「お母さんの法要は全てきちんと済ませたよ、安心して」と伝えたところ「そうか、ありがとう。おまえには、いろいろ世話をかけたな、本当にありがとう」と言った1時間後、父は眠ったまま静かに息を引きとりました。

認知症一つなく、直前まで食事を摂り、しっかり会話もしていた父だけに、私のショックは大きいものでした。

周りの方々からは、「最期までご両親の自宅介護、やり遂げられましたね。立派です」「お母さんもお父さんも、幸せだったね」と、労いの言葉を頂いたのですが、私としては、「もっとできることが、あったのではないか」と自問自答することもありました。

両親の続いての葬儀で忙しく、悲しむ暇もありませんでしたが、一段落ついたころ頃から、母と父を思い出しては寂しさがこみあげてきました。

自分ではこれ以上できないくらいに、一生懸命尽くしてきたつもりでしたが、優しかった母の言葉や、最後まで母を看ていた父の強さを思い出しては、涙が流れることがあります。

ですが、この映画の最後のシーンで、気持ちがスーッと楽になったように感じました。

私が幸せになること。それが母と父への何よりの供養になる」という言葉が本当に心に沁み入りました。

今頃、きっと母と父は手をとり合って、幸せな笑顔で、私を見守ってくれている、と思うようになり、そのためにも、自分が精いっぱい生きて、幸せになることを胸に、歩んでいこうと思えるようになりました。

私は、特別に一つの宗教を信仰している訳でもなく、親鸞聖人については、歴史の授業で習ったくらいでしたが、この映画は、人の生きる意味や、その根源を考えるきかっけとなるとても良い内容だと思いました。

アニメーションも丁寧に仕上げられており、自然の風景の描写は、特に美しく瞼に残るような映像でした。多くの方が観られると良い感動作です。

壮大な歴史エンターテインメント!映画「親鸞 人生の目的」

世界的名著『歎異抄(たんにしょう)』を生み出した親鸞が、苦悩のすえ辿りついた、「人生の目的」とは。

大ヒット歴史アニメシリーズ最新作「親鸞 人生の目的」を、ぜひこの機会にお楽しみいただけたらと思います。

劇場へは、映画公式サイトの全国の上映館情報をご確認ください🎬

悲しみを癒す感動作! 親鸞の教えと親の看取りから見つけた「本当の供養」とはの画像1

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「親鸞 人生の目的」映画製作委員会