小さい子のいる親にとって、予防接種は悩みの大きな1つだと思います。
「任意接種はどれくらい受けたほうがいいのか」「副反応が心配」など、気になることが多いですね。
出産したばかりのライター自身の経験や、小児科医のアドバイスを通して、予防接種の気になる情報をお届けします。
(1万年堂ライフ編集部より)
小さいお子さんを持つ親にとって、常に心配なのが子どもの病気です。
先日、友達の小学生の息子さんが、おたふく風邪にかかりました。
頬が真っ赤に腫れ上がり、しばらく熱が続いたそうです。
しかも、ようやく熱が引いて、お医者さんから「もう大丈夫です」と言われた晩に、また40度の高熱が…。
「重症化すると、髄膜炎や難聴になることもあると聞いたので、とても心配。予防接種を受けていればよかった」
と、そのママ友は気が気ではなかったようです。
幸い、次の日の昼ごろには、みるみる元気になり、ごはんも少しずつ食べられるようになりました。
任意接種はどこまで受けるべき?
「おたふく風邪は任意接種だけど、ちゃんと予防接種を受けたほうがいい?」
と悩むママは多いと思います。
定期接種(国から推奨されていて、接種料が無料)は受けなければならないけれど、任意接種は受けたほうがいいのか、受けなくてもいいのか、迷うことが少なくありません。
私も「任意だから」と思って受けていなかった水ぼうそうに、娘が3歳のときにかかりました。
「任意接種はお金もかかるし、水ぼうそうぐらいなら、早いうちにうつしてもらったほうがいいよ」
という噂も聞いていたので、正直、軽く考えていました。
ところが、症状は軽かったものの、その後、たびたびヘルペスの口内炎ができて痛がっている娘を見て、
「予防接種を受けていれば、こんなことにはならなかったのでは?」
と、後悔したのでした。
実は、一度水ぼうそうにかかった人は、脊髄の神経節に「水痘帯状疱疹ウイルス」が潜伏するそうです。
しかも、それが免疫力の低下や加齢によって力を持つことがあり、大人になってから、強い痛みをともなう帯状疱疹が現れることもあります。
この水ぼうそうは、2014年に定期接種になっています(ちなみに帯状疱疹は、50歳以上では水痘ワクチンに予防効果のあることが分かり、任意ですが予防接種を受けられるようになりました)。
予防接種で心配な副反応とは
怖い病気から守ってくれる予防接種ですが、どうしても気になるのが副反応です。
その心配に、小児科医の吉崎達郎先生は次のように答えられています。
Q.「副反応」が怖くて、受けるかどうか悩みます
A.予防接種を受けたあとに、発熱や接種部位が赤くはれることがあります。これを「副反応」といいます。
ワクチンの効果と副反応は光と影の関係ですから、まったく副反応がないワクチンを作ることはできません。しかし、最近はできるだけ副反応を抑える工夫がなされていますから、過剰に心配する必要はありません。
めったに起こらないことですが、特に重く、緊急対応が必要な副反応(アナフィラキシー)は、接種後30分以内に起こります。「30分は接種会場の近くにいるか、すぐに接種医と連絡が取れるようにしておきましょう」と案内されるのは、このためです。
(『子育てハッピーアドバイス もっと知りたい小児科の巻2』より引用)
心配は尽きませんが、メリットもデメリットも正しく理解し、判断していく姿勢が必要なのだと思います。
最近の予防接種は、生後2カ月デビュー
最近では水ぼうそうだけではなく、ヒブや小児肺炎球菌、そしてB型肝炎も定期接種になりました。
どれも続けて複数回の接種が必要で、早いものは2カ月からスタートします。
ただでさえ出産育児とめまぐるしい中、ママたちは大変です。
筆者もこの夏に息子が生まれ、さっそく近くの小児科へ定期接種の予約を入れました。悩んだ末に任意のロタワクチン(下痢や嘔吐を繰り返すロタウイルスの感染を防ぐ)も一緒に申し込みました。
まだ外出も慣れていない2カ月の赤ちゃんを連れて行くと、その場で4枚の同意書に記入することに。
ロタワクチンを経口摂取した後、両腕を右左右の順で、小児肺炎球菌、ヒブ、B型肝炎と三種類もの注射を打ってもらったのでした。
もちろん、ギャン泣きは必至…。
帰ってからも、理由は分かりませんが、1時間おきに急に起きてはものすごい声で泣き出すので、その日一日、生きた心地がしませんでした。
次の生後3カ月での接種は、この3本とロタの2回目に、さらに四種混合ワクチンの注射が加わります。
ここ数年の定期接種化の動きは?
予防接種は、ここ数年でも目まぐるしく変化しています。
そこで、最近の定期接種化について調べてみました。
「うちの子のときは、任意接種だったから受けていない」
というママでも、今から受けられるものがあるかもしれません。心配なら、一度かかりつけ医に聞いてみるといいかもしれませんね。
(近年、定期接種化された予防接種)
※同時接種できるものもあるので、スケジュールは小児科医に相談してください。
※おたふく風邪や、ロタウイルスも、現在、定期接種化が検討されています。
※自治体によっては、任意接種でも助成金やクーポンを発行しているところがあるので、一度調べてみることをお勧めします。
最後に
子育ては、子どもの心の問題はもちろん、体のことについても、常に心配がつきまといますよね。
ちょっと熱が出た、咳が止まらない、というだけで、親御さんは気が気ではありません。
「このまま重い病気になってしまわないか…」
「あのとき予防接種を受けられなかったから…」
「取り返しのつかないことになったらどうしよう…」
親という責任感は、時に重圧となってのしかかってくることがあります。
そんな親御さんたちへ、精神科医の明橋大二先生は、こんな応援メッセージを下さっています。
Dr.明橋からのメッセージ
・子どもは病気にかかるもの、決してお母さんのせいではありません
子どもが病気になったとき、親御さんがいちばん悩むのが、「自分のせいではないか」ということです。
どうしても子どもが病気になると、親は自分を責めてしまいます。
「あのときすぐ服を着せなかったから……」
「夕べ布団をけ飛ばしていたのにすぐ気づいてやらなかったから……」
「あのときスーパーに行きさえしなければ……」
「早く薬をのませてやれば、こんなことにはならなかったのに……」
そして、子どもが病気になったのは自分のせいだと思って、落ち込んでしまうのです。
しかし、子どもは、病気をするもの。
病気をしながら、免疫力を獲得していくわけだし、健康のありがたみもわかります。
(『子育てハッピーアドバイス 知っててよかった小児科の巻』より引用)
悩める親の一人として、これからも等身大の情報をお届けしていけたらと思います。