HSPの基本的な内容は下記でまとめていますのでご覧ください。
「生きづらさ」を抱えていた私は、「自己肯定感」を育むことで、楽に生きることができるようになりました。
自己肯定感は子どもの間に決まってしまうと思っていましたが、それは違っていました。
「大人になっても自己肯定感は育て直すことができる」
これが私の一番伝えたいことです。
HSPかなと思われている方には特に読んでいただければ幸いです。
自己肯定感ってどんなこと?
「自己肯定感」について、精神科医の明橋大二先生は、このように説明されています。
自己肯定感とは、わかりやすくいうと、
「自分は大切な存在だ」
「生きている価値がある」
「必要とされている」という気持ちです。
もっと平たくいうと、「私は私でいいんだ」という気持ちです。
(『0~3歳のこれで安心 子育てハッピーアドバイス』明橋大二著 より引用)
自己肯定感を育て直すのに必要だった、3つのこと
その自己肯定感を育て直すため必要だったことは、私の場合は3つでした。
- 肯定的な言葉をかけてくれる人との継続的なカウンセリング
- 自分を認めてくれる人を一人でも見つけておくこと
- 日記やブログ、ノートなどで自分自身に肯定的な言葉をかけていくこと
どういうことをしたのか、具体的に振り返ってみます。
①肯定的な言葉をかけてくれる人との継続的なカウンセリング
とにかく自己否定を繰り返してきた私でしたが、それでも自己肯定感が高まってきたのは、周りの人の支えのおかげでした。
一番の支えは、長年お世話になった心療内科の先生です。
正直なところ、初めはものすごく怖かったです。心療内科という場所も主治医の先生も。
自分の本音を話せるようになるまでには、時間がかかりました。きっと否定されることが怖かったんだと思います。
どんなに肯定的な言葉をかけてもらっても、どうしても受け入れられませんでした。「自分はそんなことを言ってもらえるような価値はない」と思い込んでいたからです。
だけど、少しずつ、思っていることを言えるようになりました。
普通の話もできるようになってきたある時、主人が「先生は本当にすごいね」と感心していました。
どうしてと聞く私に、「君がどんなに落ち込んでいる時でも、先生の診察から帰ってくると、すごく客観的になれているよ」と言うのです。
この言葉で、あることに気づきました。この時すでに通い始めてから数年が経っていますが、否定的な言葉を言われた記憶がありません。
先生が私の考え方を「それはよくないんじゃないかな」と修正されることはあっても、私自身がそれを否定ととらえたことがなかったのです。
HSPの特性に加えて、自己肯定感も低く、否定的な言葉に本当に敏感になっていた私にとって、先生の診察室は、傷つけられる心配をしなくもいい数少ない「安心」できる場所なんだと思いました。
そしてまた、ずっと同じことを言い続けてくれていたんだなということも、ようやく気づけたことです。
「あなたは悪くないよ、よく頑張っているね」と、何度も何度もくり返し伝えてくれていました。同じことを毎回言ってもらえていたことで、ようやくその言葉をそのまま受け止めてもいいのかなと思えるようになりました。ここから回復が早くなります。
また、その頃にとても励まされた水野スウさんの言葉を紹介します。
ディスカウントしないで
その人がそばにいると、なんだかリラックスして、気分が楽ちんになるのです。なので、「一緒にいると、なんか、ほっとするよ」「いつも思うんだ、あなたの笑顔っていいよね」そんな言葉を、彼女の前で自然に口にしていました。
出逢ってからだいぶたってから、彼女が話してくれたこと。
ーー私ね、親からほめられたことないし、ひとからもあんまりなくて。だからね、いいねって言われるたんび、心んなかで打ち消してた。そんなはずないよ、って。でも3年ぐらいしてからかな、もうそろそろ、その言葉、素直に信じようって思った。きっとそのくらい、ほめられることに慣れてなかったんだろうね。
そうだったの、なら余計、言い続けてよかった。信じてもらえてよかった。思わずそう言っていました。
誰かが見つけて教えてくれた、あなたのいいところ。そんなふうにディスカウントしてしまうのは、彼女だけじゃないかもしれない。だけど、それってすごくもったいないこと。
何度も言うけど、いいところは、よく見ていないと見つからない。自分に対しては、もっとそう。だからあなたは、あなたの知らない素敵なとこが、まだまだいっぱいあるはず。せっかく誰かが、それを教えてくれたんだもの。わざわざ自分で自分の評価を下げる必要なんて、ちっともないのです。気づいてなかっただけで、それはあなたの宝物だよ。大切にしてあげてほしいな。
(『ほめ言葉のシャワー』水野スウ著 より引用)
②自分を認めてくれる人を一人でも見つけておくこと
月に1、2度の頻度で通っていた心療内科でしたが、その間は何よりも主人の言葉に支えられました。
主人の支えにより、自分では否定的な言葉しかかけられなかった私が、肯定的な言葉を言えるようになりました。
一番衝撃的だったのは、一日中寝込んでしまった私が「何もできなかった」と落ち込んでいると、「ゆっくり休めてよかったね」と声をかけてくれたことです。
休むことしかできなかったなんて、自分では怠けているとしか思えませんでしたが、『自分ではダメダメだと思っているそのまま』をよかったねと言ってもらうことで、「あぁ、こんな自分でも生きていていいのか」と力が抜けました。
また、「寝込むくらい大変なのに、料理を作ってくれてありがとう」といつも言ってくれました。
自分は何もできないとしか思えず、なかなか自分には価値があるとは思えなかったのですが、「ありがとう」と声をかけられることで、そんな自分にもできることがあるのかもしれないと前を向くことができました。
言葉の力は本当にすごいなと思います。
③日記やブログ、ノートなどで自分自身に肯定的な言葉をかけていくこと
そしてその間、一人でいる時は、主にブログでその日あったことや何を感じたのかを、ありのままに書き連ねていました。ショックを受けたことや嬉しかったこと、生活の中の本当にささいなことまで。
そして最後は、前向きな言葉でまとめるように心がけました。
(私の場合は、ノートではなくブログという形が良かったのだと思います。ノートは自分以外の誰も見ないので、思ったことを感情のままに書き連ねてしまい、後で読み返すと自分の言葉で落ち込んでしまうこともあります。
その点ブログだと、人の目を気にし、ある程度配慮して言葉を選ぶので、後で読み返してもそれによって落ち込むことは少なかったです)
ありのままを書き連ね、最後に前向きな言葉でまとめることで、少しずつですが、「休むこと」に対する罪悪感や劣等感が収まり、自分でも「ゆっくり休めてよかったね」と肩の力を抜くことができるようになりました。
人と比べるのではなく、以前の自分と比較する
それまでは、周りの人と比べて落ち込んでばかりいましたが、HSPとそうでない人では、感じる刺激量が圧倒的に違うということを知り、人と比べないようにしました。
一年前、一カ月前の自分と比べることで、「今月は先月よりはこれができた」「去年の今頃は寝込んでばかりだったけど、よくなってきたね」と前向きになれたのです。
短時間でも仕事ができていて、回復してきたねとも言えるようになりました。
また、自己肯定感を育て直すために必要なことは、『子育てハッピーアドバイス 大好き!が伝わる ほめ方・叱り方2』のQ17「子育てをしている私自身が、自己肯定感が低いと感じています」での明橋先生のアドバイスがとても参考になりました。
今からでも自己肯定感を高めることはできます。
そのために、まず大事なのは、身近に相談できる人を持つことです。そして、その相談できる人を選ぶときの、最大のポイントは、自分のことをちゃんと認めてくれる人、ほめてくれる人を選ぶ、ということです。
(中略)
親の自己肯定感を高めるためには、自分のことをほめてくれる人を持つのはとても重要なことなのですが、しかし、どうしても周囲にそういう人がいない場合もあります。
また、周りを支えにするとは、逆にいえば、それが支えにならなくなったときには、再び自己否定に戻ってしまう、ということです。
ですから最終的には、人がどう言おうと、自分で自分を肯定する、ということがどうしても必要になるのです。
(『子育てハッピーアドバイス 大好き!が伝わる ほめ方・叱り方2』明橋大二著 より引用)
自分で自分を肯定するための詳しい方法については、書籍をご覧ください。
最後に
自己肯定感とは、「いいところはもちろんだけど、ダメダメなところも含めて、そのままのあなたでいいよね」と繰り返し言ってもらって初めて、高まってくるものなんだなと、実感しています。
主治医の先生、主人、自分のブログと三段階の方法で徐々に自己肯定感が高まっていきました。
ですが、ここまで、気が遠くなるくらい本当に時間がかかりました。
支えてくれた人たちには、どんな言葉をかけられても否定し続ける私を見捨てずにいてくれたことに感謝しかありません。
私は幸いにも周りの人たちに支えられて回復することができましたが、周りの人に弱音を吐くなんてできないと思われる方も多いと思います。かつての私もそうでした。
支えてくれる人が多いに越したことはありませんが、疲れ切っている時に、「裏切られるかもしれない」と疑心暗鬼になりながら人と関わることは、それはそれで大変です。
そんな時は、ブログでも日記でも独り言でも、自分の気持ちを吐き出してみて、最後に一言だけ前向きな言葉を口に出してみる、そこから始めるのもいいと思います。
私も最初は、真夜中に外に出て、夜空の下で感情を静かに吐き出すところから始めました。いま思うとかなりアヤシイ人だったと思います(笑)
でも、口から言葉に出して、耳で聞くことで感情を整理できて、自分は何を一番ネックに思っているのか、何がつらいのかが、だんだんとわかってきます(手に取るようにわかるようになります)。
一通り整理ができると、人に話すことのハードルも下がってくると思います。
大丈夫。きっと抜け出せる日は来ます。
生きづらさに悩んで行き詰まっている人は、ぜひそこから始めてみてほしいと思います。
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