「東洋医学の健康法」について、内科医の清水和彦先生よりご紹介いただいています。
前回の記事では、感情や行動に大きな影響を与えるのが“潜在意識”であり、その潜在意識をプラスにする方法を教えてもらいました。
前回の記事はこちら
潜在意識をプラスするには、一つ一つ「成功体験」を積み重ねていくことが大事です。
しかし、成功体験がどうしても見つからないときはどうすればいいのでしょうか。
清水医師に続けて解説していただきました。
(1万年堂ライフ編集部より)
失敗も、広い意味で成功体験にしてしまう
振り返ってみても、何も成功体験が見つからない、なかなか成功体験ができない、という人もいるかもしれません。
それでも大丈夫です。
人間に生まれ、ここまで成長し、社会人になって働いている。結婚して家庭を持って子育てをしている。
これは、立派な成功体験です。
少し振り返ってみれば、生まれてから今に至るまでに、さまざまなハードルを超えて、試練に打ち勝っていることは明らかだと思います。
また、実際には失敗体験でも、それを成功体験と解釈することもできます。
マイナスとして片付けるのではなく、「失敗はしたけれどもこんなに成長できた」「教訓を得ることができた」など。
実際、成功から学ぶことより、失敗から学ぶことの方が多いのです。
天下を治め徳川300年の礎を築いた徳川家康は、三方原の戦いで武田信玄に破れ、命からがら逃げ帰る馬上では失禁したと伝えられています。
しかし、その情けない姿を絵師に描かせて、部屋に掛け、生涯の自戒としました。
教訓を得ることのできた貴重な体験としたのです。
すべてのことをプラスに受け止めてみましょう。広い意味で、成功体験としてしまうのです。
脳をだまして成功体験をつくり出す“イメージトレーニング”
また、簡単なイメージトレーニングで、成功体験をつくり出すこともできます。
朝早くに窓を開けて、清々しい青空が広がっているのを見ると、誰でも気持ち良くなるでしょう。
しかし、たとえ、どんよりした天気であっても、自分の心は自分のものであり、自由になれるのです。
輝く太陽が昇っていくイメージを持てば、元気や勇気が湧いてきます。
実際には土砂降りの雨でも、日本晴れのイメージを持てば、心は晴れ晴れとするのです。
実際に起こったことなのか、あるいは経験したことがないのに経験したように勘違いしていることなのか、脳が区別できないことがあります。
人間の脳は、現実と非現実の区別が曖昧になりがちです。
楽しいなと思えば、楽しくなる。つまらないと思えば、つまらなくなる。
ふとしたきっかけで気持ちが大きく変わった体験は、誰しもあるでしょう。
自分にはできないと思えば、できない。できると思えることは、実現するのです。
ああ限界だと思った時が、自分の限界となります。
「困ったな、辛いな、しんどいな」などのマイナス言葉が口癖の人は、どんどん潜在意識がマイナス状態になり、心が敵になっていきます。
“大丈夫、大丈夫” “スマイル、スマイル” などを口癖にしていけば、それがプチ成功体験として、積み重なっていきます。
故事から学ぶ教訓「良い面に目を向けていく」
一つの事象をどう判断するか。100%悪いこと、100%良いこと、そういうことはありえません。
「人間万事塞翁が馬」という故事があります。
昔、中国の塞の国で、馬を飼っている人がいた。
ある日、囲いの扉のカンヌキをし忘れたので、大事な馬が逃げてしまった。不注意を強く後悔した。
しばらくして、その馬が一頭の駿馬を連れて帰ってきた。すると、カンヌキをし忘れたことを喜んだ。
今度は、一人息子がその駿馬に乗って、落馬して大怪我をした。また、後悔することになった。
やがて戦争が始まり、若者はみな召集された。多くの人が亡くなったが、その息子は怪我のために召集されず、命拾いした。最後には、また喜んだといいます。
表面的なことに一喜一憂しても始まりませんが、どんなことにも、何か、良い面と悪い面があるものであり、良い面に目を向けていくことが大事です。
それは、失敗や悪い出来事から目をそらすのではありません。現実をしっかり受け止めて、何が問題になっているのかをよく見ていくのです。
そして、何ができるか、何を改善すべきか、少しでも良いことがあれば、そこを伸ばしていくのです。
イメージが潜在意識をプラスにさせ、心を味方にする
また、何か目標があれば、その目標を達成した姿、自分が表彰されている姿、みんなから祝福されている姿、みんなの笑顔などを、なるべく生き生きとイメージすることが大事です。
そして、さらに、そのイメージから逆算して、今、何が必要か、何をすべきかを考え、具体的な課題を設定するのです。
日常生活でも、呼吸時、歩行時、階段昇降時など、つねに、エネルギーが充満して力が強くなるイメージ、疲れが取れてリラックスするイメージを持つことです。
息を吸う時は、新鮮な空気とともに大自然のエネルギーを吸収する。
息を吐く時は、体にたまった疲れと汚れた空気を吐き出す。
階段をのぼる時は、エネルギーが充満するイメージ、階段を降りる時は、疲れが取れるイメージ。
歩く時は、一歩一歩、目標達成に近づくイメージを持つのです。
重い荷物を持っている時は、どんどん筋力が鍛えられ、強くなっているイメージです。
そのように心がけていくと、徐々に、潜在意識がプラスになり、心が味方となります。自分の中に最強の味方ができることになるのです。
そして、つねに明るい安定した快感情が得られます。
そうなれば、困難に直面しても、自然とうまく、ことが運ぶでしょう。
まとめ
- 失敗体験でも、広い意味で、成功体験としてしまいましょう。失敗から学ぶことの方が多いものです
- 人間の脳は人間の脳は、現実と非現実の区別が曖昧になりがちです。楽しいなと思えば、楽しくなる。つまらないと思えば、つまらなくなる。良い口癖は、プチ成功体験として積み重なっていきます
- 目標があれば、目標を達成した姿を生き生きとイメージする。また日常生活でも、1つ1つの行為にエネルギーが充満し、疲れが取れるイメージを浮かべる。そのように心がけていくと、潜在意識がプラスになり、心が味方となるのです