はじめまして。滝下靖といいます。
僕は、非行を犯した少年たちが入所する施設で働いています。
こう自己紹介すると、多くの場合、
「不良相手なんて怖くないですか。どうせ社会に戻ったらまた繰り返すんでしょ」
「そんなヤツが育つのは、やっぱり親に問題があるんでしょ」
といった反応が返ってきます。
僕自身、仕事に就くまではそういうイメージでした。
しかし、10年以上非行少年たち本人やその親御さんと話をしてきた中で、
「悪いことをして人を傷つけたのはよくなかったですが、反省して自分の問題点を直せたので、これからはまともに生きていきます」
「この子が問題を起こしたことで、夫婦で相談し合うきっかけが増えて、バラバラだった家族の会話が戻ってきました。感謝しています」
などの声を聞くようになり、イメージが大きく変わりました。
問題行動やトラブルは、子どもが本来の自分を取り戻そうとがんばっている姿
あれ?
ひょっとして、「非行」=「取り返しのつかない大きな問題」というわけでもないのかな?
「非行」がきっかけとなって、これまで知らないうちに家族がお互いにがまんして、気持ちのパイプが詰まったような状態になっていたことが、改善したりするのかな?
そう考えるようになりました。
もちろん、「非行少年=加害者」には「被害者」の方がいるので、その立場に立ったら、これから書くことは「とんでもないこと」と受け取られるかもしれません。
そう覚悟したうえで、あえて書きます。
「非行などの問題行動だけではなく、引きこもりや不登校、アトピーやぜん息などの病気、これらは子どもが本来の自分を取り戻そうとがんばっている途中の姿であり、家族にとって、それを支えることをとおしていろんなことを気づける、ありがたいこと」
僕は、こう信じています。
アトピーはかわいそう?いいえ、それは誤解です
僕がこのように確信するに至ったのは、去年、息子が重度のアトピーになり、その改善経過を見守るという経験をさせてもらっているからです。
次回から、わが家のエピソードを時系列で紹介しながら、「子どものトラブル」に対する僕のとらえ方をシェアしていきたいと思います。
たとえば、よくこんな声を聞きます。
「アトピーになるなんて、かわいそう」
「アトピーになるのは、親の愛情不足じゃないか」
「アトピーは遺伝だからね」
「アトピーは一生治らない」などなど。
僕は、これらの考え方に「それは誤解です」と答えます。
もちろん、僕はアトピーの専門家ではないので、科学的・医学的根拠に基づいた「事実」を答えられるわけではありません。
しかし少なくとも、アトピーの子どもと日々接する親の立場を経験して断言できるのは、「その意見では、誰も幸せにならない」ということです。
親が楽になると、子どもも楽になります
ネット上にあふれるアトピーに対する否定的な意見は、親をどんどん追いつめていきます。
親が追いつめられると、その親と一緒に生活している本人もそれを敏感に感じ取り、追いつめられていきます。
すると症状が悪化し、さらに親は追いつめられていく、という悪循環に陥ります。
意見を言っている人は、おそらく悪気はないのだと思います。
むしろ、同情して言ってくれているはずです。
それが逆に親を、そして本人を苦しめているとしたら、こんな悲しいことはありません。
家庭でのいろんなトラブルを、周囲の温かい理解を得て親が前向きにとらえることで、まず親が楽になります。
親が楽になると、子どもも楽になり、本音を出せるようになります。
それがトラブルを家族で力強く乗り越えていく力になると思うのです。
ということで、そういった人の心の支えになるように、「子どものアトピーにありがとう」シリーズを書いていきます。
お楽しみに!