HSP(ひといちばい敏感な人)であり、自己肯定感も低く、母親になることへ大きな不安を抱えていたmibukiさん。
そんなmibukiさんはどのようにして妊娠中・出産前の不安を乗り越えたのでしょうか。
出産前にやっておいてよかったと思える2つのことについてお聞きしました。
出産、母親になることが怖いと思われている方にぜひお届けしたい内容です。
(1万年堂ライフ編集部より)
ひといちばい敏感な人、HSP(Highly sencitive person)で、また自己肯定感も低かった私は、母親になることがすごく不安でした。
なぜなら、私と同じように生きづらい思いを子どもにさせてしまうんじゃないかと不安だったからです。
そんな私が子育てをしてみて、「本当に出産前にやっておいてよかったなぁ」と実感していることがあります。
「自分に存在価値があると思えず、母親になることに自信がない」「出産が怖い」と思っている人にも、ぜひやっていただきたいなと思います。
はじめに-自己肯定感とは?
低いと生きづらくなる「自己肯定感」とはどんなことでしょうか。
精神科医の明橋大二先生は、このように説明されています。
自己肯定感とは、わかりやすくいうと、
「自分は大切な存在だ」
「生きている価値がある」
「必要とされている」という気持ちです。
もっと平たくいうと、「私は私でいいんだ」という気持ちです。
(『0~3歳のこれで安心 子育てハッピーアドバイス』明橋大二著 より引用)
HSPの私が、出産前にやっておいてよかったこと
(1) 自分の受けた子育てを振り返る
妊娠が分かったとき、すぐに手に取ったのが『子育てハッピーアドバイス 妊娠・出産・赤ちゃんの巻』でした。その中に出産前にやっておいたらいいことが書かれてあります。
これから子どもを産むにあたっての準備として、私がぜひしておいてほしいと思うのは、自分の受けた子育てを振り返る、ということです。
もっといえば、自分の受けた子育てを、一度はきちんと整理しておく、ということです。
よく、子どもを産んで初めて、親のありがたみがわかる、といいます。
実際、出産を経験すると、こんなたいへんな思いをして、親は自分をこの世に送り出してくれたのか、と初めて気づき、親の愛情に感謝する、そういうことはよくあります。
それをきっかけに、今までのわだかまりが解けて、親との関係を取り戻すことも少なくないですし、それは子どもを持ったことの副産物として、最も大きなものの一つだと思います。
ただ、だからといって、親がやってきたことも、すべて愛情から出たことで、どれも正しいことだったんだ、となってしまうと、ちょっと違うんじゃないか、と私は思うのです。
子どもながらに、親の言葉で傷ついたこと、親にたたかれて悔しかったこと、それは間違いない事実だったのです。
確かに子どもの誤解ということもあるかもしれないけれど、多くは、やはり子どもが傷ついた、嫌だったことは、親の言い方、やり方に問題があったのです。
そういうことをきちんと見つめないで、あれは愛あるがゆえのことだったんだ、と肯定されてしまうと、おそらくまた同じことをやるでしょう。
(中略)
私たちは大人になると、子どもの気持ちを忘れてしまいます。
そして大人の都合で、正当化してしまいます。そうなる前に、もう一度、子どもとして、自分が受けてきた子育てに関して「これはしてほしくなかった」「これは嫌だった」「これはうれしかった」ということをきちんと整理しておく、ということです。
独りで行うのが難しい場合は、専門職(カウンセラーや保健師、相談員)の助けを借りてもかまいません。
そうすれば、嫌だったことは、自分の子どもにしなくて済みますし、してほしかったこと、してもらってうれしかったことだけを子どもにすることができるようになるでしょう。
(『子育てハッピーアドバイス 妊娠・出産・赤ちゃんの巻』明橋大二著 より引用)
そこで私も実際に、言われたこと、されたことで「あれは嫌だったな」「あれは嬉しかったな」と覚えていることを箇条書きで書き出してみました。
そして、嫌だったことに対して、本当はどうしてほしかったのか、言ってほしかった言葉をノートに書き出していきました。
例えば、
風邪を引いたときやケガをしたときは、『大丈夫だよ、すぐよくなるからね』
何か失敗をしたときは、『大丈夫、そういうときもあるよね』
緊張してしまい、挨拶などの「やりなさい」と言われていたことができなかったときは、『緊張しちゃったんだね、今度はできたらいいね』
などです。
私がHSPだったからということもあると思いますが、どんな子どもでも、こんなふうに言われれば、怒られたりため息をつかれたりするよりも傷つくことは少ないんじゃないのかなと思います。
また私がHSCだった頃、こう言ってほしかったと思う背景にどんなことを考えていたのかは、またの機会に書きたいと思います。
こうして整理しておいたことで、言われて傷ついた言葉を言いそうになるとハッとするし、言ってほしかった言葉がすぐに浮かびます。
子育てをしていてイライラすることは多々ありますが、子どもに声をかけるときにできるだけ私が言ってほしかった言葉をかけるように心がけています。
(2) 自己肯定感を育て直す
2つ目は、自分の自己肯定感を育て直していくことです。
子育てをする上で一番大事なことは、子どもの「自己肯定感」を育むことだと明橋先生は言われています。
しかし、考えてみると「母親になる私の自己肯定感が低いのは大丈夫なんだろうか」と気づく人も多いと思います。
答えは、大丈夫です!「自己肯定感は大人になった今からでも育てなおすことができる」これは私が一番伝えたいことです。
また自分の自己肯定感を育て直すことは、子育てでとても役に立ちます。
では、自分の自己肯定感を育て直すことがなぜ子育てにおいて役に立つのか、自己肯定感が育まれると何が変わるのか、紹介します。
(a) 罪悪感を持たずに人に頼れるようになる
私が一番苦手としていたことは「『できない』と言うこと」でした。
体調が優れなくても、気が進まないことでも、「できません」「行けません」と断ることがどうしてもできませんでした。
そのため、「誰かに頼ること」がものすごく苦手でした。
この背景には、「私という人間は生きている価値なんてないんだから、人から頼まれたことを断るなんてあってはいけない、人に頼って迷惑をかけてはいけない」という思い込みがありました。
しかし、自己肯定感を育んできた結果、子育てでいっぱいいっぱいになって、もうだめかもしれないとなる前に、人に頼ることができました。
友達にメールをしたり、支援センターの力を借りたり、以前は想像もできなかったほど、罪悪感を持たずに人に頼ることができました。
かつての私だったら、無理に無理を重ねてうつ病を再発するか、感情を押し殺して笑えなくなっていたかもしれません。
人に頼ること、助けてと声を上げることは、弱いのでもなく、わがままでもない。子育ては一人ではできないんだと実感しています。
(b) 自分と子どもとの間に境界線を引けるようになった
以前の私には、人との境界線(パーソナルスペース)がほとんどなかったと思います。
そのため、「人は人、自分は自分」という考え方ができずに、ちょっと強く言われては落ち込み、人に流され、ということを繰り返していました。
しかし、自己肯定感が高まり、人との境界線を引けるようになったことで、「周りがなんと言っても、どんな意見があろうと、赤ちゃんが元気で、ママが笑っていられればそれでいいよね」とおおらかに構えることができるようになりました。
これは特に、子どもが泣き続けていたときに境界線を引けるようになったと感じています。
以前なら泣き声を聞くたびに、自分が責められているように感じて苦しくてしかたなかったからです。けれどそこに境界線を引き、「泣いているのは私を責めているのではない」、こう言えるようになっただけで、すごく楽になりました。
境界線についてはこちらの記事も参考にしてください。
出産前にやっておいたほうがいい理由
なぜ子育て中の今、出産前にやってきてよかったと思うのかというと、子育てが想像以上に大変だったからです(笑)
寝不足が続き、免疫力も落ち、体調は思わしくないけれど、子どもは元気で面倒は見なければいけない。そして、ママの代わりはいない。頼れる人もない。もちろん自分の時間はない。
そんな環境の中で子育てをしていると、本当に頭がおかしくなるんじゃないかと何度も思いました。
もちろん子どもは可愛いですし、「なんだ!この可愛い生き物は!」と毎日思います(笑)
それでも、
離乳食は食べない
何が嫌なのかはっきりしないけど泣き続ける
ママじゃないと寝ない
などなど挙げればきりがないほど、子育ては暗いトンネルの中を歩いているようでした。
そんなイライラの中だったら、自分が言われてされて嫌だったことも「しかたないでしょ」と肯定して、思いっきり繰り返してしまったかもしれないと思いました。
HSPの私にとっては、それこそ罪悪感でものすごくストレスになっただろうなと容易に想像がつきます。
だからこそ、この修羅場に入る前の妊娠中に、心を整理しておけたこと、自己肯定感を育むレッスンを重ねてこられたこと、本当によかったと思います。
また同時に、母も同じように大変な中で私を育ててくれていたんだなと、当時のことを前向きに振り返ることもできるようになりました。
だからといって嫌だなと感じたことは、嫌だったよねと自分に声をかけることで、心のもやもやが晴れていくのを感じました。
最後に
今、自己肯定感が低くて、人に頼ることなんて無理と思っている人は少なくないと思います。
子どもの自己肯定感についてはよく語られますが、お母さんの自己肯定感についてはあまり語られていない気がします。
自己肯定感があまりに低くて生きづらかった頃、誰かに頼ることは私には選択肢にも挙がらなかったくらい、やってはいけないことでした。
でも、子育ては一人ではできない、いろんな人に助けてもらっていいんだと最近実感しています。
自己肯定感はいつでも育て直すことができます。今からできることを一緒にやってみませんか。