「自分のここがイヤで、好きになれない」
「自分を変えたいと思っているが、なかなか一歩踏み出せない」
と、自己嫌悪で悩まれている方は多いと思います。
なりたい自分になるにはどうすればいいのか。なりたい自分になれる効果的な方法を、東洋医学の専門医である清水和彦先生にご紹介いただきました。
ポイントは、良い意味で「脳をだます」です。
脳をだます方法や、トレーニング内容を説明します。
脳は実は単純で、言葉の影響を受けやすい
「君は優秀だな」「君なら東大へ行けるよ」
小学生のころ、学校の先生から言われた一言で、その気になって勉強をがんばり、東大に合格したという話を聞いたことがあります。
「君は、オリンピックで金メダルが取れる」
その言葉を信じて、厳しい訓練と辛い練習に耐えて、本当に金メダルを取った水泳選手がいました。
逆に、学校の先生が嫌いだと、その教科の成績が悪くなります。
何か嫌なことを言われたか、無視された、話を聞いてくれなかったなど、マイナスの経験があったのかもしれません。
通勤の途中で、道が分からずに困っている人に道案内をしたら、「あなた親切な人ね、ありがとう」と感謝されるでしょう。
その日は一日、周りの人に親切をしたくなり、親切な人になっています。
朝、家を出るときに、「何をぐずぐずしているの」などと言われると、自分はぐずなのかという思いが一日、頭を巡るかもしれません。
人間の脳は、なんて単純なのか、また、言葉の影響を受けやすいのかと思います。
いい意味で脳をだますために、言葉を選びましょう。
人生を変える 素晴らしい人や一言、本との出会い
「プロフェッショナル仕事の流儀」(NHK総合テレビ)というテレビ番組があります。
それぞれの業界で活躍している、いわゆるプロフェッショナルといわれる人の半生が紹介されています。
プロフェッショナルのほとんどの人が、若い頃に強く影響を受けた人があります。
恩師であったり、職場の先輩であったり。そして、その人から頂いた忘れられない言葉があるようです。
あるいは、時代や国を隔て出会った書物にハッとすることもあったでしょう。
困難にぶつかった時、失敗した時、その一言の力で、乗り越えられたと語っています。
何の挫折もなく、失敗もせずに、大きな成果を上げることは考えられません。
自分の人生を変えるような、素晴らしい人との巡り合い、背中を押してくれる一言、感動的な本との出会い。そういうことがキッカケとなり、良い意味で「君、最近変わったね」と変身できるのです。
五感を使えば、なりたい自分になるよう操作できる
人間は、ふとしたキッカケで大きく変わります。なぜ、一言でも影響を受けやすいのか。
人間の脳は単純で、影響を受けやすい、言い換えれば、騙されやすいのです。
それを利用すると、五感を使って、なりたい自分になるように操作することができます。
みんなで写真を撮る時に、笑顔でピースのポーズをすることがあるでしょう。
その後、どんな気持ちになるでしょうか。撮影の後は笑顔ではしゃいでいる、そんな光景が目に浮かびます。なんとなく、ハッピーになったように思いませんか。
写真を撮る前と撮った後と、何も変わっていないのです。
笑顔を作ったこと、ピースのポーズをしたこと、それに大きな力があるです。
ガッツ石松がボクシングの試合に勝って、思わず取ったポーズ。それが今でも、ガッツポーズといわれます。
ガッツポーズを取ると成功したような、勝ったような気分になります。
バンザイをすると何となく、めでたい気分になりませんか。
言葉に力があるように、体性感覚にも聴覚・視覚にも力があります。
「禁煙」と書いて部屋に張ったり、「東大合格」と机の前に張っている人を見かけます。工場には、「確認第一」「安全」などの掲示が目立ちます。
鏡に向かって自分の目指すポーズをつくり、目指すイメージを持つ。言葉に出して、繰り返し視覚・聴覚・体性感覚を利用して、なりたい自分になることができるのです。
「なりたい自分になる」効果的な脳をだます方法
どんなポーズや言葉が良いか、具体的な例を挙げてみましょう。
強くなりたい人への効果的なポーズ・言葉
①力のポーズ(ガッツポーズ)をつくる
肩幅に足を開き、腕組みをして、少し上を向く。自信に満ちた余裕のある笑顔。
あるいは、腰に手を当てる。ガッツポーズでもよい。自分が自信に満ち溢れ、強さを感じられるポーズ。
②強くなったイメージを持つ
学生のころ、よくブルースリーのカンフー映画を見たのですが、映画館を出ると、自分がブルースリーになったようで、誰と喧嘩をしても負けないよう思いました。
お気に入りのプロレスラーや強そうな俳優、精神的にタフな人。スーパーマンでも。モデルを持つと、イメージしやすいのです。
③言われたい言葉を決める
すごいな、強いな、スーパーマンやな、など。
方言でもよいし、実感の持てる言葉が良いのです。
優秀になりたい人への効果的なポーズ・言葉
- 秀才のポーズをつくる。姿勢を正して、指先までピンと伸ばす。きりっとした賢そうな顔をする?賢そうと思えればOK
- 優秀になったイメージを持つ。それぞれ各自の分野で目指す人を思い浮かべ、言動を真似る
- 言われたい言葉を決める。すごいな、偉いな、優秀やな、天才やな、など
若返って綺麗になりたい人への効果的なポーズ・言葉
- 憧れの芸能人の綺麗なポーズを真似る、モデルのようなポーズを決める
- 綺麗になったイメージを持つ。好きなモデル、芸能人を思い浮かべる。しぐさを真似る
- 言われたい言葉を決める。若いな、可愛いな、綺麗やな、すてき、かっこいいな、○○さんに似ているな、など
幸せになりたい人への効果的なポーズ・言葉
- 笑顔を作り、口角を上げる
- 過去に嬉しかったこと、楽しかったこと、感謝されたことを思い浮かべ、その時の感情を蘇らせる。周りの人もみな笑顔で、明るく、楽しいイメージ。美しい花に囲まれ、良い香りが漂っている
- 言われたい言葉を決める。親切ね、優しい人ね、いい人ね、ありがとう、などの褒め言葉、感謝の言葉。実際に笑い声を上げる
自分のなりたい姿は、どんなイメージでしょう、各々、考えてつくってみてください。
脳をだますトレーニング方法
上記でなりたい自分のイメージをしてもらいました。
次に脳をだますトレーニングとして、自分の決めたイメージを日ごろからの繰り返しで、すぐにイメージを浮かび上がるようにしましょう。
鏡の前でポーズをつくり、言われたい言葉を繰り返すのです。
その通りになった自分をイメージするのです。
大事な会合の前に優秀なポーズをつくり、完璧なプレゼンテーションをしているイメージ、みんなの賞賛を得ているイメージを持つのです。
もちろん、そういうイメージが持てるように、あらかじめ準備することは必須です。
勝負の前に1分でも力のポーズをつくり、その時の体の感覚を、しっかり覚えておくのです。
強くなったイメージ、勝利のイメージ、表彰されているイメージを持つのです。
日ごろから、朝晩、時間のあるときに何度でも繰り返しておけば、少しポーズを決めると、すぐにイメージをつくるができます。
鏡に写った姿を脳裏に焼つけ、そのポーズの感覚を覚え、しっかりと言葉を発し、その言葉をしっかり聞くのです。
そして、なりたい自分になれた喜びを感じるのです。
プレッシャーに負けそうになった時、困った時、その姿が脳裏に浮かび、感覚がよみがえり、助けてくれることになります。
五感を利用して、良い意味で脳を騙して、良い意味で勘違いをして、なりたい自分になりましょう。