赤ちゃんや、小さなお子さんは、すぐに口のまわりが赤くなったり、肌にブツブツや、かぶれができたりしますよね。
しばらく経っても良くならないと、「もしかしてアトピーかも?」と、心配になってしまいます。
そんなとき、家庭でもできる簡単なアトピー性皮膚炎のチェックポイントを、皮膚科専門医の花川博義先生にお聞きしました。
「病院に連れて行っても、幼児湿疹(乳児湿疹)と言われたり、アトピーと言われたり。医者によって言うことが違う」
「続けて通院したけど、結局、病名がハッキリしなかった」
『あんしん健康ナビ アトピー性皮膚炎 ~どうすれば治る? 子どもも親も楽になる正しい治療法 良医・名医の見つけ方』から、これらの悩みに答えられた部分を特別にご紹介します!
アトピーに悩む、たくさんの人たちを診てきたからこそ断言できる言葉の数々に、納得と勇気をもらえるに違いありません。
(1万年堂ライフ編集部より)
これってアトピー?「あせも」「小児湿疹」(乳児湿疹)と診断されることも
「うちの子はアトピーですか?」
診察室で、よく受ける質問です。アトピー性皮膚炎かどうかのチェックポイントは3カ所です。
「首」「ひじの内側」「ひざの裏」
主にこの3カ所が、赤くて、かゆかったら、アトピー性皮膚炎の可能性が高いです。逆にいえば、この3カ所がキレイならば、アトピー性皮膚炎でないといえます。
ところが、行く病院によって「アトピーです」と言われたり、「アトピーではありません」と言われたり、診断が異なることがあります。「どっちが本当なの?」と、不安&不審感がつのることでしょう。
このような病名のブレは、どうして起きるのでしょうか。
ある検査の値が、〇〇以上ならアトピー、〇〇以下ならアトピーでない、とクッキリ分けられるものではありません。検査値も参考になりますが、基本は皮膚を見て診断します。
アトピーは季節や時期によって、よくなったり、悪くなったりする病気です。
症状のひどい時に病院に行くとアトピーと言われ、キレイな時に受診すると、「アトピーではなく、あせもです」と言われるのは、そのためです。
病名に一喜一憂しないで
「小児湿疹」「小児乾燥性湿疹」という便利な皮膚科用語があります。
「アトピーです」と医者から言われ、「ガビーン、うちの子はアトピーだったのか」と、ショックを受ける人が多々あります。それを危惧して、軽症のアトピーを「小児湿疹」(乳児湿疹)と説明する医師がいます。
一方、全て「アトピー」と説明する医者もいます。
アトピーと言われたから病気が長引くのでもなければ、小児湿疹と言われたから、早く治るのでもありません。
病名に一喜一憂するのは、あまり意味がないのです。
時期や医者によって、診断が変わる場合、安心してください。症状が軽いということの裏返しであり、早く治ることが期待されます。
また、「アトピーなのか、アトピーでないのか」早く白黒つけて、その治療をしなければ治らない、ということはありません。
アトピーか小児湿疹か、病名によって治療が変わるのではなく、症状の程度に応じて治療が選ばれるからです。
治療の際に役立つお薬について、こちらで書いていますので、御覧ください。
アトピー性皮膚炎の革命的治療薬「デュピクセント」とは? 皮膚科専門医が答えます
目次を一挙ご紹介!
『あんしん健康ナビ アトピー性皮膚炎』には、こんな内容が紹介されています。これまで疑問だったアトピーのことがよく分かり、正しい治療へと導いてくれる1冊です。
1章 アトピー性皮膚炎を取り巻くナゾ
- アトピーはかゆみとの闘い ~皮膚炎が、さらなるかゆみを引き起こす
- これってアトピー? 「あせも」「小児湿疹」と診断されることも
- アレルギー検査をすれば、原因が分かるのでしょうか
- 治療のヒントは「鼻」にあり。天然のアブラがお肌を守る
- 大発見! 遺伝子で解明された、皮膚の大事なバリア機能
- アレルギーマーチを予防するには、お肌の放任主義はいけません
- 塗り薬は先手必勝!「モグラたたき」ではよくありません
- 治らない理由は、「塗る量」が少ないのです
コラム 薬は少なくなると、効きめが弱くなる? - いつ発症して、いつ治るのか。見通しをつけておくと安心です
- 「治った」に二つある。まずは第一ゴールを目指しましょう
2章 ステロイドは怖い薬ですか?
- よくある誤解①「塗った所が黒くなる」 ~黒くなるのは、ステロイドのせいではありません
- よくある誤解②「使い始めるとやめられなくなる」 ~上手に使えばとても便利な薬です
- よくある誤解③「副作用が怖い」 ~怖くありません。「副作用かな」と思ったら、医師に相談を
- 「脱ステロイド」ではなく、「卒ステロイド」を目指しましょう
- 塗り分け不要。これ一本! 新薬「タクロリムス」の特徴と上手な使い方
コラム パパに薬を塗ってもらおう
3章 治療のあれこれ
- みんなの皮膚にすんでいるブドウ球菌の脅威 ~夏型アトピーには「1デイ2シャワー」
- 強さが同じでも効きめが違う ~塗り薬には相性があります
コラム ジェネリックと先発品の違い - 二千年の経験の集大成 漢方薬の上手な使い方
- 玉石混交。試してもいい民間療法の見分け方三つ
- 症状の悪化を防ぐ、凄ワザ、裏ワザ、隠しワザ
- アトピーの人がなりやすい目の病気 ~年に一度は眼科で検査を
- アトピーの人は、とびひ、みずいぼにもなりやすい
4章 良医・名医にかかるには
- 近所の医者に「しっかり」診てもらうためのポイントは?
- 良医でも、「持ち時間」が少なければ、力を発揮できません
- 皮膚のことは、やっぱり皮膚科。医者と病院選びのヒント
- 短い診療時間を最大限に活かすには ~医師に言いたいことを、あらかじめまとめておくとスムーズです
- あなたの良医・名医は案外近くにいるかもしれません
5章 アトピーっ子を持つ親の立ち位置
- タッチングケアの幸せな効能 ~薬を塗るのも親子の大切なスキンシップです
- 子どもを責めない、親も自分を責めない
- 親の役割は、ともに苦しむことではなく、子どもを支えること
- 子どもの訴えを受け止める。それだけで、子どもは癒やされるのです
- 親も子も、心が楽になる心の持ち方 「アナタはアナタ。私は私」
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