子どもの救急シリーズ #4

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赤ちゃんが熱を出したらどうする!? 救急医が教える、迷った時の受診の目安

子どもは急に熱を出します。しかも、夕方に上がり始めたかと思うと、夜中になって40度を超えてしまうようなこともあります。

「夜間救急に連れていったほうがいい?」「解熱剤は使うべき?」

しんどそうな子どもを前に、心配は尽きませんよね。

救急医のめめママさんに、受診の目安とホームケアについて、実際に家庭でどう対応しているのかをお聞きしました。

(1万年堂ライフ編集部)

こんにちは、救急医のめめママです。

記事を執筆する中で、皆さんが本当に求めているのはどんな情報かな?と、日々考えるようになりました。

私は2歳と0歳の姉妹を育てるワーキングマザーです。

職場や周りのママさん方によく聞かれるのは、「めめママさんなら、どうしますか?」ということです。

子どもを育てるママ目線で、救急医はどうしているのか、たしかに気になるところですよね。

今回は、子どもの具合が悪いとき、具体的に私がどのような対応をしているか、シリーズでお話ししたいと思います。

※ただし、生来健康なお子さんについてですので、持病のあるお子さんをお持ちの方は、かかりつけの先生にご相談ください。

子どもが夜中に急に熱を出したらどうする?

基本、何もしません。

日中に熱が出れば、例えば週末にかかるときなどは、早めに病院に連れていくこともありますが、基本的には夜間に受診はしません。

子どもは熱を出すと、機嫌が悪いことはあっても元気です。

食欲がなくてご飯を食べなくても、とりあえず水分がとれていて、果物やゼリーなど好きなものを口にできていれば、まぁよしとしています。

38℃以上熱があっても、本人がケロッとしていれば、解熱剤すら使いません。

熱があって、つらそうで水分摂取がやっとというような状態なら、解熱剤を使用します。

熱があると冷やす習慣がありますが、あれは日本独自の文化です。気持ちがいいだけで、本質的に熱を下げるわけではありません。

せっかく体がウイルスや細菌と戦って、がんばって熱を出しているのに、つらそうでもないのに解熱剤やクーリングで熱を下げてしまうと、症状が長引くだけです

そのような理由から、わが家は(娘が嫌がることもあって)冷やすこともしていません。

ただし、1歳になる前の発熱は、新生児であればすぐに受診相談をして受診しましょう。

お母さんの抗体が切れるといわれている生後5、6カ月くらいまでの発熱では、RSウイルスなど重症化する病気もあるので、早期に受診させます。

わが家の具体例として、いくつか紹介したいと思います。

発熱

Case1 生後3カ月での発熱、RSウイルス感染かも

生後3カ月のときに、下の娘が37℃台の熱を出しました。前日、上の娘が熱を出していたので、うつってしまったようです…。

まだ母親からの免疫がある時期で、RSウイルスが流行していたため、おそらくRSウイルスだろうなと思っていました。

機嫌がよく、哺乳もしっかりしていたので、すぐに受診はせず様子を見ていました。

その夜から咳が出始め、翌日は解熱する気配もなくさらに発熱し、鼻水の量が増えてきました。

まだ3カ月だったため、日中に小児科を受診し、結果はやはりRSウイルス感染でした。

特効薬があるわけではないので、対症療法になります。つまり咳や鼻水などの症状に対して、それを緩和するお薬を飲みながら、良くなっていくのを待つ、ということです。

哺乳は良好だったため、点滴はせずに内服のみにしました。

薬を飲み始めてからは肺炎にならないか、呼吸や咳の様子を見ながら状態をしっかり観察し、10日ほどかかりましたが、咳もなくなりすっかり良くなりました。

RSウイルス感染時のホームケアで、注意すること

RSウイルス感染で自宅療養となった際の観察点としては、

  • 息がつらそうではないか(呼吸困難があるか)
  • 普段と違う呼吸をしていないか(胸がベコベコするような陥没呼吸などがないか)
  • 無呼吸がないか
  • 顔色が悪くないか(唇が紫になるなどのチアノーゼ症状がないか)
  • 眠れているか
  • 水分補給ができているか(おっぱいの飲みや、おしっこが出ているか、涙が出ているか)

ということを注意してみてください。

Case2 初めての40度超えの熱は、突発性発疹だった!

生後8カ月のときに、上の娘が40℃超えの熱を出しました。

その日は元気だったのですが、翌日はさすがに元気がなく、ミルクも拒否、初めての発熱で解熱剤を持っていなかったので受診しました

結果、数日熱が下がらなかったのですが、その後に全身に皮疹が出てきたため、突発性発疹だったと分かりました。

Case3 乳児でインフルエンザにかかった場合

生後9カ月のときに、上の娘がまた発熱しました。

季節外れのインフルエンザが流行っていた時期でした。

翌日、同居している家族が発熱しました。大人はつらいので、すぐ病院に行ってしまいますよね。結果、インフルエンザ陽性だったようです。

きっと娘もインフルエンザだったのだと思いますが、インフルエンザも基本的には勝手に治る病気です

状態が悪化しないかだけ観察し、結局病院には行きませんでした。

2日で解熱してしまったので薬も使っていません。

子どもが発熱したときの、わが家の4つのルール

子どもたちが熱を出したとき、私の中のルールとしては、

  1. 水分が取れていれば大丈夫
  2. 熱だけの症状で時間外受診はしない
  3. 熱以外の症状があるときには、日中に受診をする
  4. つらいときに病院に行くほうが、よっぽどつらい

というものがあります。

溶連菌感染症や、黄色いねばねばした痰や鼻水が出るなど、細菌感染で抗生剤が必要なこともありますが、水分が取れていて元気なら、翌日の日中に受診でも大丈夫です。

子どもの発熱の多くはウイルス感染によるもので、抗生剤などの治療は必要ないことがほとんどです。

ウイルス感染なら自分の体で治すほかありません。

それはたとえインフルエンザであっても同じです。

病院に行けば検査をしてインフルエンザと分かるだけで、あとは特に変わりません

だから治すためには、安静にするのが一番!

子どもの発熱

迷ったときの受診の目安、救急医ママはどうしてる?

病院に行って、ほかの病気をもらってしまうこともあるので、極力受診は控えています。

さらに、ただの発熱で救急外来に来ても、寒くてだるいのに混み合っていれば、何時間も受付のソファーで待たなければならないなんて、そんなのはつらすぎますよね。

ですので、木曜日ぐらいから具合が悪くなり、金曜日も良くなるきざしがない場合は、金曜の夕方から土曜の午前外来を受診します。

4日以上熱が続く場合は、風邪以外の原因がある可能性が高いので受診することにしています。しかし幸いにも、そのような経験は今のところありません。

薬で症状を緩和することも大切ですが、多くの場合は勝手に治っていき、体の免疫が育っていきます

新生児でなければ、熱が出たからといって、必ずしも今すぐに病院に行かなければならない!ということはないことを知っていてください。

ママ・パパの「なんかおかしい!」という感覚が何より大切

ここで誤解していただきたくないことですが、早期の受診が悪いわけでは決してありません。

お子さんのことを一番見ているのは、ママさんやパパさんなどご家族の方です。

「なんかおかしい!」の思いは、医師の診察の上を行くこともあります

そんなときは気兼ねなく受診されていいと思います。

それに子どもが1歳なら、ママやパパも1歳、自信がないことだってありますよね。

受診することで安心が得られるのであれば、不必要な受診でも初めのうちは仕方ない、成長の過程であるとも思います。

そうやってママやパパも経験を積んで、この熱は大丈夫!と分かってくるようになります。

医師であっても、薬や道具がなければ治療することはできません。

ということは、家にいる状態では私は医師免許を持っているだけであって、ほとんど皆さんと大差ないということです。

私は、医師というよりも母という目で娘たちを見て、受診が必要かどうかを判断しています。

子どもの病気でぜひ読んでいただきたい本

子育てハッピーアドバイス 知っててよかった 小児科の巻 増補改訂版

子育てハッピーアドバイス 知っててよかった 小児科の巻 増補改訂版

吉崎達郎 / 明橋大二ほか(著) 太田 知子(イラスト)