このたび、「古典に親しむ」シリーズの新刊『こころに響く方丈記 ~鴨長明さんの弾き語り』を発売いたしました。
『方丈記』は、日本初の災害文学ともいわれます。
平家全盛から滅亡までの混乱期、宝石を敷き詰めたように美しい都といわれた京の町は、次々と大災害に襲われました。
火災、竜巻、遷都、飢饉、地震……。
中でも地震は、揺れの様子、山崩れ、津波、町の被害、余震の回数までを鴨長明は克明に記録し、「恐れの中に恐るべかりけるは、ただ地震なりけり」と書き残しています。
しかし、あれほど「この世は、無常だ」と思い知らされても、時がたつにつれ、「地震があったことさえ、言葉に出して言う人がいなくなってしまった」と、人間の愚かさにも言及していることは、あまり知られていないのではないでしょうか。
混沌とした時代に、まっすぐに人間を見つめた名文には、生きるヒントがあふれています。
今週末までに、全国の書店に並ぶ予定です。
美しいイラスト、写真と共に、お楽しみいただきたいと思います。